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「どこまで落ちたらいいんですか?」年収450万円・40代会社員…「贅沢はしていないが、生活苦」

2024年09月13日 06時37分34秒 | 日本の衰退
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(※写真はイメージです/PIXTA)© THE GOLD ONLINE

大学・大学院卒の日本人では、60歳前の平均生涯賃金は約2億4,000万円、年収にすると約600万円となる。また、国税庁の調査によると、給与所得のなかで正規社員の平均給与は523万ということだ(「令和4年分 民間給与実態統計調査」)。日本人は老後不安を直視しながら、どのように暮らしているのだろうか。

「親からの援助なしでは無理」44歳・会社員

「年収450万円、手取りはおよそ360万円くらいです。妻1人、子2人を養っています。家は都内で、実家に近い中古の一軒家を30歳のとき35年ローンで買いました。3,500万円。今14年目ですが、まだ半分も終わってないかと思うと、泣きそうになります…。覚悟を決めてローンをくんだつもりでしたが、果てしなく長いです。会社の業績も悪く、収入アップは見込めないどころか、この先どうなるかと考えると、胃がキリキリと痛みます」

都内在住の見沢さん(仮名)の年収は450万円。正規社員の平均より少ない額だが、妻と子2人を養っている。中古ながら一軒家を購入したのは、実家の近くに、「買える額」の物件が売っていたからだそうだ。

 

「35年フルローンでしたが、賃貸で借りるよりも月の支払いは少なかった。ちょうど2人目の子ができた頃で、やる気に燃えていたというか、ちょっとハイになっていたのかもしれません。結婚と同じで、勢いがなきゃ買えませんよ家なんて。ただ……」

見沢さんの顔が一瞬曇る。

「子供の教育費のこととか、全く頭に入れてませんでしたね。全部公立で、一番安いところに入れたらいいだろうって。みんな普通に通わせているから、舐めてましたね。公立でもこんなにお金がかかるなんて。子供に使う金額を考えると、親からの援助なしでは、生活が成り立たない現状があります」

一体、いくら親からもらっているのだろうか。

「月5万円くらいです。高校生の長女、中学生の次女、それぞれの塾代にあてていますが、全然足りないですよ。でもこの5万円がないと、パンクします、おそらく。食費は月6万円を目標に切り詰めていますし、自分の小遣いもありません。妻はぎりぎり扶養に入るくらいを目指してパートで働いていますが、やはり余裕とはほど遠い生活です」

老後不安どころか、「今現在の生活が苦しすぎる…」

見沢さんのケースでは年収450万円ということで月収37.5万円、手取り28万円くらいだろうか。住宅ローン月10万円、食費6万円、光熱費2万円とすると10万円は残る計算になる。教育費にそんなにかかるのだろうか。

「主に塾代です。2人で月15万円かかっています。これでも安いほうです。塾に行かせないと、大学への進学は無理なようです。大学の学費のための貯金もしていますが、これは妻のパート代からあてています。やはりこのご時世、ある程度の大学に行かせないと就職は厳しいでしょうし、そこまではなんとか頑張るつもりです」

ローンの支払いが終わっていないとはいえ、持ち家はある。老後はそこで暮らせば、“なんとかなる”という計算なのだろうか。

 

「今、一番不安なのは、親の介護ですね。年金ではまかなえないと思います。そうしたら、こちらから出すしかない。子供が大学を卒業していれば、少しは余裕はあるかと思いますが、いつ何があるかわからないから……。今は子育てのためにお金を援助してもらっている立場ですし、親の貯金事情とかもあまり聞けず……。実際、介護が必要な状態になってしまったとき、どうなるのかわかりません」

親の介護が必要となってくるとき、自身も高齢者に突入している可能性は十分にある。

「いつまで働けるのか、という不安はあります。ローンはあと21年残っている、子が大学を出るのは10年後くらい、両親の健康寿命がいつまでかなんて考えたくないけど、例えば5年後どうなっているか、わからないと思う。節目節目で考えても余裕がないですが、大局で見ると、自分が働いている会社がこの先20年以上続くか、続いたとして自分のポジションがあるのか……まったく想像つかないです。退職金がもらえるうちに、早期退職も考えられるかもしれませんが、転職できるあてはありません。自信はないです」

老後の不安は尽きない。

「老後というより、今の生活がまさに不安真っ只中です。何かあったとしたら、失業保険やら生活保護やら、なんとかはなるのかもしれませんが、どこまで落ちたらいいんですか。娘たちも大学に行けず、安い賃金で労働せざるを得なくなりますよね。でも、うちの家庭、別に普通だと思うんですよ! そんなに平均より悪いわけではない。それでこれですよ? 節約もちゃんとしている。贅沢もしていない。それなのに生活は苦しい。将来は見えない。どこかで何か間違えましたか? 普通に頑張っているだけでは、リスクばかり抱えた苦しい生活をするしかないんでしょうか?」

