貧乏石好き

つれづれなるままに石をめぐりてよしなきことを

クロムトレモライト

2021-11-16 20:29:58 | 単品



何とも美しい緑。緑の鉱物は多いけれど、それぞれに味がある。このクロムトレモライトの緑は、少し黄色味を帯びた、愁いのある繊細な緑。
同じクロムによる発色で有名なのはエメラルド。でもエメラルドの緑とトレモライトの緑は少し違う。ま、個体差もあるでしょうけど。
セルフクリエーションさんで1700円。ありがたい。

トレモライトは角閃石(アンフィボール)の一員。角閃石というのは、与党繊維派(イノ珪酸塩鉱物)で、「アスベスト(石綿)」に含まれる。
アスベストと聞くと、とたんに誰もが身構える。というか、逃げる。

アスベストで主に問題になるのは、蛇紋石系のクリソタイル(温石綿)とクロシドライト(青石綿、石綿状のリーベック閃石)、およびアモサイト(茶石綿)の3つほど。特にクロシドライトは、細く硬く尖っていて、危険らしい。
トレモライト(透閃石)とアクチノライト(緑閃石)は、「角閃石グループ」の中の「Ca角閃石サブグループ」の中の「透閃石-緑閃石グループ」構成員(なんじゃよこの説明)で、これを用いた石綿製品の製造は禁止されているけれど、鉱物自体が毒物扱いされているわけではない。
ぶっ叩いて粉々にして吸引すればやばいかもしれないけれども、触ったくらいでどうなるものでもない。と思う。

アクチノライトもあちきはなぜか持っているのでありまして、こちらのゾイサイト(明るい美しい緑)と共生している黒い結晶がそれ。きらきらして美しい。棘になって剥がれたりはしない。五反田産200円。(またかよ)

発ガン性というと世間はヒステリックに大騒ぎするけれど、これ、けっこういい加減。日本の鰹節は、製造過程で燻す。その煙残留物に発ガン性があるとして欧州では輸入禁止になった。は? 日本人はずっと食ってきましたがな。
大量摂取のケースはともかくとして、ネズミに毎日塗りつけたら癌が出ましたくらいで、猛毒のように忌避するのはおかしい。
いや、そもそも癌とは何か、どうやって生じるのか、まだまだわからないことは多いのに、身の回りのあれこれに必死になって「発ガン物質」のレッテルを貼るのは、やり過ぎでしょうに。「癌は心因性だよ。あんたたちの心が起こしているんだよ」なんて言う人もいるくらいで、あんまりヒステリックになるのはどうかと思いますがね。

ちなみに、アスベストに代わって現在建材などに広く使われているものが、珪灰石(ウォラストナイト、CaSiO3)。タイルや陶磁器などのセラミック原料としても利用される。細長い針状結晶だけれど、アスベストのように柔らかくはなく、毒性もないらしい。

石綿も、フロンガスも、「理想の素材」と言われたもの。こんな素晴らしい素材はない、と誰もが思った。けれどそのどちらも、よろしくないとして禁止になった。どうも神様は理想の物質というものを人間にはお与えにならないらしい。抗生物質だって、やはりね。

けれど、このクロムトレモライトを始め、美しい石の数々を眺めていると、ここに「理想の物質」があるじゃん、と思う。経済的効用はなくても、本当に純粋で美しい物質の理想がそこにある。とあちきは思ったりもするのであります。


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