貧乏石好き

つれづれなるままに石をめぐりてよしなきことを

布賀鉱山産スパー石&ブルー・ヒルブランダイト

2023-06-29 20:23:18 | 国産鉱物

国産鉱物に無知だったので、布賀(ふか)という土地が世界的にも有名な、特別な産地だとは知りませんでした。

岡山県備中町布賀鉱山は「高温スカルン鉱床」という珍しい鉱床で、これは通常のスカルン鉱床よりも高温でマグマおよびその熱水と石灰岩がぶつかってできたものだとされる。
そのため、同地では逸見石、大江石、岡山石、布賀石、備中石、森本柘榴石といった新鉱物や、五水灰硼石(ペンタハイドロボライト)やニフォントフ石といった稀少鉱物が産出された。
とのこと。いやあ、すごい場所なんですねえ。
地図で見ると、中国地方の山の中。別になーんにもない感じ。(おい)
高温マグマが上がってきたというのは、巽先生が論じている「瀬戸内火山帯」が関係しているのでしょうか。

で、そこで採れたスパーライト。Spurrite。ヤフオクでゲット。

組成は Ca5(SiO4)2(CO3)。もろ石灰石とケイ酸ですな。平凡ちや平凡。
汎産の鉱物で、結晶も形成されない、取り立てて見所のある石ではないのだけれど、1970年に布賀で発見されたものは美しいラベンダー色をしていて、世界的に有名になったとのこと。紫の発色原因はチタンあるいは希土類と推察されているがはっきりしたことはわかっていない。ふうん。
商品説明では「綺麗な紫色の部分の少ないスパー石で、 脈状の青い鉱物がヒレブランド石です」
まあ、確かに少ない。しかしなかなかいい色。全部がこれだったら確かに美しい石だったろうねえ。
けど脈石になっている「ヒレブランド石」とかは明るい青に澄んで美しい。



しかし「ヒレブランド」は Hillebrandite で、これ米国人名由来だから「ヒルブランド石」でしょう。トンカツ屋じゃああるまいし。(こら)
組成は Ca2SiO3(OH)2。炭酸が飛んじゃってるのね。高温下でスパー石と熱水が反応してできる鉱物で、肉眼的な結晶にはならずカルサイトと混ざり合っている、ということらしい。珪灰石に水酸基がくっついていると言えなくもない。ブルー・ドロマイトは美しい稀少石だったけど、ブルー・ヒルブランダイトも案外稀少石だったりして。

まあ茫洋としていて、包みを開けた時は「は?」みたいな感じだったけど、じっくり眺めているとそれなりの味わいがあります。こういう雑石でもなく、美石でもない石というのは、何か心落ち着く感じ。
それに何つったって超有名産地のものだし、珍しいスカルン鉱物だし。


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