現状を直視した結果、最後には少し声を荒げ興奮気味だった見沢さん。44歳、住宅ローン持ちの会社員。「資産形成」の観点からは、失敗だったのだろうか。

国土交通省『令和5年度 住宅市場動向調査』によると住宅ローン年間返済額は、全国平均で155.2万円、三大都市圏平均で179.6万円。さらに金利は今後上がっていくとも見られている。

住宅ローンに苦しめられる生活は、誰にとっても他人事ではない。

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「日本人はいらない」豪州ワーホリ利用者の惨状「求人1人に50人殺到」「ホームレス化」「“夜の世界”に踏み込む女性も」

2024年07月06日 08時39分33秒 | 日本の衰退

多くの日本人がオーストラリアで仕事を失っている(写真・時事通信)

働きながら、外国語の習得や生活体験ができる「ワーホリ」こと、ワーキング・ホリデー制度。1980年12月に豪州との2国間協定で開始されてから、44年が経つが、最近はその在り方が大きくさま変わりしたようでーー。

「日本は現在、オーストラリアやカナダ、韓国など30カ国と協定があり、いちばんの渡航先はオーストラリアです。2023年6月までの1年間に発給されたビザは1万4000件近くあり、2024年は3月までの9カ月間で、すでに1万2000件あまりが発注されています。その半分はオーストラリアですね」(現地コーディネーター)

円安が進んだ結果、現在のワーホリは、ほとんど“出稼ぎ”状態になっているという。現地コーディネーターが続ける。

「かつては、語学や異文化交流がワーホリのおもな目的でした。しかしいま、オーストラリアの農場でピッキング(収穫作業)をすると、週に1000豪ドルから、ピークになると2500豪ドルも稼げます。日本円に換算する、最大で週給約27万円も稼げることになります。月給で100万円超。ワーホリに殺到するのもうなずけます」

だが7月4日、「朝日新聞デジタル」はその豪州での、日本人の困窮ぶりを報じた。現地で仕事を失った日本人が、地元ボランティア団体による無料の食料配布に殺到しているというのだ。

ワーホリのキラキラしたイメージは真逆の惨状ーー。いったい何がおきているのか。

「まず、円安の影響で日本人観光客が大幅に減ったのが大きいですね。以前は、ホテルやお土産店、レストランにとって、日本語を話せる従業員は大切な存在でした。しかし、いまはそもそも日本人の観光客が来ないので、必要ないんです。農場は求人が多いですが、フィリピン人や韓国人、中国人との競争になる。となると、英語の読み書きが堪能なフィリピン人や韓国人に“雇い負け”してしまうんですよ。つまり、日本人はいらないということです」(前出・現地コーディネーター)

その結果、“夜の世界”に踏み込む日本人もいるという。

「基本的に女性ですが、生活苦のあまり、“エスコートガール”になったり“マッサージパーラー”に出入りする日本人女性は多いですね。どちらも、現地の風俗です」(同前)

シドニーで20年間、カフェ経営をしている日本人経営者があきれ顔でこう話した。

「以前なら従業員を募集すると、バリスタを目指して渡豪してきた日本人が数名、応募してくる程度でした。しかし先日、欠員補充のためにひとりだけ募集広告を地元紙に出したところ、日本人が約50人も応募してきました。とにかく仕事になればいいという感じで、家賃滞納でアパートを追い出されたので、住み込みにしてほしいという応募者も複数、いました。つまり、現状はホームレスということですよね。すでに日本は先進国ではないのでしょうね」

一方の日本では、働き手不足が叫ばれて久しい。なんとかならぬか、岸田首相……。

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世界競争力ランキングで「日本は過去最低」と中国メディア、日本人の反応も紹介

2024年06月20日 06時24分02秒 | 日本の衰退

スイスに本部を置くビジネススクール・国際経営開発研究所(IMD)が18日に発表した世界競争力ランキング(2024年版)について、中国メディアの環球時報は19日、「日本は38位で過去最低だった」と報じた。

 

同ランキングは「経済パフォーマンス」「政府の効率性」「ビジネスの効率性」「インフラ」の4項目を基に競争力を算出したもので、今回は67の国と地域が対象となった。1位は三つ順位を上げたシンガポールで4年ぶりの首位。2位はスイス(前回3位)、3位はデンマーク(同1位)、4位はアイルランド(同2位)、5位は香港(同7位)、6位はスウェーデン(同8位)、7位はUAE(同10位)、8位は台湾(同6位)、9位はオランダ(同5位)、10位はノルウェー(同14位)だった。日本は前回から三つ順位を下げて過去最低の38位だった。

