月末の新聞の地方版にしては大きな扱いだった記事の事件、目には止まったのだが読むこともなくスルーして気に止まらなかった。
けど、その日の夕方のテレビのニュース番組で、その事件が報道されていて、耳に馴染んだ会社名にあわてて新聞を探しだし、彼が逮捕されたことを知った。
びっくりしたな。もう。
逮捕された彼とは、20年ほど前、仕事でつきあいがあった。性格は明るくて、何事にも前向きで、陽気な奴だった。
ただ、調子が良すぎるところがあって、当時、彼のある言葉に俺が激怒し、彼とは別の人に営業担当を代わってもらったのだ。
そして担当を代わってもらった数年後に、彼と駿健で偶然出合った時には、俺は、大人げなかった俺の怒りを詫びた。
…が、すっきりせず(^-^;、怒りに任せて担当を変えてしまったということが、ずっと俺の中で、「してはならない教訓」として、指にささったまま抜けないトゲように、ジクジクとずっと心に残ったままだったのだ。
罰せられることはないが、してはならない過誤…。
ファイト!( ペンネーム:「私だって高校行きたかった」に捧げる唄 )
その彼が逮捕。
テレビには、逮捕者のそれぞれ顔がはっきり写されていた。けれど、彼だけは幸いにも(と書かせてもらいます)深く被ったフードに顔を隠されて、その表情が伺い知ることはできなかった。
罪とは何だろう。
得意先に求められて、それに応えようと無理をしてしまった彼の気持ちが罪なのだろう。支店を任された者として数字を上げたいという焦り、それも罪なのだろうな。
してはならないことと知っていながら、せざるえない辛さというものはどんなものか。
権力を笠にきて、詰め将棋のように事を運びながら、彼に見返りを求めたバカは地獄に堕ちて当然だが…。


