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日本政府は「世界標準」から決定的にズレている…この国の政府が「財政赤字を気にしすぎ」だと言えるワケ

2023年01月08日 08時55分53秒 | 行政

気鋭のエコノミスト永濱利廣氏は『日本病——なぜ給料と物価は安いままなのか』で、「低所得・低物価・低金利・低成長」の「4低」状況を「日本病」と名付け、その原因と、脱却の道筋を考察している。

デフレ脱却のために、海外諸国は大胆な財政出動を行い、見事に立ち直ってきた。なぜ日本は積極的な財政出動に踏み出さないのか?『日本病——なぜ給料と物価は安いままなのか』から見てみよう。

日本の“購買力”は「57ヵ国中33位」…「低所得・低物価・低金利・低成長」に苦しむこの国の「厳しすぎる現実」
日本の“購買力”は「57ヵ国中33位」…「低所得・低物価・低金利・低成長」に苦しむこの国の「厳しすぎる現実」© 現代ビジネス

政府債務残高は増えるのが「ふつう」

サマーズ氏やバーナンキ氏に限らず、海外の主流派経済学者の間では、デフレ脱却のためには金融緩和に加えて財政の積極的な出動が必須であるというのが常識になっています。

しかし、日本では均衡財政主義が主流になっています。そして、マスコミでは「日本の政府債務が増えて大変だ」というメッセージが定期的に流されるので意外に思われるかもしれませんが、海外と比較したグラフ(図表4-2)を見ると、明らかに日本の政府債務残高は増え方が少ないことがわかります。

 
日本政府は「世界標準」から決定的にズレている…この国の政府が「財政赤字を気にしすぎ」だと言えるワケ
日本政府は「世界標準」から決定的にズレている…この国の政府が「財政赤字を気にしすぎ」だと言えるワケ© 現代ビジネス

2001年の政府債務を100とした場合、最も多いイギリスでは6倍以上、アメリカで5倍以上、フランス、カナダも約3倍、ドイツで2倍程度になっています。これに対して日本とイタリアは2倍にも満たない状況です。

よく新聞などで「過去最大の予算」「拡大する財政赤字」と、まるで大変なことが起きたかのように騒がれますが、これはナンセンスです。政府債務は増えるのが常識で、毎年予算は「過去最大」がふつうなのです。

バランスシートでは、「債務」の対には必ず「資産」があります。つまり、政府が債務を増やして支出を増やすということは、民間部門に支払われた分だけ、民間部門の資産が増えているということなのです。

イギリスやアメリカは政府債務が5~6倍も増えているわけですから、当然経済も拡大します。一方、日本と同じく緊縮財政のイタリアも、賃金が上がっていないのは図表1-3で見たとおりです。日本は政府から民間へ回すお金が圧倒的に少なすぎたことも、低成長の一因と言えるでしょう。

 
日本の給料は「先進国で最下位争いをするレベル」…日本経済をここまでのドン底に突き落としたものの「正体」
日本の給料は「先進国で最下位争いをするレベル」…日本経済をここまでのドン底に突き落としたものの「正体」© 現代ビジネス

財政健全化は必要ないのか?

そうすると、政府債務残高を減らす=財政の健全化は不要なのか?という疑問が湧いてくると思います。実は、そこが日本と海外の専門家の考え方の最大の違いにもなります。

日本では、政府債務をあまり増やさないほうが良いという意見が多くみられます。政府の一般会計予算を見る立場で、政府内だけを見たら、確かに債務は増えないほうが良いということで、プライマリーバランス(国や自治体の基本的な財政収支)を黒字化したくなるでしょう。日本で政府債務残高に危機感を持つ考えは、すべてこの立場から来ています。

しかし、もっと俯瞰的に経済を見れば、「中央銀行」という特殊な存在に気付くはずです。

現在の日本の政府債務の約半分は、日本の中央銀行である日銀が新たに発行したお金で国債を市場から買って吸収しています。国債保有者に対して政府は利息を払いますから、政府は日銀に利息を払っていますが、日銀の儲けは国庫納付金として最終的に政府に戻ってきます。また、元本についても、政府は民間企業や個人とは違うので、借り換えで続けていけます。

