貧乏石好き

つれづれなるままに石をめぐりてよしなきことを

クリーブランダイト

2022-11-12 10:52:41 | ややレア

Cleavelandite。Na(AlSi3O8)。
1823年に、ヘンリー・ブルックスによって、鉱物学・地質学者パーカー・クリーブランドに因んで命名された。アメリカ・オハイオ州のクリーブランド(Cleveland)とは関係ない。ちなみに地名の綴りは「新聞見出しに収まらないからaを削った」のが固着したらしい。(余計なことを)
しかしその後、組成的には「アルバイト(曹長石)」だと判明。結晶が板状の特殊な形をしているが、何をもって「クリーブランダイト」の定義とするかははっきりしていない。
要するに「アルバイトの変種で、板状結晶のもの」ということ。ジオード中に群晶として出ることが多い。

まあ、レア。そもそも純粋なアルバイトというのも案外ない。加えて結晶が特徴的で、時に美しい薄青を帯びたりするので、一部では人気があるらしい。

しかしねえ、このアルバイトという名前、やっぱ変。
つか、「非正規・不定期労働」をドイツ語の「労働」で表わすというのがそもそもおかしいのだけど。ドイツ人はみんなアルバイトしてるんか?(余計な駄弁はよろしい)

これはセルフクリエイションさんでお安く出ていたもの。15ミリくらい。

実に繊細。細かい板状の結晶がわちゃわちゃと群れて、一部は淡いブルーグレイに光る。派手ではないけどとても美しい。淡い色がぞくっとする。



けれど、ものすごく脆い。ちょっと触っただけで細かい雲母のような欠片が落ちる。なんか和菓子でこういうのがあったような。
写真を撮るために動かして、だいぶ落っことした。2%くらい減ったかもしれない。(粗暴だな)
ケースのアクリルを隔てて鑑賞するしかないですな。


何度も書いた話だけど、長石というのはほんとにややこしい。
カリウム・ナトリウム・カルシウムの3つの「極」があって、多くが混ざって、つまり固溶体で出る。ただしカリウムとカルシウムは混ざらない。
で、アルバイトは純粋なナトリウム長石。カリウムもカルシウムも含まない。当然、そんな純粋種は少ない。
だからアルバイト自体が、まあレアストーンなのですね。
ちなみにカルシウム純粋種のアノーサイトというのはまだ見たことがない。カリウム純粋種に至っては何がそうなのかもわからない。[訂正しました。オーソクレースはカリウム純粋種ではないようです。]

長石というのは「ほとんどの石に含まれる」と言われるくらい凡庸な石なのだけれど、「純粋」長石は多くない。
そしてクリーブランダイトは、しばしば鈍重な佇まいを見せる長石が粉砂糖のような繊細な姿を見せているという点で、とても面白いものではないでしょうか。
ううむ、長石は奥が深くていい石だ。


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