貧乏石好き

つれづれなるままに石をめぐりてよしなきことを

ダイヤモンド

2023-03-10 12:22:00 | 単品

なにせ貧石ですから、「ダイヤモンドなんて買うかよ」と思っておりました。(ひねくれてるんだろw)
しかし、浅草橋ミネラルマルシェで東洋ルースさんの部屋に入ったからいけない。ちびいのが2000円。
「まあ、一つくらいあってもいいのではないかな」と日和って、籠に入れてしまいました。(自分で禁制を作っておいてそれを破るのが好きなのねw)
で、安くてもやはりダイヤですから、コレクション棚の中ではなく上に置いておいたのです。(なんだい、やっぱ〇〇やんw)
で、ある時、ちょっと遠目でそれを見たら、ん?となった。
えらく強い光を返してくる。
室内灯の弱い光で、石全体は暗いのに、一点、びかあっと光を放っている。
はあ、なるほどと思いましたね。
高い屈折率と計算され尽くしたカットによって、光を極度に集めて、それを反射させる。一点豪華主義というか、少数精鋭主義というか。
これがダイヤの魅力なのね、と。


ビカァっつうのは写真には撮れないですな。

前に屈折率のところで、「屈折率が高いことのデメリットはわからん」と書いたけど、デメリットは「石全体が明るく浮かび上がりはしない」ということではないか。フローライトのような低屈折率のものは、石全体がぽわあっと光をにじませる。その逆。数点の反射のために全体は暗くなるのではないか。素人の観察だからあやふやだけど。(頼りないねえ)
まあ、ともあれ、この強烈な反射光はすごいなあと感心しました。
あくまでビギナーのナイーブな感想です。ダイヤの世界は奥が深い。質とかカットはもちろん、色つきとか無研磨原石とか蛍光ものとか、いろいろと魅力はあるのでしょうけど、あちきは近づけません。

     *     *     *

ダイヤモンドがどうやってできるかというのは、いまだ決着がついていない問題。
5万気圧以上の超高圧でしかできない。大陸衝突の高圧変成帯でも出ることは出るけどごく小さい。大物はやはりマントルの深い所でできるもの。けど深くでできたものがゆっくりと上がってくると分解してしまう。ダイヤがダイヤであり続けるためには、キンバーライトという特殊な超塩基性(ケイ素が少ないということ)火成岩に包まれて、猛スピードで上昇してくる必要がある。なんかマッハ3とかいう説をどこかで読んだけど、ほんとか嘘かは知らない。
このキンバーライト、クレーターができるような巨大噴火をするものらしい。
《キンバーライトは超深部マントル由来の微量元素の化学組成をもち、スーパープルーム由来であることを示唆する。キンバーライト・マグマは揮発性物質[水や二酸化炭素]を異常に多量に含んでおり、マントル中で上昇・減圧すると、急激に体積膨張するために、最終的には新幹線なみの速度で一気に地表に吹き抜けるとされている。》(磯崎行雄「分裂する超大陸と生物大量絶滅」『プルームテクトニクスと全地球史解読』所収)
図を拝借。

このキンバーライト巨大噴火は2億5000万年前ごろ地球のあちこちで起こって、超大陸パンゲアの分裂や、古生代・中生代の境界(P-T境界)を画する生物大絶滅を引き起こしたのではないかと磯崎先生は考えているらしい。
ん? そこで出たダイヤモンドはどこへ行った?(みんな血眼で探してるよ)
このキンバーライト巨大噴火は有史時代では起こっていない。ううむ、面白そうだからまた起こらんかな。(とんでもないことになるぜ)

さらにさらに。これまで一般にダイヤモンドは地下150km以深のマントル中で生成したと考えられてきたけれど、最近の研究によると、ある種のダイヤモンドがインクルしている「マグネシオウスタイト」は、ダイヤがさらに深い660kmのマントル遷移層から下部マントル最上部でできた可能性を示しているという。
つまり、ダイヤモンドは、「地上では見ることのできない下部マントルの物質」を運んできていることになり、地球科学にとってはこれがたいへん貴重な資料になるらしい。(入船徹男「地球深部からの手紙」同前書所収)
最近は水晶でも他の石でも、「インクル」入りが流行っているようですけど、そのうちダイヤでも、「下部マントル物質をインクルした超レアもの」とかいうのが出回るかもしれませんね。「マントルレター・ダイヤモンド」とか名前つけたりして。

まあさすがダイヤモンド。いろいろな秘密がそこに隠されているようです。


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