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バーナンキ議長会見詳報(3) 雇用の先行き、「3月の統計だけ

2012年04月26日 07時23分00秒 | 経済
バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長は25日の会見で、雇用情勢の先行きについて、暖冬などの影響もあり「3月の雇用統計だけで結論を出すことはできない」と述べた。詳報は以下の通り。

●長期金利について

 (長期金利の低下が進んだが)勝利宣言をするのはまだ早い。米経済にとってはまだ、市場金利を低水準にとどめておくことが適切だ。

 長期金利が低水準で推移していることには幾つかの理由がある。金融政策や景気の弱さ、インフレ期待の低さ、安全資産としての米国債に対する投資需要の多さ、などだ。金利はいつか上昇するだろうし我々もそれを望む。それが経済の回復と強さを示すことになる。長期国債の保有者は(保有に伴う)リスクを管理し、金利動向を注視していく必要がある。とはいえ、金融緩和策や低金利を維持するには妥当な理由があると考えている。

●労働参加率の低下について

 これは重要な問題で、会合でも大いに話し合われた。失業率がどの程度変われば構造的な問題となり、どの程度なら景気循環に伴う問題といえるのかなどを見極めるためだ。実際、米労働市場では参加率の低下が起きており、これは女性の労働参加率が頭打ちになったことが要因だ。高齢化などにつれて男性の労働参加率が徐々に低下していることも一因だろう。労働参加率は低下の傾向にあるということを考慮する必要がある。

 会合の一部の参加者は労働参加率が過去数年で大幅に低下したことについて、雇用情勢の弱さから若者が一時的に求職を断念するなどといった、景気循環に伴うものだとの見方を示している。

 そのため失業率の低下があまり早く進まないことも予想される。景気が強さを取り戻すにつれて、そうした若者が労働市場に戻ると考えられるためだ。それ自体は良いことで、考えていかねばならない。私は、労働参加率が低下傾向の範囲を超えて下がっているのは、景気の循環につれているためで景気回復に伴い(同参加率も)改善すると思っている。

●雇用情勢における暖冬の影響は

 暖冬のせいで統計の解釈が難しくなっている。暖冬だったために雇用が先取りされ、1、2月の雇用者数の数を押し上げるとともに3月の雇用者数を押し下げた可能性がある。この冬は、異常な暖冬が多くのことに影響を及ぼした。我々はそれを調整すべく最善を尽くしている。2008~09年の異例に深刻だった景気後退期における季節的な要因にも目を向けている。

 過去5~6カ月間の雇用増加は、08~09年に起きた解雇を一気に取り戻したために予想以上に強かった、という仮定を提示した。これは仮定にすぎず、見てみないと分からない。この仮定がもし正しければ、直近でみたように、月間の雇用者の増加数が25万人に満たない、などということになるだろう。だがまだ分からない。天候や他の要因が重なっている。3月の雇用統計だけで結論を出すことはできない。我々は労働市場を注視していく。仮に失業率の改善が止まれば、金融政策の選択肢を検討することが重要となる。

●失業率見通しについて

 失業率を安定的に保つには、月々の雇用者の増加数が10万人程度必要だ。失業率を低下させるには、一般的に、月々15万~20万人程度の増加が必要となる。これは概算に過ぎず、各FOMC参加者にはそれぞれ異なる見方があるかもしれない。

 公表したのは予測ではない。失業率はゆっくりと改善するという仮説を立てた。だが今の景気回復は、雇用増が個人消費の拡大を呼んでさらなる雇用増につながる、という好循環を生み出す可能性もある。どちらの方向に進むかが、我々が反応するのに重要な要素だ。

●公表する見通しを記名制にする考えは

 それは一概には言えない。イエレンFRB副議長が率いる小委員会は透明性の改善を目指している。我々はあらゆることを見ている。記名制にというあなたの提案は他の提案と同様、より有益なものにするために検討されている。以前も申し上げように、なお未完成な状態にある。

●今の景気回復で最も不満な点は何か

 景気回復は非常にゆっくりでしかない。景気が拡大に転じてからほぼ3年になるが、失業率は依然として8%を超えた水準にある。逆風がやむのに伴い財政的なストレスが和らぎ、住宅市場が改善し、そして経済や雇用の回復ペースが加速し始めれば良いと思う。だがこれまでのところ、回復は非常に長くつらい道のりで、唯一最大の懸案事項となっている。FRBの管轄範囲という観点から考えると、労働市場の改善ペースということになるだろう。
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追加金融緩和「引き続き選択肢の1つ」FRB議長

2012年04月26日 07時16分07秒 | 経済
バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長は25日の記者会見で、量的緩和第3弾(QE3)などの追加金融緩和について「引き続きテーブルに載っている」と強調する一方、米経済は「デフレには陥ってない」と指摘した。QE3を現時点で発動する考えはないものの、景気回復が失速する場合には追加緩和に踏み切る姿勢を示した。

 6月末に終了する予定の金融緩和策「ツイストオペ」については、金融市場は終了を織り込んでいるので市場に大きな影響を与えないとの考えを示した。欧州危機については、いったん市場の緊張が揺らいだが、最近になって「より緊張感がある」と指摘。伸び悩んでいる米株式市場の状況も欧州危機と「関係がある」とした。

 バブル崩壊後の日本と金融危機後の米国の対応の比較については、「自信過剰になるべきではない」とする一方、「米国は日本が抱え込んだ幾つかの問題を避けられた」と指摘。米国は(1)デフレ回避に向け大胆かつ予防的に金融政策を展開した(2)銀行の資本注入を早期に実施――の2点を挙げた。

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