 

環球時報の記事は日本の報道を引用し、「日本はG7の中では後ろの方(イタリアに次いで2番目に低い)であり、『ビジネスの効率性』に関する項目が全面的に低評価だった。特に『起業家精神』と『企業の俊敏性』では最下位だった」とした上で、IMDが「歴史的な円安が日本国内の年金受給者の購買力低下や財政不均衡などの問題を引き起こしている」と指摘したことを伝えた。

 

そして、日本のネットユーザーの反応として「国際通貨基金(IMF)の1人当たりGDPを見るに、日本の没落度合いは尋常ではない」「『起業家精神』と『企業の俊敏性』が低いことがすべてを物語っている。失敗を恐れるなと言いながら、いかなる失敗も許されない」「この30年の日本の基幹産業が崩壊しようとしており、世界をリードしてきた製品やサービスを失いつつある。明らかに衰退しているのに、政治家らは数字のマジックで成長しているように見せかけている」などのコメントを取り上げて紹介した。

 

なお、その他の国では米国が12位(前回9位)、オーストラリアが13位(同19位)、中国が14位(同21位)、カナダが19位(同15位)、韓国が20位(同28位)、ドイツが24位(同22位)、インドが39位(同40位)などとなっている。(翻訳・編集/北田

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日本が「豊かさ」ランキングで24位に後退、日本のネット民「現状を反映」―中国メディア

2024年03月17日 07時49分44秒 | 日本の衰退

中国メディアの環球時報は15日、「豊かさ」を示すランキングで日本の順位が後退したことに、日本のネットユーザーから納得する声が上がっていることを報じた。

 

国連開発計画(UNDP)が発表した国民の豊かさを測る「人間開発指数(HDI)」(2023~24年版)で、日本は前回の22位から2つ順位を下げ24位となった。同指数は1人当たりの国民総所得、教育水準、平均寿命を基に算出される。

 

記事は日本のネットユーザーから「日本は経済、教育、政治などの分野でいずれも後れを取っている。このランキングは日本の現状を反映している」「賃金水準は数十年間上がらず、実質賃金は下がり続け、貧富の差は拡大しているのに、政治家はやりたい放題。国の将来に希望はない」といった声が上がったことを紹介した。

 

なお、ランキングは1位がスイス、2位がノルウェー、3位がアイスランド。アジア最上位は香港の4位。このほか、韓国が19位、米国が20位、ロシアが56位で、中国は75位だった。(翻訳・編集/北田

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男女の賃金格差是正、婚姻率へ影響も 古い結婚観根強く

2024年01月30日 06時35分42秒 | 日本の衰退
日本の少子化が加速している。婚外子が少ない日本では、婚姻率が出生数に大きく影響する。人的資本開示が始まり、男女賃金格差の是正は待ったなし。しかし実は、それが婚姻率を下げる要因になりかねない。解決のカギは「下方婚」を認める社会的な意識の醸成だ。

厚生労働省の人口動態統計によると、2022年の出生数は前年より4万863人少ない77万759人となり、初めて80万人を下回った。23年上半期の出生数は約35万人で、22年をさらに下回って推移している。原因の1つとして挙げられるのは、20〜21年に婚姻数が減ったこと。婚外子が出生の2%ほどにとどまる日本では、婚姻数の減少が続けば、少子化のさらなる加速が懸念される。

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出生数は16年に100万人を下回り、22年には80万人を割った

婚姻率が上がらない理由の1つとして、経済力への不安が挙げられている。不安解消のためには賃金の全体的な底上げはもちろんだが、男女の賃金格差を是正することも重要だ。

23年3月期決算以降、大手企業4000社を対象に人的資本開示が義務化された。定められた開示項目の中には「男女賃金格差」が含まれるのは、情報を開示することで、格差是正への取り組みを各社に働きかける狙いがある。厚労省の賃金構造基本統計調査によると、22年の賃金の平均は男性が34万2000円、女性が25万8900円。男性を100とすると、女性は75.7となり、25ポイント近い差がある。

賃金格差是正に取り組んでいる資生堂は、男性の平均年間賃金を100とした場合、女性は75.3(22年度)。差異が生じている主要因として、女性管理職の割合が約3割にとどまっていることから、30年までにあらゆる階層で男女比率を50対50にすることを目指す。

メルカリは23年9月に初めて男女賃金格差を公表した。男性の平均年間賃金を100とすると、女性は62.5。中途採用が9割を占める同社では、入社前の給与を考慮して賃金を設定することが多かった。そのため、前職での賃金格差を引きずってしまう傾向がある。採用時の賃金の見直しなどを行いながら格差是正に取り組むという。

賃金格差是正で婚姻率は低下?