つまり、政府債務のうち、日銀が持っている債権は別枠で考えなくてはなりません。

これが海外の専門家では常識の「統合政府」と呼ばれる考え方です。

日銀の出資証券は半分以上、日本政府が持っていますので、いわば民間企業における子会社のようなものです。民間企業では子会社も含んだ連結決算をするのが常識であり、連結決算においては親会社・子会社間のお金の貸し借りは相殺されます。同じように、事実上の政府債務は、中央銀行の保有分を別枠で考えるべきだという論です。

実際にグラフ(図表4-3)を見ると、政府債務残高は毎年増えていますが、日銀保有分を抜いてみると一気に減ることがわかります。

 
日本政府は「世界標準」から決定的にズレている…この国の政府が「財政赤字を気にしすぎ」だと言えるワケ
日本政府は「世界標準」から決定的にズレている…この国の政府が「財政赤字を気にしすぎ」だと言えるワケ© 現代ビジネス

さらに日本国債というのは海外保有の割合が低く、9割程度が国内で持たれています。ゆえに、日本国債はマーケットで不安視されていませんし、日本国債の信用力を反映したクレジット・デフォルト・スワップの保証料率から弾き出される倒産確率は0.3%程度と、アメリカと並んで安定しているわけです。つまり、日本の政府債務は「危なくない」のです。

そして、ここで重要なことは、政府債務残高だけで財政の予算制約を計るのは間違いである、ということです。少なくとも現在、海外の専門家の多くはそう考えています。

では、何で見るかと言うと、インフレ率です。

中央銀行の保有国債を別枠で考えられるならば、理論上は、すべての国債を中央銀行が買えば政府債務をゼロにできます。しかし、中央銀行が国債を買う場合には貨幣を新たに発行するわけですから、やりすぎると大幅なインフレに傾いていく可能性があります。だから、インフレ率が指標になるのです。

このように、財政規律は政府債務だけではなく、インフレ率なども含めて総合的に計るのがグローバルスタンダードです。そして、2022年3月現在の消費者物価指数で見たインフレ率はアメリカで8%、ヨーロッパで7%を超えていますので、欧米では経済政策を引き締める方向に向けて動き出しています。

この考え方で見れば、日本のインフレ率はグローバルスタンダードな目標の2%に遠く及びませんので、まだまだ財政出動が可能という判断になります。少なくとも中立金利が低すぎて金融政策が効かない状況(流動性の罠)から脱するまでは、財政出動によって政府が効果的にお金を使わないと、日本経済は良くならないでしょう。

さらに、【つづき】「日本経済が「大復活」を遂げるためには、なにより政府・日銀の「辛抱強さ」こそが重要になる…!」では、政府や日銀がどのような対策を取れば、日本経済が復活を遂げるのかを見ていきます。

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お金は知っている 防衛費増税、財務省〝御用識者〟の愚論が国力衰退を促す 「増税すれば財政余力は向上する」のトンデモ論法

2022年12月02日 07時16分46秒 | 行政

岸田文雄首相は防衛費について、2027年度に防衛費国内総生産(GDP)比2%への増額と、そのための財源問題を年内に決着させるよう、11月28日に関係閣僚に指示した。財務省に誘導されるまま増税を求めた21日付けの「有識者会議」の提言に沿った防衛増税論議が年末にかけて進みそうだ。

お金は知っている 防衛費増税、財務省〝御用識者〟の愚論が国力衰退を促す 「増税すれば財政余力は向上する」のトンデモ論法
お金は知っている 防衛費増税、財務省〝御用識者〟の愚論が国力衰退を促す 「増税すれば財政余力は向上する」のトンデモ論法© zakzak 提供

中国の習近平独裁政権3期目の今後5年間のうちに「台湾有事」勃発が起きかねないのに、日本はまず増税をとは、平時の感覚にどっぷりと浸かったままだ。内閣支持率が下がり続けるのも無理はない。

有識者会議の正式名称は「国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議」であり、提言の序文では「経済力と財政余力がなければ、国力としての防衛力がそがれかねない」と指摘している。

その通りだが、財務省御用の識者は増税すれば財政余力は向上するとでも信じているのだろうか。それがトンデモ論法であることはだれでもわかる。それでも有識者と呼ばれて恥ずかしくないのだろうか。岸田首相をはじめ、政府・与党の多くがそんな愚論に引きずられるようでは、それこそ国の安全が危うい。

