貧乏石好き

つれづれなるままに石をめぐりてよしなきことを

玉川温泉産北投石

2022-08-11 18:52:08 | ややレア

北投石については以前書いたけど、あれは温泉沈殿物をセラミックで焼き固めたもので、鉱物標本ではない。まあ健康グッズというか、お守りというか。しばらく付けてみたけど、特に変わったことはなかった。

で、玉川温泉産北投石というのがあったので、買った。

北投石 Hokutoite というのは、ややこしいので詳しくはウィキを参照。
手短かにまとめると、
 ・鉛を含む重晶石(バーライト)。(Ba,PB)SO4 で Ba:Pb=4:1 程度。独立鉱物種ではない。鉛をほとんど含まないものもある。希元素、特にラジウムをごく微量に含み、放射能を持つ。
 ・台湾の北投温泉と秋田の玉川温泉でしか産出しない。
 ・温泉沈殿性の鉱物、つまり「水が作る鉱物」だが、生成の仕組みははっきりしない。
 ・色は褐色から白色で、時に微斜方晶の結晶を見せる。
 ・台湾でも日本でも特別天然記念物に指定されていて、指定地域内での採取は禁止されている。

なおバリウムは単独では毒性があるが、硫酸バリウムは水溶性がないので無害。胃のレントゲン検査でごくごくと飲まれている。あれ、トイレにつまって困るんだよねえ。
バリウムは様々な細かい工業用途があり、重晶石から採取されている。

ちなみに特別天然記念物の石、単体の「岩」ではなくいくつも採れる「石」は、以下の3つ。
 ・秋田県玉川温泉の北投石
 ・長野県白骨温泉の球状石灰石――温泉湧出口付近の湯だまりにでき、直径1~10mm、時にに4cmにもなる。ただし現在は採れないらしい。
 ・岐阜県根尾谷の菊花石――菊花石は各地で産出するが、その中の最高峰とされる。

     *     *     *

たまにネットで出ることは知っていたけど、値段が高かったり安いのは売り切れたりしていて、買えなかった。今回は比較的安価で入手できた。
しかし実は一日悩んだ。特別天然記念物だぜ。老舗の石屋さんだから違法なものではないと思うけど、そんなものあちきなんかが持っていいものだろうか。(お、謙虚)
微量放射線が出ている。はず。それは問題ない。怖がる人も多いかもしれないけれど、あちきは「微量放射線はむしろ健康にいい」という説を消極的に支持しているので、これで健康増進という可能性もありかなとさえ思っている。(なまじ元気なジジイはうざいよ)
けど、あまり声高に「買ったよ」「持ってるよ」とは言いにくい雰囲気。何となく。

肝心な姿の話。
こういう特殊な石なので、美麗さは期待していなかった。
ところがどっこい。

細かい薄黄褐色の結晶っぽい(?)ものがきらきらと輝く。やーるじゃん。
あちきの老眼ではどれが一つの結晶体なのかわからない。結晶体にたくさんの面があって輝いているようにも見えるし、超微小結晶が集まって結晶体のような形を作っているようにも見える。とにかくちらちらと輝く。
そして超びっくりなのが、これ、肉眼で見ても写真に写ったのを見ても、結晶が出っ張っているように見える。





けれど触るとまっ平。はあ?
母岩側に結晶面があるのか、よくわからない。実にマジカル。面白い。

まあほんとに謎の石です。
硫酸バリウムは水溶性がないから温泉水に溶けているわけがない。たぶん別の形で存在しているのが、何らかのプロセスを経て、こうやって硫酸バリウムの結晶として出現している。このプロセスはまだはっきりと解明されていない。藻が関与しているという説があるが、藻のないところでもできるという研究もあるとか。
放射線がどのくらい出ているのかは、ガイガーカウンターを持っていないからわからない。どういう影響があるのかも謎。
いいですねえ、こういう謎のあるものは。

そしてもうひとつ。
北投石は台湾北投温泉と秋田玉川温泉の2箇所でしか出ない。
こういう「そこでしか」という石があるのも不思議。
ボレオアイト、濃い青のアウイン、セネガル石、などなど、まあけっこうあるようですけど。
その土地土地の精霊が丹精込めて作ったのだ、なんて想像すると、いとおしく、ありがたい気持ちになるではないですか。

びびびび。元気。(そりゃ早すぎw)


最新の画像もっと見る

コメントを投稿