男女の賃金格差是正は待ったなしだ。しかし実は、それが逆に婚姻率の低下や、ひいては少子化の加速を招きかねない「不都合な真実」がある。『少子化問題の社会学』などの著書がある東京大学大学院人文社会系研究科の赤川学教授は「賃上げは、男性にとっては婚姻率が上がる恩恵があるかもしれないが、女性の婚姻率上昇には効果があまり見込めない」と話す。なぜか。

実は女性の所得が高いほど、婚姻率は下がる傾向にあるからだ。総務省統計局の「令和4年就業構造基本調査」を分析すると、女性は年間所得が上がるにつれて、配偶者がいる割合が低くなる傾向がある。年収が上がると配偶者がいる割合が高まる男性とは逆の傾向だ。

なぜ未婚女性の方が所得が高い傾向にあるのか。未婚女性は自分で生計を立てなければならないことが多く、必然的に所得は高くなる傾向がある。一方の既婚女性は、結婚や出産を機に仕事を辞めたり、パート・アルバイトなどの非正規雇用になったりする人も多い。

だが、こうした事情を差し引いたとしても、所得の高い女性に未婚者が多い理由がある。それは、多くの女性は自分よりも学歴や収入がある男性と結婚する、いわゆる「上方婚」を望んできたからだ。女性がキャリアを持てず、収入が少なかった頃には、結婚の「経済的メリット」があった。しかし、女性活躍が進むと、金銭的な魅力は減る。男女の賃金格差が縮まる中で上方婚を求め続けると、収入が低い男性は見向きもされなくなる。結婚への意識を変え、上方婚と逆の「下方婚」を増やすことが、婚姻率を上げるカギと言える。

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男女平等社会で女性の上方婚志向が残ると、どうしても結婚できない人が出てくる(赤川教授作成の図をもとに日経ビジネス作成)

男性も同様に結婚への意識を変える必要がある。マーケティング支援のナイル(東京・品川)が運営する恋愛・婚活メディア「出会いコンパス」が23年9月に実施した、20〜40代の男女を対象にした調査では、交際相手に望む年収は「自分よりも高い」と答えた女性は51.7%、男性は8%だった。交際相手に望む年収は「自分よりも低い」と答えた男性は34.7%、「自分と同等くらい」は56.3%。3人に1人の男性が自分より稼ぎの低い相手を求めており、「男性が女性を養う」という考えはいまだ根強く残っている。

結婚相談所では年収以外の条件に誘導

ある大手結婚相談所は「相手の理想の条件を聞けば、誰もが年収は高いに越したことはないと思っている。現実には、どこまでその条件を緩められるかだ」と話す。女性の下方婚を増やすには、年収以外の条件をいかに引き出すかが重要だ。

リクルートが運営する結婚相談所サービス「ゼクシィ縁結び」では、相手に求める条件をヒアリングする際、年収の条件が高い人には、年収以外にも目を向けるように意識して提案している。初回の面談では過去の交際相手についても聞くため、これまでの傾向と照らし合わせながら、本当に譲れない条件は何かを探す。担当者は「『以前お付き合いしていた人は理想の年収より低かったけど、金銭で困ることはなかったな』と気づいてもらえると、年収以上に何を重要視したいかが見えやすくなる」と言う。

高い年収を望む人は、「今の生活水準を落としたくない」「結婚すると生活費が2倍になる」といった生活費の心配をする人も少なくないという。そういう人に対しては、「家賃は単純に倍増するわけではない」など安心材料を提供しているという。担当者は「年収は重視しなくていいかもと条件を緩める人は、意外といる」と話す。

東京大学の赤川教授は「女性が下方婚を敬遠するのは、家族や友人、職場の人などの影響も大きい」と指摘する。社会制度にも「男性が女性を養う」という考えが色濃く残る。例えば遺族厚生年金の受給要件。女性は夫の死亡時に30歳以上であれば子どもの有無にかかわらず受給できるが、男性は妻の死亡時に55歳以上でなければ受給できず、支給は原則60歳からだ。

そもそも結婚願望がない人もおり、単一の結婚観を強要することはできない。しかし、日本の人口減少と労働力不足を少しでも緩やかにするためには、結婚したいと思える環境整備は不可欠だ。「男性が女性を養う」「上方婚」といった既成概念を変えるためには、まず古い制度の改革から手をつけるべきだろう。

(日経ビジネス 藤原明穂)

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