貧乏石好き

つれづれなるままに石をめぐりてよしなきことを

石はどうやってできるか

2021-11-22 19:55:19 | 岩石生成論

という話は奥が深くて、素人にはなかなかわからない。
つか、そもそも誰も現場を見たことがないし、人間が再現できないし、結局推論にとどまるわけだしね。
おまけに時間スケールも長大だし、物質は通常とは異なる姿を採るしで、どうやってもうまくイメージできない。想像力の限界。
ま、仕方ない。テキトーに把握するしかない。(君は何でもそうなんじゃないかな)

単純に言ってしまえば、石のでき方は3種類。
1.マグマ
2.堆積
3.水

1.マグマというのがどこからやって来るのか、実は確定していないらしい。
地殻の下の上部マントルから、というのが普通の考え方みたいだけど、下部マントルの上部から、とか、いや、最深部マントルと外核の接触面から吹き上がってくるのだ(「スーパープリューム理論」)とか。

東工大ニュース」より引用。

まあいずれにせよ、地球を構成している岩石が溶けたものがマグマ。火山から噴き出すやつもマグマ。それが冷えて固まって石になる。普通、石というものはそういうものだというイメージがある。
つか、地球というのは大きく言えばマグマでできているわけで、それが冷えて固まった薄皮の「地殻」に、人間は乗っかって生活している。「板子一枚の下は地獄」は漁師の形容だけど、地殻一枚下は火焔地獄。踏み外せば焼けて死ぬ。(どうやって踏み外すんだよ)
このマグマがゆっくりと冷えて、様々な鉱物の結晶が大きく育った複合体になったものが「ペグマタイト」。鉱物マニアには垂涎の言葉。(言葉が垂涎ておかしくないか?)
花崗岩なんかもペグマタイトに入るらしい。ペグマタイト墓石なんて言うとかっこいい。(花崗岩というと墓石を出すのはおかしいぞ)
大きな結晶ができるためには、ゆっくりと冷えるといった特殊な条件が必要らしい。融点が高いものから順番に冷えて微小固体になって、それが集まって結晶に……溶岩の中でそんなことが行なわれているなんて、どうもうまくイメージできないけど。

といっても、結晶クラスターなどは、成岩中にできる空洞(ジオード)の中に熱水が入り込むことで形成されるわけで、それは3の「水」によるものということになる。

2.堆積は、風化した岩石や生物の死骸が積もって、圧縮されてできるもの。
砂岩とか泥岩とかいうやつね。人間が大変お世話になる石灰岩も、サンゴや貝などの死骸が堆積して、圧縮されてできたもの。「生物由来の鉱物」なのですね。
まあ鉱物マニアにとっては、どちらかというと縁の薄い部類かもしれない。けれど砂金やウランの鉱床なんかは堆積による鉱床で、鉱工業の面では重要なものらしい。時には風化しにくい鉱物が泥の中に残って、思わぬ美石となって現われたりもする。

3.で、これが不思議。
水というのは、飲んだり手を洗ったりするあの水ではない。高圧で高熱で、様々な元素や鉱物成分が溶け込んでいる「熱水」。ケイ素だろうが金属だろうがばんばん溶ける。これがちょっと驚きというか、イメージできない。さらさらなのかどろどろなのか。
その熱水がいろいろと暗躍して(まあ確かに光はないわな)、たくさんの鉱物・岩石が造られる。様々なものを溶かし込みながら、柔らかい所、溶けやすい所、ガスが作った亀裂や空洞に侵入していく。そして溶けていたものを吐き出して純粋な成分だけの結晶を作り出す。
石好きが愛する美結晶は、だいたい熱水から造られるわけで。それどころか大規模な銅や金の鉱床なんかも熱水が造ったものだと言う。

なぜかうちにある水晶クラスター。数百年前に買ったらしくて記憶がない。(君は妖怪か?) まあこれも水が作ったものということになるのかな。

ただ、その熱水もマグマから出たものだから、1と3の境界は微妙。「スカルン鉱床」というかっこいい名前の、いろんな鉱物標本が出る鉱床は、マグマと石灰岩(堆積岩)が接触した場所で形成される特殊な熱水鉱床。これも鉱物マニアには垂涎の言葉。けれどこれももう一つうまくイメージできない。

地球の水と言うと、普通「海」をイメージして、海・雲・雨という地上だけの水の循環をイメージするけれど、とんでもない。「地球内部には、地球表層を覆う海水の数倍から数十倍の水が存在すると見積もられています」とのこと(出典同上)。ただし「その水の状態や量についてはほとんどわかっていません」とも。
水を大量に含んだ岩石や土砂が「プレート沈み込み」によって地球内部にまで入り込む。地殻やマントルに含まれる水は、火山噴火の蒸気となって大気に放出される。そうやって、大気・海・地球内部を貫く超巨大な「水の循環」がある。やはり地球は「水の惑星」なのですねえ。(詩的だね)

その水こそが美しい石を作る。古い五行思想だと「金」(鉱物)が「水」を生じるということになっているけれども、実は逆で、「水」が「金」を生み出している。
あちきらは普通、マグマが固まって石ができ、それが崩れて、堆積して固まってまた石ができる、というようにイメージしてしまう。実際そういう石が多いわけだけれど、その巨大なマグマと堆積物の合間に、水によって作られる「美稀石」の世界がある。スカルン鉱床はその典型かもしれない。
そう考えると実に不思議ではないですか。

まあ素人の石好きとしては、このくらいでいいでしょう。(ずいぶん安直だな)
いくら説明されたところで、この結晶複合標本はどうやってできたのか、とか、アゲートやジャスパーの縞や模様はどうやってできたのか、とかはよくわからない。
それぞれの石を前にして、あれこれ考え、想像するしかない。謎は謎のまま楽しむのがよろしいかと。


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