そこで、日本の国力は過去25年間もそがれ続けてきた事実を改めて提示しよう。グラフは2021年のGDPと防衛費の1996年比を倍数で示す。経済力を代表するGDPは日本の場合、1997年以降25年間の平均成長率はゼロ%である。防衛費はGDP比1%を目安にしてきたが、GDPが増えないのだからその道連れだ。

各国別のGDP、防衛費は、米国2・9倍、2・8倍、英国2・5倍、2倍、ドイツ1・9倍、1・7倍だ。この間、中国はGDP、軍事費とも16倍だ。南シナ海、東シナ海などへの中国軍の海洋進出、さらに台湾、沖縄県尖閣諸島への軍事攻勢など、中国の脅威膨張は経済力の増大に支えられている。その対極が日本なのだ。

日本のGDPが伸びないのは国内需要を萎縮させるデフレのためだ。ところが政府は消費税増税と財政支出削減、社会保険料引き上げによってデフレ圧力を高める政策をとってきた。財政力を示す政府全般の純債務のGDP比は97年当時約30%だったのが21年には130%に膨らんだ。

要するに、増税と緊縮財政こそが財政余力を奪い、家計を細らせるなど国力の衰退を招いた。有識者会議はそんな失敗の教訓を一切省みず、「幅広い税目による負担が必要」とする一方、「歳出改革」の名のもとに防衛以外の項目の歳出削減を求めている。財務省は自民、公明の両与党税制調査会に増税を根回ししている。これはこれまで四半世紀もの間、続けてきた路線の延長であり、国力衰退を促す自滅策だ。

自民党内にはさすがに増税に反発する議員も少なくない。財務官僚はそれを計算済みで、暫定的な財源としての国債発行を黙認する可能性が強い。その場合、財務官僚は国債償還の財源として5年以内の消費税増税案を岸田政権に仕掛けるだろう。 (産経新聞特別記者・田村秀男)

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政府の物価高対策で年金増額が抑制?消費者物価指数の「ウソ」が起こす大問題

2022年11月17日 06時30分32秒 | 行政

ガソリン・電気・ガス補助金で

消費者物価指数が実態より過小になる

 政府は10月28日、「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」を閣議決定した。

 ガソリン・電気・ガスの価格統制が行なわれ、これによって、「消費者物価(総合)上昇率を1.2ポイント程度抑制する」としている。

 政府の説明では、これが望ましいことであるように書いてある。

 しかしこれは、消費者物価の真の姿を見えなくするという意味で大問題だ。

 例えば、消費者物価上昇率が本当は2.2%なのに、統計では1%となる。つまり消費者物価統計が「ウソ」をつくことになる。

 だから、経済の実態を表すには、「消費者物価上昇率は、物価対策効果を除けば何%」と付け加えることが本来なら必要なはずだ。例えば、「統計上は1%だが、実態は2.2%」と示す必要がある。

 消費者物価指数は、さまざまな政策を行う際の判断基準や経済の実態を示す指標として用いられている。

 それがこのような状態になってしまうと、大きな支障が起きる。

年金の物価スライドには

どの上昇率を使うのか?

 例えば、公的年金の物価スライドだ。上の例の場合(注1)、スライド率は1%なのか、それとも2.2%なのか?

 どちらかによって、年金受給者の生活は大きな影響を受ける。

 また、公的年金には、物価や賃金の変動に応じたスライドのほかに、現役人口の減少や平均余命の伸びで年金支給額を調整する「マクロ経済スライド」という仕組みがある。

 これが発動されるか否かは、消費者物価上昇率が1.9%程度を越えるかどうかによって決まる。(公的年金全体の被保険者の減少率と平均余命の伸びを勘案した率は年によって違うが、ほぼ1.9%程度になる。他方、年金の名目額は減少させないとの制約が加えられている。したがって、マクロ経済スライドは原則的には消費者物価上昇率が1.9%程度を超えないと発動されない)

 この決定にも、上記の物価抑制策は大きな影響を与えることになる。

 実質賃金の伸び率も大きく変わる。

 いま、名目賃金の上昇率が2.0%であるものとしよう。上記の例の場合、実質賃金の上昇率は、本当はマイナス0.2(=2.0‐2.2)%なのだが、政府の公式統計では、1.0(=2.0‐1.0)%ということになる。

 この二つ数値ではかなり印象が違う。どちらを用いるかで、政策のあり方は大きく異なるものになるだろう。

(注1)政府が約束している物価対策は、来年9月までのものだが、さらに延長される可能性がある。そこで、話を簡単にするため、ここでは、年間を通じて消費者物価の伸び率が1.2%ポイント抑えられるものとした。

年金受給世帯から訴訟が起きる?

