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どのくらいもらえるの? コンビニの収入事情

2016年05月31日 06時40分38秒 | ニュース
 コンビニオーナーの収入は、どのように計算されるのかご存じだろうか? フランチャイズ契約における計算方法はとにかく複雑で、筆者の知る限り、現役のオーナーでさえきちんと理解している人は少ないように思う。

 そこで今回は、コンビニオーナーの収入について、なるべく分かりやすく書いていくことにする。

●オーナーの給料計算はとにかく複雑

 例えば、一般的な個人経営の店なら、80円で仕入れたモノを120円で販売し、差額の40円が粗利益、そこから経費などを引いて利益となる。これでもそこそこ複雑な計算ではあるが、コンビニの場合は「ロイヤルティー」というものが発生し、本部とオーナーとで利益を一定の割合で分配することになっている。

 ロイヤルティーとは、ライセンスに対して支払う対価や報酬のことで、特許権料のことを指す。また、契約内容によっては、その割合が段階別に変わることもある。コンビニ各社のオーナー募集のサイトを見ると、契約の種類やロイヤルティーについての説明が記載されている(「チャージ」や「フィー」と表記しているところも)。

 ただ、新規オーナー向けのページのためか、細かい計算のロジックまでは明記されていない。コンビニをはじめフランチャイズ契約の多くは、基本的な部分は本部が計算し、ひと月分の利益をオーナーの口座に振り込むという形なので、計算方法の複雑さを理解しないまま運営しているオーナーもいる。

 セブン-イレブンの「Aタイプ契約」を見ると、セブン-イレブンチャージ(ロイヤルティー)は、「売上総利益に43%の率を乗じた金額」と記載されている。逆の見方をすれば、売上総利益の57%がオーナーの取り分ということになる。ただ、ここで注意すべきは、売上総利益すべてがオーナーのポケットに入るわけではないということ(参照:「セブン-イレブン フランチャイズ(Aタイプ)契約の要点と概説」一般社団法人日本フランチャイズチェーン協会)。

総売上原価=月初商品棚卸高+当月商品仕入高−月末商品棚卸高

純売上原価=総売上原価−棚卸増減原価−不良品原価−仕入値引き高

 オーナーの収入を計算するにはまず、上の計算式で「総売上原価」と「純売上原価」を求める。そして、売上高から純売上原価を引き、契約ごとに本部と店が粗利益を分配して、オーナーの取り分が算出されるというわけだ。

 「総売上原価」とは、その月に売り上げた商品の原価の合計だ。ただし、月初・月末の商品棚卸高とは計算上の商品在高であり、万引きなどで紛失した商品については棚卸しされるまで考慮されない。そして、この総売上原価には、日々発生する商品の廃棄分が原価として含まれている。以下の図を見てほしい。

 以前の記事「コンビニで「食品ロス」が絶対になくならない理由」で、弁当などの商品を販売するうえで、販売率が100%になることはないし、あってはならないとされていると書いた。

 本部の言い分としては、商品にある程度の余剰を持たせて機会損失をなくしたい。ただし、発注量はオーナーの技量によるものなので廃棄分は商品原価としては認めないというのだ。フランチャイズ契約がトラブルへと発展する原因は、この計算によることが多い。

 ただ、一定条件下ではあるが、コンビニによっては廃棄分の一部を本部が負担するという契約もある。この場合、「純売上原価」をロイヤルティー計算の前にはさんでいる。要するに、本部は損をしない仕組みになっているのだ。

 また、商取引上の慣習である「一定量仕入れることによる値引き」もロイヤルティーとして求めてくる。商品原価を取り決める商談は本部が一手に行っているので、その営業力によって商品原価が安くなることで“ごほうび的なインセンティブ”が発生する。当然の取り分と言えるが「売れなかった場合のリスクは店舗が持ち、仕入れでトクした分は分配しろ」というのは、いささか欲張り過ぎではないだろうか。

●オーナーのポケットに入る利益はいくら?

