
ヒオウギ(檜扇)
庭に今年初めてのヒオウギの花が咲きました。
祇園祭の花と言われ、今の時期山鉾町ではこのヒオウギの花を活けるそうです。
今日は宵山。まさにドンピシャです。
園芸品種もあるようですが、このヒオウギがたぶん、もともと自生していた種類かなと。

びっしり咲いたら夏の日盛りにはけっこう暑苦しいんじゃないかと思える色。花がまばらだから涼しげで風流です。

全体の姿。庭の一画なのに深山幽谷みたいに見えてしまうのがちょっと考えさせられます(笑)
この平らに重なって広がる葉っぱの形がヒノキを削って作った檜扇に似ているからヒオウギ。
(余談ですが扇子の一番初めの形は檜扇なんだそうで。板を薄く細く削って作った木簡をかさねて、片方の端を止めて作ったのが扇子の始まりだそうです。)
うちでは毎年勝手に生えて勝手に咲いて勝手に実がつきます。花に似合わぬごつい実で、中に黒い種が入っています。種のことをヌバ玉と呼ぶそうです。これがまた勝手に落ちて来年生えてくるわけです。何人かの方が珍しがって「植えてみるわ」と持って帰られましたが、さてどうなりましたことか。

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カヤツリグサ(蚊帳吊り草)
子供の頃、カヤツリグサ科の中で初めて見つけて調べてカヤツリグサという名前を知ったのがまさしくこのカヤツリグサそのものでした。
涼しげな姿と気の利いた名前。すっかりファンになったのですが、コゴメガヤツリに押されたか案外見かけなくなったような気がします。

コゴメガヤツリ(小米がやつり)
こっちがコゴメガヤツリ。カヤツリグサよりつぶつぶとして丸い感じがします。
ところで私はカヤツリグサのファンなのに子供がこの草で蚊帳を吊って遊ぶという遊び方が実は分かっていませんでした。今の今ネットで調べて夜の庭からアオガヤツリを切ってきてやってみて、やっと分かりました。こうだったんですね。

茎だけにして断面が三角形の茎を片側から裂き、反対側から違う向きで裂いて開くと四角形。蚊帳に見立てたり升に見立ててマス草ともいうそうです。
私は穂の形に引かれていたんですが、昔の子供は穂なんかあっさりちぎっちゃって茎を裂いて遊んでいたんですね。

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アオガヤツリ
カヤツリグサ科の草はよく生えて困る雑草なんですが、姿が良くてつい引かずに残してしまいます。
アオガヤツリ(青蚊帳吊り)は我が家の庭によほど良く合うと見えて、今の季節、隣との境のしけった道のふちはアオガヤツリでいっぱいです。これでほぼ実物大。雑草のくせに気品と高級感があって、退治しにくい困った奴です。

ヒメクグ
ヒメクグ(姫くぐ)は名前がかわいい。クグはカヤツリグサの類の古い呼び名だそうです。玉の直径は1cmも無いくらいです。
もっと小さい玉が品の字の形に並んだヒンジガヤツリ(品字がやつり)を見てみたいものです。
他にもミズハナビ(水花火)とかヒナガヤツリ(雛がやつり)とか、思わず見つけてみたくなるような良い名前の付いたものがなぜかカヤツリグサの仲間には多いですね。

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ヘクソカズラ(屁糞かずら又は屁臭かずら)
レディとしてはオオイヌノフグリと並ぶ言いにくい名前の代表です。
早乙女花、やいとばな(お灸の痕に似ている)という別名もあるのになぜこれが正式な和名になったのか?名前を知ったときガックリきて、しばらく何も言いたくありませんでした。でも古名のクソカズラに比べれば“屁”が付いただけ婉曲的な表現になったような・・・?
この臭さは標本にしても消えません。乾燥用にはさんだ新聞紙の何枚も前から匂います。また、どう丁寧に乾燥しても黒く変色しますし、名前とともに採集した子供の頭に強烈にインプットされる・・・という点では“勝ち組”なのか?あかね科です。