自動車持たなくてもスライド率引き下げ?

 年金の物価スライドに関しては、「政府の物価抑制策で家計は恩恵を受けるのだから、1.2%ポイント引き下げられた政府の公式統計を物価スライドに用いることが正しい」との反論があるかもしれない。

 政府の資料でも、「今回の措置で、標準的な世帯で1~9月で総額4万5000円の負担軽減が生じる」としている(注2)。

 しかし、これは単純な平均計算だ。すべての家計が実際にこれだけの恩恵を受けるわけではない。

 年金受給世帯は自動車を持っていない場合も多いだろう。そうした世帯は、ガソリン補助によって何の恩恵も受けない。

 電気やガスの使用量も標準世帯より少ない場合が多いだろう。

 そうであれば、「年金の物価スライドには、政府の公式統計である1.0%でなく、実態である2.2%を用いるべきだ」という議論が成り立ちうる。

 年金額がどうなるかは、年金受給世帯にとって大問題だ。だから、これを巡って、訴訟が起きるかもしれない。

 最低限、「年金スライドに用いるべき消費者物価上昇率は何であるべきか」についての掘り下げた議論は不可欠だろう。

 一般に、統計の偽造は大問題だ。

 2018年末には厚生労働省の「毎月勤労統計」の不正が発覚した。最近では、国土交通省の「建設工事受注動態統計」の不正が問題とされた。

 これらは確かに問題だ。統計の数字をねじ曲げてしまえば、経済の本当の姿が分からなくなり、適切な対応が取れなくなるからだ。ただし、これらの統計偽造は、国民生活に直接の影響を与えることはなかった。

 しかし、消費者物価統計がねじ曲げられてしまうことは、これらとはまるでスケールが違う。国民生活に直接の影響がある。

(注2)標準世帯とは、夫婦と子供2人の4人で構成される世帯のうち,有業者が世帯主1人だけの世帯。

食料品の価格高騰は放置?

不公平な物価対策

 今回の物価対策にはほかにも問題がある。

 なぜ、ガソリンと電気とガスだけが対象になるのか?食料品価格の高騰も著しいが、これを放置してもよいのか?

 ガソリンを消費しない家計はあるが、食料品を購入しない世帯はない。

 食料品を置き去りにしてガソリン価格を抑えるのは、順序が逆ではないか?

 何台も車を持っている家庭はガソリン価格統制で大きな利益を得る。また、企業の車であっても利益を得られる。

 電気・ガスはどの家計でも消費しているが、業務用でも補助の利益を受けることになる。また、都市ガスは対象とするが、プロパンガスなどのLPガスは直接支援の対象にはしない。

 さらに、物価高騰に苦しんでいるのは、家計だけではない。事業者も原価の高騰に苦しんでいる。とりわけ零細企業がそうだ。原価上昇を売上げ価格に転嫁することができないからだ。

