貧乏石好き

つれづれなるままに石をめぐりてよしなきことを

岩石も「進化」する?

2023-03-19 10:05:32 | 岩石生成論

「岩石」というのは、様々な「鉱物」の混ざったもの。
鉱物は様々あってそれがまた様々に混ざるから、もう訳わからん状態。
図鑑なんかを見ても、色がどうで成分がどうでどういう場所で見られるといった現象的記述の羅列で、分類も見た目だったり成分だったり生成環境だったりとばらばら。読んだ先から忘れていく。(それは老化じゃないのかね)
鉱物学者・地質学者の方々はこれ全部覚えているんだから大したもんです。(そりゃプロだ)
まあ、ただ石を眺めて楽しんでいるあちきのような者にはほとんど無縁。しかしあんまりにも知らないというのはよろしくない。
そこで、半分遊びで、自分が把握できるようにと、火成岩とその派生類に限って、「どうやって生まれてきたか」をメインにして、大雑把な“岩石系統図”を描いてみたのです。全然厳密ではなく、あくまで大まかなイメージ。

こうやってみると単純なものだ。(いや君が無理やり単純にしてるだけだw)
専門の方々からすれば噴飯ものだろうけど、こういう大見取り図を作って説明してくれないとあちきのような非感覚タイプの人間はわからんのですよ。(タイプの問題じゃないんじゃない?)

ついでに主要火成岩の主成分推移をわかりやすく並べてみる。多い順ではない。図に入れようと思ったけど入らんかった。

・橄欖岩 橄欖石・輝石
・玄武岩 橄欖石・輝石・斜長石・磁鉄鉱
・安山岩     輝石・斜長石・角閃石
・花崗岩        斜長石・角閃石・石英・正長石・雲母

橄欖石は次第になくなって、角閃石・石英・正長石が加わってくるという大まかな流れ。角閃石と雲母は含水鉱物。水が増えていくわけですな。

こうすると主要な美石鉱物の生成背景が漠然とイメージできる。のではないでしょうかね。一番華々しいのは右上のあたり。左のあたりはちょっといい加減だけど、造岩鉱物っぽい感じの集まり。上に行けばシリカと水が増え、下は苦鉄質。

     *     *     *

で、ここで「ん?」と思った。
「これ、系統樹っぽくない?」
「岩石も進化している?」

生物の分野では「進化系統樹」というものが考えられている。原始的な生物からいろいろ枝分かれして、複雑な――高等と言ってはいかんらしい――生物になっていく。て、それを見るとあちきら人類は末端の最進化形。偉いかどうかはまた別。
岩石・鉱物もまた進化系統樹みたいな構造があって、マントル・マグマから生まれる原始的な形態のものが、だんだん変化して、複雑に、軽やかに、そして美しく――これは主観かな――なっていく。橄欖岩と玄武岩だけの始原的世界が続いていたら、安山岩・花崗岩の大陸地殻がなかったら、花崗岩マグマの生み出す熱水がなかったら、多くの美石は生まれなかった。
とすると、あちきらが愛玩する美石たちは、やはりあちきらと同様、末端の最進化形だと言えるのではなかろうか。地球の神は、生物と同様岩石も、始原的なものからより多様・複雑で美しいものへと進化させてきたのではないか。

「進化」という概念はいろいろと議論を呼ぶものですけど、まあ価値判断は保留して、単純な構造が複雑な構造へと進化していくということはある。特異な色や姿といったものもあるでしょう。「階層性」すらあるかもしれない。
たとえば、オパールやラブラドライトの変幻する光。
熱水が生み出す結晶の複雑精妙な姿。多彩で鮮やかな色。
あるいはヴェスヴィアナイトの「Ca19(Fe,Mn)(Al,Mg,Fe)8Al4(F,OH)2(OH,F,O)8(SiO4)10(Si2O7)4」といったとんでもない構造。
こういうのは、宇宙広しといえども地球にしか、原始の地球ではなく進化した地球にしか存在しないものかもしれない。ホモ・サピエンスが進化した地球にしか存在しないように。
いや、「最も高度だ」と言っているわけではありませんよ。宇宙にはたぶんもっと高度な別種の物質があり、高度な生命的知的存在がいるでしょうし。(は?)
そして、少なくとも地球上で、生命進化の先端であるホモ・サピエンスと、地球物質進化の先端である美石とが出会う。それが「石集め」という奇跡的出来事ではないか。そこに何かしら「この世ならぬもの」を感じるのは、進化という神秘を感得するからではないか。(おいおい石沼民の自画自賛かよ)

夢想はこのくらいにして。
ここにはもちろん堆積岩や変成岩は入っていません。
まあ堆積岩は「積もってますねえ」「ああ、積もってるね」でいいんだろうけど(よくはないだろうよw)、変成岩はまたまた訳わからん状態。また別のお話としましょう。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