貧乏石好き

つれづれなるままに石をめぐりてよしなきことを

ロゼライト

2022-09-18 09:19:35 | ややレア

クリスタルワールド立川店さんのツイッターで新入荷商品が告知されていて、その中にロゼライトがあったので、行ってみた。で、けっこう大きな結晶がついているものが比較的お安くあったので購入。(石禁じゃなかったのかよ) クリワさんは(いいのかその略称)立川も五反田も、美麗結晶派ではないけど珍しいものを安く売ってくれているので嬉しい。
モロッコ産。







強い光を当てると、素晴らしく美しい赤が出る。飛び出している複合結晶は1センチくらいあって、にこにこ。(何だよその形容は)

ロゼライトは、コバルト含有の砒酸塩鉱物。Ca2(Co,Mg)(AsO4)2・2H2O。名前は人名由来でバラのローズとは関係ない。同じくコバルトの砒酸塩にエリスライト(コバルト華、Co3(AsO4)2・8H2O)がある。
エリスライトは濃くて少し紫がかった赤が美しい鉱物で、ごく稀に出る美麗な結晶標本は唖然とするほど美しい。けど、だいたいは母岩に小さな結晶がへばりついているもの。通常光では黒っぽく見えるので、もひとつぱっとしない。そして高い。ちょっと欲しいなとは思っていたのだけど、手頃値で美しいものなんてないので、あきらめていた。
ロゼライトは、見た目はほとんどエリスライトと同じ。そしてけっこうレア。貧石価格内で買えたのはラッキーでした。

     *     *     *

さてこのコバルトというやつ、ややこしい。
コバルトという名前は古代ギリシャの山神コボロスに由来。コバルト鉱物が精錬を妨害するのは山神の悪戯と考えられたからだという。なおウィキペディアにはドイツ語の地の妖精コーボルトに由来とある。どちらが本当かは知らない。ドイツ人は蛮族の末裔のくせに時々古代ギリシャの末裔みたいな振りをしたがるのでけしからん。(おいw)
で、古代からコバルトを含んだ岩石粉が、ガラスや陶器を色づけるために利用されてきた。かの有名な「呉須」というやつ。ガラスもやはり青くなるらしい。だからコバルトというと青を思い浮かべるけれど、本来のコバルトは薄いピンクを帯びた銀白色。そして鉱物としてはエリスライト、ロゼライトのように赤くもなる。
コバルトカルサイトも赤紫色。

こうやってアップの写真だと美しいけど、廉価品なので実際はごく小さな結晶であまり見栄えはしないのです。

コバルトは青なのか赤なのか。はっきりしてくれい。(そんな無体な)

コバルトというとガンマ線を放射する恐ろしい放射性物質コバルト60が連想される。実用化されなかったけどコバルト爆弾なんていうスーパー核兵器もあった。合金は超近代兵器のミサイルなどの必需品。恐いイメージが強いですなあ。
けれど必須ビタミンであるビタミン12はコバルト含有。つまりコバルトが切れると人間は死ぬらしい。は? あちきの体にもコバルトが入っているわけ? 人間というのは変な生物ですなあ。

コバルトの最も重要な鉱石鉱物はコバルタイトで、CoAsS、鉄・ニッケルなどを少量含む。桃色を帯びた銀白色。スマルタイト(CoAs2)というのもある。どちらもがちがちの成分ですね。エリスライトやロゼライトはそれらが分解されてできた二次・含水鉱物。これも水が作った鉱物ですわな。

コバルトを含んで、砒酸塩で、ときわめて珍しい石。いかにも妖しくて、ぞくぞくする石です。


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