 製造業でこの現象は顕著に見られる。畜産農家の経営も、飼料の高騰に圧迫されている。

 こうした状況があるのに、なぜ、ガソリン、電気、ガス代だけが補助の対象となるのは不公平だ。

本当に必要なのは原因に対処すること

統制は体温計を操作するのと同じ

 総合経済対策の基本的な問題は、原因に対処しようとせずに、結果を隠すことだけに専念していることだ。

 物価上昇の原因の半分程度は円安なので、まず円安を止めるべきだ。そのために、日本銀行が長期金利の統制をやめて市場の実勢に任せるべきだ。

 物価対策はただで行えるのではない。

 国民の負担になる。しかも、防衛費と同じ程度の大きさだ。物価上がる状況を自ら作り出して対策でそれを取り繕うという巨大なマッチ・ポンプと言わざるを得ない。

 政府は、価格統制を来年の9月まで行うとしている。しかし、そこで止められるかどうか分からない。円安が続いて、いつになっても止められない危険がある。

 物価や金利という基本的な経済指標を統制するので、日本経済が抱えている本当の問題が見えなくなる。

 これは、病気になって体温が上がり、血圧が上がっているのに、体温計や血圧計を操作して、正しい表示がなされないようにしていることに喩えることができる。

 こんなことをしたら、病気は悪くなるばかりだ。

 病気になったときに必要なのは、体温計や血圧計の表示を操作することでなく、治療することである。

 今回も、全く同じだ。

 物価高騰は、病気のようなものである。本当に必要なのは、物価高騰の原因に対処することだ。そのためには、金融政策を転換して円安を止めるべきだ。

 それをせずに物価を抑制しようとするのは、体温計や血圧計の表示を操作するのと、全く同じである。

 それによって、人々は物価高騰を意識しなくなる。そして円安はますます進む。

石油ショックへの対応は正しかった

落ちてしまった経済政策の質

 1973年の石油ショックの際、政府は予算編成途中の11月に、「総需要抑制策」を採り、大型公共事業を凍結・縮小した。

 74年には公定歩合の引き上げが行われ、企業の設備投資を抑制する政策がとられた。

 そして、省エネが行なわれた。役所のビルの照明が薄暗くなり、エレベータの運行制限が行なわれたことをよく覚えている。

 では、このとき、物価抑制策はとられたか?

 ちり紙、トイレットペーパー、家庭用灯油、家庭用液化石油ガスには基準価格を設定した。しかし、財政支援は行なわなかった。

 これが正しい政策だ。

 日本の経済政策の質がなんと落ちてしまったことか。恐ろしいとしか言いようがない。

(一橋大学名誉教授 野口悠紀雄)

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地方公務員の退職金の平均は? 国家公務員より高い?

2022年06月26日 07時22分23秒 | 行政

地方公務員の退職金はいくら?

「マイナビ2023年卒大学生公務員イメージ調査」によると、公務員を就職先に考える大学生が微増しています。国家公務員より地方公務員が、地方公務員の中では、道府県庁よりも市区町村が人気です。

 

では、地方公務員の退職金(退職手当)の平均額などを総務省「給与・定員等の調査結果等(令和3年)」のデータをもとに解説します。

 

地方公務員の半数は都道府県の職員

総務省「令和3年 地方公共団体定員管理調査結果のポイント」によると、令和3年4月1日時点の都道府県・指定都市・市区町村(一部事務組合等を含む)の自治体に属する地方公務員は約280万人。

 

 

▼地方公務委員の職員数と構成比

・都道府県:約143万人(約51.1%)

 

・指定都市(※):約36万人(約12.8%)

・市区町村等:約101万人(約36.1%)

※指定都市とは人口が50万人以上の「区」を持つ政令で指定された市で、都道府県とほぼ同じレベルの権限を持ちます

また、部門別の職員数と構成比は、以下のとおりです。

 

▼<部門別>地方公務委員の職員数と構成比

・一般行政:約93.5万人(約33.4%)

 

・教育部門:約106.5万人(約38.0%)

・警察部門:約28.9万人(約10.3%)

・消防部門:約16.3万人(約5.8%)

・公営企業等会計部門:約34.9万人(約12.5%)

 

退職手当の平均支給額は都道府県より指定都市のほうが高い

総務省「令和3年 給与・定員等の調査結果等」から、令和2年4月1日~令和3年3月31日に退職した地方公務員の退職手当の平均支給額を職種別にみてみましょう。( )内は最高額を支給した地方公共団体名と金額です。

 

 

▼都道府県(47団体)

・全職種:約1375万円(栃木県:約1902万円)

 

・一般職員:約1229万円(栃木県:約1867万円)

・一般職員のうち一般行政職:約1531万円(栃木県:約1958万円)

・教育公務員:約1488万円(大分県:約2128万円)

・警察職:約1728万円(徳島県:約2025万円)

 

▼指定都市(20団体)

・全職種:約1405万円(岡山市:約1717万円)

 

・一般職員:約1330万円(北九州市:約1932万円)

・一般職員のうち一般行政職:約1724万円(広島市:約1981万円)

・教育公務員:約1596万円(新潟市:約2062万円)

 

▼市区町村

・全職種(1562団体):約1339万円(大分県由布市:約2292万円)

 

・一般職員(1555団体):約1353万円(埼玉県滑川町:約2292万円)

・一般職員のうち一般行政職(1421団体):約1555万円(群馬県太田市:約2500万円)

・教育公務員(105団体):約766万円(兵庫県西宮市:約2406万円)

 

60歳定年退職者の退職手当の支給平均は都道府県>指定都市>市区町村

60歳で定年退職した人の職種別の退職手当支給額の平均は次のとおりです。( )内は最高額を支給した地方公共団体名と金額です。

 

