人生2回目の全身麻酔での手術。
今回はストレッチャーではなく、点滴架を引き釣りながら徒歩で手術室へ行く。
9時。
手術室の自動ドアが開く。
前室で既に2人の患者さんが部屋入待ちをしていた。
名前が読み上げられて、それぞれの患者が担当の医師・看護師に引き継がれ、
自分の名前と生年月日と病名と手術内容を言うように促され、確認を受ける。
「3号室ですからね。」
それぞれの手術室に連れていかれる。
ドキドキ。
手術室のドアが開く。
中で執刀医がPCをいぢっていた。
「お願いします。」
手術台に寝かされる。
身体を毛布みたいなもので覆われる。
温風が出てきて温かい。
マスクで鼻と口を覆われる。
「酸素を送ります。」
「麻酔を入れますね。」
肩と軽く叩かれて気がつく。
「はい、終わりましたからね~。」
ストレッチャーに乗せられて病室まで運ばれてベッドに移される。
家族と少しだけ話す。
医師にお礼を言った記憶がある。
帰ってきたのは13時30分だったらしい。
自分がどうなっているのかわからない。
腹から内視鏡を入れて傷があるので、まるで腹に力が入らない。
暑くて汗だくになっているのに身体が動かせない。
汗が冷えて寒くなってきているのに身体が動かせない。
ベッドの沈みすぎて寝返りをうちたいのに動かせない。
いったい何時になるんだろう。
暗い部屋の中、覚醒しているような、半分微睡んでいるような。
点滴が左手に。
酸素飽和度を計る器械が右手の指に。
心電図のリード線が胸に。
下半身には導尿のカテーテル。
両足には静脈塞栓を防ぐためなんだろうか、そのパッドみたいなものがはめられてゆっくり動いていた。
時計がないので時間がわからない。
看護師が
「2時間おきに検温と血圧を測りに来ますね。」と言ってくれた。
苦しい。
楽なもんじゃない。
早く時間が過ぎてくれ。
手術室から帰ってきた13:30から24:00で覚えていることは
痛さと苦しさと我慢、それだけ。
意識があったはずなのに
ただただ朦朧としていたような…。
長かった。
疲れた。
時計がなかったのが幸いしたのか、幸いじゃなかったのかもわからない。
いろんなことを考えて
いろんなことを想像して
いろんなことを諦めて
いろんなことを思い直したはずなのに
全て覚えていない。
早く時間が過ぎてくれ
早く。
早く。
早く。
1日中絶食です。
写真なし。