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会社員は知っておきたい所得控除って何?どんな種類がある?

2017年07月30日 09時31分01秒 | 労務
所得控除とは税負担を軽くする配慮
障害を負った人、健常な人、学費のかかる子どもがいる人、病気がちな人、健康な人、面倒をみなくてはいけない家族がたくさんいる人やそうではない人……世の中にはさまざまな境遇の人がいます。

また、社会保険料をきちんと納めている人と滞納している人、生命保険や地震保険に加入している人としてない人、といった違いもあります。
税務というのは本来「課税の公平性」といって、税金を負担する能力に応じて課税するという考えに基づいています。そのため、年収以外にもこのような諸事情についてきちんと考慮してくれています。
障害を負った人、学費のかかる子どもがいる人、病気がちな人や面倒をみなくてはいけない家族がたくさんいる人、社会保険料をきちんと納めている人や生命保険や地震保険に加入している人などについて、税務では規定を設け、税負担を軽くする制度があります。これが「所得控除」といわれるものです。

所得控除は14種類
所得控除は現在14種類あります。また、社会政策的配慮から設けられているもの(=物的控除)と納税者の個人的事情を考慮したもの(=人的控除)の2つに大別できます。

●物的控除
雑損控除、医療費控除、社会保険料控除、小規模企業共済掛金控除、生命保険料控除、地震保険料控除、寄附金控除
●人的控除
障害者控除、寡婦(寡夫)控除、勤労学生控除、配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除、基礎控除
ここでは詳細な適用要件ではなく、元となる考え方を解説していきます。

雑損控除って何?
雑損控除とは、住宅や家財・現金など生活に必要な動産が災害・盗難・横領にあったときに対象となる所得控除です。

「生活の質」に着目しているものなので、書画・骨董・30万円を超える貴金属などが盗難にあっても対象とはなりません。また、原因も「災害・盗難・横領」となっているので、「振り込め詐欺にあって現金を振り込んだ」といった場合も対象外です。

医療費控除って何?
医療費控除とは、「病気がちな人のほうが健康な人よりも大変だろう」という社会政策的配慮に基づいたものです。

「年間の医療費が10万円を超えると医療費控除の対象になる」と理解している人が多いでしょう。病気がちな人の場合、年収が低くなることも予想されます。給与に限っていうと、年収が311万6000円未満であれば、対象となる医療費が10万円を超えていなくても医療費控除を受けられます。「一律10万円以下は不適用」だからといってあきらめるのは早計かもしれません。
なお、平成29年より市販薬医療費控除(正式名称:特定一般用医薬品を支払った場合の医療費控除特例)が創設されます。これは、医療費の公費負担をでくるだけ抑制しながらも、健康寿命が延伸するための社会を実現するためにはセルフメディケーション、つまり市販薬を自主服薬した場合にも医療費控除の適用を拡大すべきとの考えからできたものです。
こちらは、上記の通常の医療費控除との選択適用となりますが、一定の成分を含む市販薬の購入費が1万2000円を超える場合に適用されるので医療費控除の活用幅の拡大が期待されています。

社会保険料控除など、その他の「物的控除」の考え方
社会保険料控除や小規模企業共済掛金控除、生命保険料控除や地震保険料控除なども、前述のとおり、社会政策的配慮にたった所得控除です。つまり、健康保険や年金などをきちんと納めている人や、生命保険や地震保険に加入している人を、そうでない人よりも税務上で優遇しましょうという考え方です。

なお、小規模企業共済等掛金控除の対象ですが、独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営している小規模企業共済掛金はもちろんのこと、確定拠出年金法に規定する企業型年金加入者掛金又は個人型年金加入者掛金も小規模企業共済等掛金控除の対象となります。
こちらも平成29年1月より企業年金のある給与所得者、公務員、専業主婦であっても個人型確定拠出年金制度に加入できることから、加入者の大幅アップが見込まれています。
小規模企業共済等掛金控除として所得控除の適用を忘れないようにしましょう。
また、寄附金控除は、「国や地方公共団体などに対する寄附は社会政策的に有用である」という考え方に基づくものです。地方公共団体に対する寄附には、いわゆる「ふるさと納税」も含まれ、平成22年度税制改正でその下限額が5000円から2000円に引き下げられました。より寄附金税制を推進させようという流れではないかと思います。

配偶者控除や扶養控除が設けられている理由
配偶者控除や扶養控除は前述のとおり、個人的事情を考慮した所得控除(=人的控除)です。つまり、「面倒をみなくてはいけない家族が多ければ多いほど生活が大変」という境遇に配慮したものです。

しかし一方で、「稼ぎのある家族」であれば、その収入で生活費の不足分を補えるとも考えられます。そこで、配偶者控除も扶養控除も「合計所得金額38万円以下」という所得要件を設けています。
この「合計所得金額38万円以下」という所得要件をアルバイトやパートに置き換えると、年収103万円以下(38万円+給与所得控除の最低額65万円)となります。一般的に「年収103万円以下は税務上の扶養の範囲」といわれるのはこのためです。

障害者控除など、その他の「人的控除」の考え方
その他、個人的事情に着目した所得控除として、障害者控除や寡婦控除(寡夫控除)があります。

障害者控除とは、本人や家族が障害者である場合、生活に負担がかかることに配慮した所得控除です。また、障害の程度が重い場合には「特別障害者」といって控除額が加算されます。さらに、特別障害者である配偶者や扶養親族と同居している場合、上記の特別障害者控除とは別に、配偶者控除や扶養控除の控除額が上乗せされます。
寡婦控除(寡夫控除)は原則、死別や離婚などが原因で生活が困窮することに配慮した控除です。所得制限の有無や扶養親族の有無など、男性と女性で適用要件は異なります。また、パートナーに先立たれた高齢者における適用漏れが少なくないようです。
また、生活が困窮することに対応した制度が寡婦(寡夫)控除だとすれば、婚姻後、死別あるいは離婚したケースであっても、当初から婚姻には至らないケース、つまり未婚であっても同様です。現行の寡婦控除が未婚のシングルマザーが適用対象となっていないことに対応し、所得税に先がけ、住民税においては自治体独自の判断で寡婦控除の「みなし」規定を設けているところも増えています。

所得控除はどのタイミングで適用される?
年の中途で亡くなった場合などを除き、所得控除は年末時点の状況で判断されます。

給与所得者の場合、一般的に、雑損控除・医療費控除・寄附金控除以外の控除は年末調整で処理されます。給与所得者や年金生活者だと、給与所得控除額や公的年金等控除額が「必要経費」として定められています。したがって、年末調整や確定申告などで、「私はこの控除の適用があります」とアピールすることが重要です。
所得控除の意味合いを理解すると、「適用漏れとなっている所得控除」に気づく手がかりにもなります。まずは森をみて(つまり所得控除の意味合いを理解し)次に木を見る(こまかな適用要件をチェックする)ということが重要ではないでしょうか。

© 田中 卓也 オールアバウト 提供 所得控除って何?どんな種類がある?

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