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40代の苦しみは、老後の幸福につながる 「お金と仕事」2大苦悩から解放される方法

2015年03月30日 08時00分46秒 | お役立ち情報
 「世界の国民幸福度」で日本は43位――。なぜ日本人は幸福を実感していないのか?前回記事では、人が幸せになるには、いくつもの要因があることがわかった。

  それらの幸福要因の中でも、多くの人が重要視するのが「お金」だ。「お金」の存在は、幸せか否かを判断する際に必ず指標の1つとして語られる。

  お金持ちにさえなれば、人は手放しに幸せになれるのか? 慶應大学大学院の前野隆司教授に解説してもらった。

 ※ 前回記事:『日本人が幸せを感じるための「4つのヒント」』はこちら

 人の幸福を語る上で避けて通れないのが、お金の問題です。では、お金があれば「幸せ」を買うことができるのでしょうか? 今回は、この点を探ってみましょう。

 『「幸せ」について知っておきたい5つのこと』(KADOKAWA)の中でも触れられていますが、米プリンストン大学の研究者が発表したところによると、所得が増えるにしたがって「生活の満足度」も同時に高まる一方で、年収7万5000ドルに達すると、「幸福度」の向上は頭打ちになるとのことでした。

 45万人のアメリカ人に対して調査を行った結果ですが、実に興味深いデータだと思います。大金持ちになればなるほど人生の満足度は上がっていきますが、その人生が楽しみに満ち溢れているかどうかは、別の次元の話になるというのです。

 この研究結果を見ることで、まずは年収7万5000ドルを目指そうと思う人もいるのではないでしょうか。ただし、7万5000ドルというのは、現在の為替レートで計算すると日本円で約900万円に相当します。実際問題として、今の日本でこの額の年収を得るのはそう簡単ではないはずです。

 だからといって、ここで悲観的になる必要はまったくありません。幸せについてお金の果たす役割が大きいことは否定しませんが、前回の記事で「4つの因子」について述べたように、幸せをもたらす要因には他にも様々なものがあるからです。

 例えば、家族や恋人への愛情を抱くと人は幸せになれますし、他人に親切をするだけでも豊かな気持ちにひたれます。その他、ささやかでもいいので、自分のやりたいことを実現させるというようなことでも、幸せを呼び寄せることができるのです。

 ここで大切なことは、バランスを重視するということです。愛情、親切、自己実現、収入といった要素をすべて満点にする必要はありません。事実、オール満点を目指そうとすると際限がなくなり、精神的に疲弊してしまう結果を招きます。

 仮に所得が900万円なくても、幸せへと導く要因はほかにいくらでもあります。それらをバランスよく満たすことで十分幸せになれるのです。

 愛情や親切、感謝、夢の実現、安全、人とのつながりなどを織り交ぜ、自分にとってのベストミックスを探り、無理のないかたちで「自分にとっての幸せ」を求めていくことが理想の方法といっていいでしょう。満ち足りていると思えば、人は年収300万円でも500万円でも幸せを実感できるものです。

 『「幸せ」について知っておきたい5つのこと』中で、ロバート・ビスワス=ディーナー博士が、「40代~50代にかけて幸福度が著しく低下する」という研究結果を紹介しています。読者の中で、今まさにこの年代に当てはまる人にとっては、納得できる話なのではないでしょうか。

 幸福度低下の最たる理由は何かというと、それは自分に課された責任に対するプレッシャーの大きさです。

 この年代は、会社でも責任のある仕事を任され、家庭においても子育てや住宅ローンなどの重い責任を抱え込むことが多くなります。これらが足かせとなって、幸福度を低下させるのです。

 残念ながら、生きていく以上、年を重ねることで生じるこうした責任を回避するのは難しいことです。

 この段階で私たちができるのは、とにかく「考える」ことだと思います。もっと簡単な方法があればいいのですが、それ以外の解決法はなかなか見つからないのが現実社会の厳しさといったところでしょうか。

 私自身、40代に入ると様々なプレッシャーにさらされるようになったという記憶があります。そして、その時に何をしたのかというと、やはり考えて考え抜くことでした。これを繰り返すことによって、度重なる苦労を乗り切ることができたのです。魔法のような近道はありませんでした。

