貧乏石好き

つれづれなるままに石をめぐりてよしなきことを

琥珀

2022-12-18 11:45:06 | 単品

ちとネタ切れで更新が少なくなってますね。わざわざ訪れてくださった方には申し訳ごじゃりません。(一応気にしてるんだw)

     *     *     *

「阿房列車」という名作で鉄オタの道を拓いた内田百閒大先生のエッセイに「琥珀」というのがある。
幼い内田栄造君は琥珀という石が松脂からできるということを知った。栄造君の家は造り酒屋なので樽の隙間を塞ぐための松脂が置いてある。職人にそれを溶かしてもらって、地面に穴を掘って埋めた。けれどわくわくして夜も寝られない。翌朝早々に寝床から抜け出して地面を掘り返してみた、というもの。……ダイジェストにすると全然面白くないね。(名作随筆というのはそういうものだ)

琥珀はしばしば「宝石」扱いされるけど、鉱物ではない。じゃあ何だ、と言われると戸惑う。化石? 化石というのは何だ、と言われるとまた戸惑う。
まあ要するに樹脂。地中深くの高温高圧で石のようになったもの。硬度が高いものをアンバーと言い、生焼け(は?) のものを「コーパル」と言う。らしい。
古代ギリシャでは「エレクトロン」と呼ばれた。太陽の光の意味。これを擦ると静電気が発生するので、近代になって電気のことを「エレクトロニシティ」と呼ぶことになった。そうです。へえ。
子供の頃あちきたちはセルロイドの下敷きをこすって、友達の髪の毛を逆立てさせて遊んだ。今の子供たちはそんな遊びをするのかな。セルロイドも樹脂だわな。

化石は守備範囲外ということになっているので、買うつもりはなかった。のだけど、あちこちで見るし、蛍光の色がすごいというし、歴史ある「宝石」でもあるので、まあ一つは持っていてもいいかな、などと思って、セルフクリエイションさんで美しそうなものがあったので他のものと一緒にぽちっ。(禁制みたいなのを作っておきながら節操なくそれを破るのがお得意みたいだね)
メキシコ産「ブルーアンバー」。けっこう大きい。



軽い。ものに当てても石のような高質な音はしない。硬度はあるというけど、どことなく手触りが柔らかい。不思議。冷たくないせいか? いや、どうも手は対象の質というものを敏感に感じ取っているらしい。人間の手の繊細さ、敏感さはすごいものです。

通常の光では、かなり真っ黒。少し強い光だと中が透ける。ウイスキーの色ですな。もじゃもじゃしていて美しい。そしてごくわずかな部分が青く見える。

透過光だと、かなりもじゃもじゃがはっきり浮き出る。

そして蛍光。鮮やかな青だけれどこれももじゃもじゃに蛍光する。

まあこの変身ぶりは見事なものです。知りませんでした。

琥珀もいろいろあって、奥が深そう。
よく知られているのが虫入りですね。恐竜家族のアイディアの発端となったやつ。(全然話が違ってるよ) いくら完璧なものが入っていてもDNAを採るのは無理らしいけど。
逆にあんまりすっきりしたものだと石油系樹脂と似てしまうような気がする。こういうもじゃもじゃ不純なのが返って味わいがあって良いように思えます。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