 

▼都道府県(47団体)

・全職種:約2210万円(愛知県:約2277万円)

 

・一般職員:約2154万円(愛知県:約2291万円)

・一般職員のうち一般行政職:約2191万円(静岡県:約2342万円)

・教育公務員:約2235万円(兵庫県:約2323万円)

・警察職:約2197万円(東京都:約2309万円)

 

▼指定都市(20団体)

・全職種:約2092万円(岡山市:約2239万円)

 

・一般職員:約2052万円(堺市:約2198万円)

・一般職員のうち一般行政職:約2161万円(さいたま市:約2604万円)

・教育公務員:約2162万円(名古屋市:約2364万円)

 

▼市区町村

・全職種(1230団体):約2008万円(東京都瑞穂町:約2677万円)

 

・一般職員(1220団体):約2008万円(東京都瑞穂町:約2677万円)

・一般職員のうち一般行政職(1000団体):約2154万円(群馬県太田市:約2897万円)

・教育公務員(22団体):約2196万円(東京都港区:約2428万円)

 

定年退職手当は国家公務員より地方公務員が高い

国家公務員の常勤職員のうち60歳以上の定年退職手当の平均は約2142万円、行政職俸給表(一)の対象となる定年退職手当の平均は約2128万円です(※出典:内閣人事局「国家公務員退職手当実態調査(退職手当の支給状況)令和2年度」)。

 

一方、地方公務員の一般行政職の定年退職手当は、都道府県が約2191万円、指定都市は約2161万円、市区町村は約2154万円で、国家公務員より高いのです。就職先として国家公務員より地方公務員の人気が高い理由の一つかもしれません。

文:大沼 恵美子(ファイナンシャルプランナー、年金アドバイザー)

大沼FP・LP設計室代表。FPとして2002年に独立開業。「健康は食のバランスから、貯蓄は生活のバランスから」という考えを提唱する。企業や地方自治体等の各種セミナーやFP資格取得講座、福祉住環境コーディネーター資格取得講座の講師も務める。

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韓国メディア「日本メディアが対韓輸出規制の失敗を認めた」=韓国ネット「愚かな政策だった」

2022年05月24日 06時07分17秒 | 行政

2022年5月20日、韓国メディア・韓国経済は、「日本のメディアが対韓輸出規制について『失敗だった』と認めた」と報じた。

記事は20日に公開された、日本経済新聞のコラムを紹介。その中で「日韓間の争点は多々あれど、3年前に実施した半導体材料の輸出規制は失敗だった」との文章が書かれていたことを伝えた。

コラムは輸出規制の理由について、「表向きには『輸出管理に不適切な事案があったから』と発表していたが、安倍晋三元首相は『元徴用工訴訟で対応を示さない韓国政府への事実上の対抗措置』という認識を示していた」と指摘。また、「『韓国半導体産業全体に打撃を与えるレバレッジの高い制裁手段』との評価もあり、有権者の『反韓感情』」に訴える狙いもあったことも想像に難くないが、韓国が受けた被害はさほどではなく、むしろ道義的な優位性を与えてしまった。日本の通商政策の歴史における『黒歴史』というべき」と分析している。

これに対し記事は、「輸出規制以後、サムスン電子やSKハイニックスなどの韓国半導体企業はサプライチェーンの『国産化』に注力している」とし、「日本の大手化学メーカーの住友化学も、100億円以上を投資して韓国に規制品目の一つであるフォトレジストの工場を新たに建設している」と報じた。

この記事を見た韓国のネットユーザーからは、「日本の本性がよく表れている事件」「これは本当に日本が愚かなことをしたと思う」「物を売りたい側が買い手に対して規制する意味が?」「サムソンを潰そうとしたが失敗した」「日本を弱体化し韓国を発展させる安倍さんの再選を願う」「日本は常に警戒すべき国。本音と建て前が全く違うから」「今頃認めても仕方ないのにね」「韓国の子孫の安倍さんありがとう」などと日本に対する批判の声が多く寄せられている。

また、「文前大統領は日本相手には頑張っていた」「文前大統領が輸出規制に対し、部品・材料分野の国内の生産力を高めたのは完璧な対応だった」「日本に謝罪すべきだと言っていた政治家や学者は追放すべき」など、文前大統領を称賛するコメントも多く見られた。(翻訳・編集/丸山

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