 振り返ってみると、その際に精神の支えになったのは、個人的成功や自己実現などの達成感が幸福感につながる「やってみよう」因子や、感謝や親切に触れることで幸せを感じる「ありがとう」因子など、「4つの因子」 だったように思います。

 40代~50代になると多くの人が経験する苦労ですが、これも大きな視点から見ると、決してマイナスではないと捉えることもできます。

 以前に私が行った調査では、「苦難を経験した人のほうが、共感や感動の力が強い傾向がある」という結果が出ています。

 共感や感動する力が備われば、他人の気持ちを想像することも容易になります。それによって、必然的に人とのつながりが強まっていきます。共感や感動といった非常に人間的な感情を抱くことが、回りまわって主観的な幸福感にも結びついていくのです。ですから、長い目で見れば、40代~50代における苦労も決して無駄なことではありません。

 一般的には、年をとるにつれて融通が利かず頑固になってしまったり、体力が落ちて体の自由が狭まるといったマイナスなイメージが先行しがちです。

 ところが、年代に関する研究の結果によると、つらい40代と50代を乗り越えると、その先は幸福を感じやすい人生を迎えることができるといいます。その理由は、高齢になるにつれて受容性が高まるからです。

 年をとれば、健康問題に直面し、自分の死と向き合うことも多くなります。これは幸せにとってはマイナスですが、その一方で、それまでの人生でいくつもの困難を乗り越えてきた豊かな経験があるので、そうした苦難も再び乗り越えられると考えることができるのです。

 どんな逆境でも受け入れられるという精神的な強さは、人を確実に幸せにします。

 さらにいうと、年をとるにつれて記憶力が低下するため、それがそれが幸福度にプラスに働くことも考えられます。つまり、物事を忘れがちになるので、細かいことをいつまでも覚えていてイライラすることも少なくなるというわけです。

 こんなふうに、限りある人生に対して上手に着地していくことができれば、高齢になっても幸せ度を上げていくことができるはずです。年をとればとるほど幸福度が高まるということを知れば、若いうちから楽観的な気持ちになれるのではないでしょうか。

 「年をとるまで待てない」

 「今すぐに幸せな気分になりたい」

 こんな人にお伝えしたいのは、何らかの行動を即座に起こすことです。

 人は活動的になると、必ず満たされた気持ちになります。活動にも色々なものがありますが、特に効果的なのが、体を動かすことです。

 平日の仕事に疲れ果て、週末は家でゴロゴロとしたいと思う人もいるかもしれませんが、外に出る機会があれば、ぜひそれを逃さないようにするべきです。

 体を動かすといっても、ハードな運動をする必要はありません。要は主体的なアクションを起こすことが大切なので、博物館に行くといった行動でもいいのです。

 能動的に動き出すと、必ず誰かとの出会いが生まれます。その出会いが新たなつながりや発見となり、自分にとってポジティブに働くのです。

 こうした効果に恵まれるチャンスが広がるので、家の中にこもるのではなく、できるだけ外出して行動を起こしてください。

 もちろん、運動することもいいことです。ジョギングやウォーキングは相変わらず人気がありますが、単に庭でゴルフのスウィングの練習をするだけでも、十分に気分が晴れてきます。

 行動によって何らかの成果が得られると、人は幸せを感じます。私たちは以前の自分よりも成長したことを実感すると幸せになるものなのです。これは、「4つの因子」の中の「やってみよう」因子に当てはまることです。

 子どものころ、逆上がりができるようになった瞬間、大喜びしたことをいまだに覚えている人も多いのではないでしょうか。こうした感受性は成長しても消耗することなく、どんなに年をとってもしっかりと残っています。

 何かを始めることについて面倒だとは思わずに、少しでも興味を持ったことは童心に立ち返って挑戦してみることです。

幸せになるのは一見難しいことのように見えますが、幸せとは何なのかを知り、それを実感するために行動を起こすことで、思いのほか容易に幸せになることができるのです。

 日常生活の中での小さな行動の積み重ねを怠らず、これまでの意識を少し変えてみることによって、幸せをもっと身近なものにしてみてください。どんな状況にあっても、人は必ず幸せになれるのです。

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