 先の計算で終わりではない。具体的なオーナーの給料を求めるには、まだまだ計算が必要になる。本部と粗利益を分配してから、もろもろの経費を引いて月間の収入が決まる。

 では、コンビニ運営に掛かる経費には、具体的にはどのようなものがあるのか、詳しく説明しよう。

人件費

 経費の中で、最も大きな割合を占めるのが人件費だ。売り上げによって変動するが、おおよその基準として、売上対比で4〜6%くらいだ。

 例えば、1日60万円の売り上げだとすると、30日で1800万円の売り上げ。人件費を5%とするなら90万円、4%では72万円となる。

 実は、経費には、オーナーが調節できるものとそうでないものがある。この人件費もその1つ。オーナー店長が休まなければ人件費を抑えられて利益は増えるが、体力的にも精神的にも負担は大きくなる。

廃棄ロス

 現在、コンビニでは1日当たり平均2万円前後(売価)の廃棄を出している。本部が廃棄ロスの一部を負担するという契約も増えてきているが、ほとんどがオーナー側の負担となる契約だ。廃棄ロスは1カ月で30万〜100万円と店によって幅はあるが、これもまたオーナーが直接操作できる経費だ。

 店によっては「いつ来ても、このコンビニは弁当が少ないなあ」と思われるかもしれないが、オーナー自身が生きていくためにはやむをえない経費削減方法とも言える。

電気代

 24時間営業のコンビニでは、エアコンや照明はつけっぱなしだ。そのほか、たくさん電気を使う代表的なモノといえば冷凍庫や冷蔵庫。近年の電化製品は性能や節電効果が高くなっていることが多いため、製造年は要チェックだ。

 実際に、消費電力を年代別に比較したわけではないが、かつて筆者が経営していた店では古い冷蔵冷凍庫を使用していたせいか、電気代が月間25万〜30万円と高額だった。ところが、同じような規模で営業しているにもかかわらず、月間15万円程度の店舗もあるというから驚いた。その差は10万円以上、見過ごせない数字である。

 余談だが、コンビニの多くは10年から15年で大規模改装をするのだが、要冷機を入れ替えるまでには至らない場合もある。オーナーが決められることではないのだが、改装時には要冷機の入れ替えを本部に進言したほうがいいだろう。

 この3大経費のほか、電話代や水道代、レジ袋などの包装代、弁当の箸やデザートのスプーンなど、ここでは書き切れないほど細かいところにまで経費が掛かる。これらの経費を全部引いてはじめて、オーナーのポケットに入る金額が分かるのだ。筆者の経験則上では、売り上げ対比で2〜5%といったところだ。

●説明を受けてもリアルに想像できない

 コンビニの利益計算シミュレーションは、決して簡単ではない。最も難しいのは、さまざまな要因によって、利益率が変化することだ。

 前回、たばこのオマケに関する記事を書いたが、たばこのような利益率の低いものばかり売れる店と、たばこの売り上げ比率の低い店と比べると、店舗の総売上が同じであっても最終利益では大きな差が出る。

 また、人件費も店の立地によるところが大きい。都心部では、アルバイトの時給は高くなるし、地方では安く抑えることができる。廃棄ロスについても、競合対策の戦略によっては多くしなければならない場合もあるし、オーナーの発注技術が伴わないこともあるだろう。

 計算方法を熟知している筆者でも、すべての条件を当てはめなければ正確な利益予測はできない。コンビニ各社はオーナー希望者向けの説明会を開いているが、説明を受けてもリアルに想像できないというのは問題である。これを受けてか、大手コンビニ3社は体験入店やインターン制度を設けている。

 これからオーナーになろうという人は、「独立起業」などというある種の“トランス状態”のまま契約することは避け、すべてを知った上で加盟契約することをオススメしたい。

(川乃もりや)

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