貧乏石好き

つれづれなるままに石をめぐりてよしなきことを

緑水晶

2022-05-14 10:41:14 | 国産鉱物

インクルージョンもので水晶に足をちょびっと踏み入れて、青水晶に進んだところで、別の水晶が目に止まった。
いつものようにネットを彷徨っていて、名取貴石さんのサイトに行ったら、どうも気になる形と色をしたものがある。見ると「荒川鉱山産緑水晶」とある。何か妙に美しい。まあ青を買ったのだから緑もいいでしょう(何だよそれ)ということで、ぽちった。割とお安い。



いや、実に美しい。
芽生えて拡がったような姿もいいし、結晶先端の淡く透き通った緑がぞくぞくする。全体的には半透明なのだけれどその白もいい。
写真がへたでなかなか表現できないから、数で攻める。




この儚い緑は、ユークレースとかオージェライトと相通じるところがある。どうもあちきはこういうの好きらしい。
名品を見慣れた人たちには何ということもなく映るかもしれないけれど、あちきにとっては、えらく心に刺さったのでした。
回転台に乗せてくるくるさせると、じっと眺め入ってしまうのです。

同じく荒川鉱山産緑水晶を扱っているキラリ石さん(名取さんの姉妹店)の説明にはこうあります。
《銅鉱山として有名だった荒川鉱山の緑水晶は、緑泥石の一種であるシャモス石を内包して緑色をしています。》
岩手県仙北郡の荒川鉱山は、大規模な銅産出で栄えたらしい。
これはその採銅の副産物でオールドコレクションなのか、それとも近年にハンターが付近で採取したのかは不明。まあどうでも(またかよ)いいけど。

    *     *     *

緑泥石(クローライト)は単独鉱物名ではなく、グループ名。組成は……
(Mg,Fe,Mn,Ni)6-x-y(Al,Fe3+,Cr,Ti)y□x(Si4-xAlx)O10(OH)8
は? 何だって? これ化学式なのかい? それとも何かの暗号?

《Mg3(Si2O5)(OH)4(蛇紋岩)と(Mg2Al2)(SiAl)O5(OH)4(アメサイト)を端成分とし,Mg2+ が Fe2+ で置き換えられた複雑な固溶体.低温変成岩,たい積岩,熱水変質を受けた火成岩に産出する.淡緑色を呈する.》森北出版『化学辞典(第2版)』

《緑泥石鉱物の総称で、クロライトともいい、造岩鉱物、造粘土鉱物として重要。ケイ素(一部、アルミニウム、鉄、ホウ素などが置換することがある)の四面体がつくる二つの層が、金属原子がつくる八面体の層を挟み、さらにこれらの複合層の間に金属原子と水分子でつくる八面体の層が入っていることを結晶構造上の特徴とする。化学成分の変化によって、11種以上の鉱物名がつけられている。たとえば、クリノクロア[セラフィナイト]、シャモス石、須藤石などがある。……低温でできた変成岩、とくに緑色片岩や緑色岩(変成した塩基性岩)の主要な構成鉱物として多量に産する。》小学館『日本大百科全書』

《緑色片岩(green schist、グリーンシスト)とは、変成岩の1種で、玄武岩やそれに類する組成の岩石を源岩に低変成度で形成された結晶片岩。緑閃石[アクチノライト]、緑泥石[クローライト]、緑簾石[エピドート]などの緑色の鉱物を含むことからこの名前が付いている。》「岩石鉱物詳解」ネットサイト

シャモス石(シャモサイト)は、(Fe,Mg,Fe3+)5Al(Si3Al)O10(OH,O)8。フェとアルとオーがなんで蒸し返されるのか。フェフェアルアルオーオーオーって歌みたいだね。(あほ)

うん、理解することをあきらめた。要するに緑の石なんだね。


クローライト・イン・クォーツということなら、パフェさん(デザートかよw)でおまけにもらったものがある。10ミリくらいの両錐。パキスタン、スカルドゥ産。

針状結晶が入っている。しかし緑ではなく、黒のようなよくわからない色。石全体は透明。ぱっと見で美しいとは言えないかもしれないけど、面白く、味わいがある。かわいい。
大分県の尾平鉱山で採れる有名な「マリモ水晶」もクローライト入りだそうだけど、あちらは濃い緑の球状結晶。
荒川君は結晶らしきものはあちきの目では見えない。滲んで染まっている。
うむむ。変幻自在ですなあ。

ともあれ、この緑水晶はえらく気に入りました。
高額な美品でなくても、琴線に触れる、いや、魂がぐっと掴まれてしまう石がある。そういうところも愛石趣味の面白さかもしれませんな。


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