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円高阻止、介入以外に手立て無しか

2016年04月12日 06時53分44秒 | FX
 円相場が先週の取引で1年5カ月ぶりの円高・ドル安水準を更新したことを受け、世界中のトレーダーは一つの大きな問題について考え込んでいる。いったい円高はどこまで進むのかという問題だ。

 答えは経済だけでなく、それと同じくらい政治にも関係しているようだ。

 円は7日の海外市場で107円66銭をつけ、2014年10月27日(107円58銭)以来の高値を記録した。円のドルに対する年初来上昇率は約11%に達し、アジアの主要通貨の中で首位に立つ。

 2013年から積極的な金融緩和を進めてきた日本銀行が16年1月に初めてマイナス金利政策を導入したにもかかわらず、円高の勢いは止まる気配がない。

 こうした円の底堅さの主因は、日銀の緩和政策が生む円安圧力よりもさまざまな海外要因による円高圧力の方が大きいことにある。年初には中国株や人民元の急落を発端に世界同時株安が起き、欧州銀行部門の健全性に対する懸念も広がったことで、投資家は伝統的な安全逃避先通貨である円に殺到した。米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ姿勢後退による最近のドル安基調も円高につながっている。

 ストラテジストらは相次いで2016年の円相場の見通しを円高・ドル安方向に修正しており、日本政府・日銀が直接の市場介入に踏み切らない限り足元の円高は止まらないとの見方も多い。

 JPモルガン・チェース銀行のチーフFXストラテジスト、棚瀬順哉氏は、介入を決める上で政治的判断が最も重要な要因となると指摘した。同氏は現在、年内に103円まで円高・ドル安が進むと予想している。年初時点では110円までの円高を見込んでいた。

 政府・日銀はかつては介入も辞さなかった。最も最近に行われた介入は、2011年の東日本大震災直後の円売り介入だ。このときは震災後の日本経済の回復を妨げかねない急激な円高を阻止することが狙いだった。

 だが今回は、日本の当局内では円売り介入に踏み切れば米国から反発を受けかねないとの懸念がある。安倍晋三首相が5日のウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)とのインタビューで、「為替市場への恣意(しい)的な介入」や「通貨安競争」を控えるべきだとの認識を示したことについて、事情を知るある関係者は8日、米国との摩擦を避けたいという意図を反映している可能性が高いと指摘した。

 この関係者は日本当局が介入をためらう理由として、米大統領選に向けた候補者選びでそれぞれ首位を走る共和党のドナルド・トランプ氏と民主党のヒラリー・クリントン前国務長官がいずれも事実上、日本を為替操作国とみなしていることに加え、環太平洋経済連携協定(TPP)が貿易で優位に立つ目的で自国通貨安を誘導しないことを参加国に求めていることなどを挙げた。

 アナリストらによると、日本主催による主要7カ国(G7)首脳会合(サミット)を5月に控えていることもおそらく当局が二の足を踏む理由だろう。3月には20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が通貨の競争的切り下げを回避することで合意したばかりだ。

 一部では、さらに大幅な円高が進まない限り日銀は介入しないとの意見がある。三菱UFJモルガン・スタンレー証券チーフ為替ストラテジスト、植野大作氏は介入の可能性について、100円を割らない限り考えにくいものの、80円や90円まで円高が進めばあり得るとしている。

 オーストラリア・ニュージーランド銀行は、日本の貿易黒字の急増を理由に、16年末までに1ドル=105円、17年初頭には100円前後をつけると予想している。同行のシニア外為ストラテジスト、アイリーン・チャン氏は「マイナス金利政策や日銀関係者のハト派的発言がもたらす円安誘導効果には限界があるかもしれない、というのが当行の見方だ」と述べた。



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