ヤブガラシ
ヤブガラシまたの名をビンボウカズラ。屁糞に比べるとはるかに上品に聞こえます。藪に絡み付いてはびこり、林を枯らしてしまうというので藪枯らし、その結果家が貧乏になるので貧乏かずら。
地味な花ですがよく見ると実に可愛い。赤やピンクに見えているのは花びらではなくて緑色の花弁が落ちたあとの花盤だそうで、ピンクに色あせていくことでよりきれいに見えるようです。
こんなに地味なのに蜜が多いのかアゲハチョウがよく来ます。よく見ないと気づかない小さな花にアゲハチョウ。不思議な感じもしますが定番の風景です。
(真後ろに写っている丸い葉は別の草。脇のほうにあるぎざぎざの葉がヤブガラシの葉です。ぶどう科。)

どう撮ってもまとまりのない花ではあります。

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ワルナスビ
ヨーロッパから牧草に混じって入ったとか。
こんな可愛い花を悪ナスビなんてかわいそうと言う人もいますが、
でもこれ、見てください。

分かります?このトゲトゲ。
葉の表はこうです。

で、葉の裏はこうです。

忘れもしないン十年前、高瀬川の暑い堤防で、植物採集していた私は気がつくとこのワルナスビの群落の中にいました。踏み込んでしまったのを後悔しても後の祭り。ジーパンの上から軍手の上からズクズクと刺されてどうやったらここから出られるのかと思いましたよ。それでも何とか標本は手に入れましたけどね。
家に帰って図鑑を調べて『悪ナスビ』と知ったときには「よくぞ名付けた!」と思いました。
茎ばかりか葉の表裏にも鋭い棘!牧野図鑑には“裏面の中央脈状に数本の直立した棘をもつ”と冷静に書いてありますが、これ、中央脈状だけですか?数本ですか?いや、すみません、刺されまくった恨みがあるものでつい・・・。
傷つかずには近づくこともできないあなた。なにがあなたをそうさせた?と聞きたいほどの警戒ぶり。おまけに有毒だそうで。


イヌホオズキ
同じナス科のイヌホオズキ。ああ、癒される・・・。
ほらね、トゲトゲしなくても生きて行けるのに。
でもこれも有毒。

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ナワシロイチゴ(苗代の頃に実が熟すから)
雨に降り込められたり犬の散歩コースを変えたりしているうちに、苗代イチゴの季節が過ぎてしまいました。ほとんどが台だけ残して実は落ちた後でした。残念!
残っていたわずかな実を何とか写真に撮りました。

これはまた別の場所。
「どうぞお召し上がりください」と言わんばかりですが
食べてみるとけっこう酸っぱい。
でもヘビイチゴなどとは比べものにならず、「食べられます」。
暑い道を歩いてのどが渇いた時なんか、この酸っぱさがうれしかったりします。


5月中旬に撮っておいた花。開いているのはガクで、花弁は開かない地味な花ですが、よく見るとバラの仲間らしい面影があります。

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クワ
桑の実が熟して、下の道が黒くなるほど落ちるようになりました。
放置した畑にも桑の木がたくさん生えています。隣のもっと早くから放置された林から鳥が運ぶようです。
桑の実はおいしいので待ちかねて食べる方もあるようですが、もう、これだけたくさん実っているといささかグロテスクで、私は食欲が湧きません。びっしり実った枝を写真に撮ってみるとちょっと“ギョッ!”とする感じなので、割合まばらな枝の写真を使っています。

これがビッシリだとちょっと・・・

絵に描く好みとしてはこれくらいでしょうか。
桑の木はお茶の道具などにも使われていますが、私が育った家では濡れ縁が桑の木でできていました。うんざりするような夏の盛りに、厚さ3センチもあるような桑の無垢板はひんやりとして気持ち良く、ほっぺたを乗せてはその緻密な感触を楽しんだものです。

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