暗闇に昇り来る朝陽
白鉛筆暗闇に浮かぶ光は希望の灯り
昭和30年代は
私は小学生のときで
雪国 ニセコに棲んでいた
寒くなると薪ストーブだった
稲刈りが終わり
初雪が降った頃になると
発動機で直径一mもある大きな鋸を回転させ
親父は薪を20㎝程度の長さに切った
小学生だった私は姉妹と
板を貼ってある自宅の壁に沿って
薪を積み上げていった
真冬はその薪をストーブに入れ
暖を取っていた
東京オリンピック(昭和39年)になると
我家は薪ストーブから石炭ストーブに変った
薪に比べ格段に暖かいが
欠点は燃やし始めは
なかなか火がつきにくく
すぐには暖かくならない
石炭は燃え
家の天井を張り巡らした煙突は
壁穴から空に向かって突出し
灰色が入り混じった白い煙となって
冬の空へ消えて行った
何も書かれていない裏面の年賀状に
ミカンの汁で文字を書いた
その年賀状を受け取ると
薪や石炭ストーブにあぶると
焦げたような文字が浮き出してきた
随分長いまえがきになってしまった
白い画用紙や白い紙に
白鉛筆で文字を書いても
文は読めない
黒い画用紙に
白鉛筆で書かれた文字は
優しく目に飛び込んんで来る
暗闇に浮かぶ一筋の光は希望の灯り
老いた人の白髪に憧れる
白髪のなかに
過去の悲哀(かなしさ)、辛さ、後悔などが滲みだされ
いまは抜け落ちる白髪を手にし
寂寥の刻(とき)を過ごし往く
白髪になっても生きている
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