
今日は上記の本を読みました。著作物では無く、二人の対談を製本化したものです。
岡田武史元全日本監督の勝負に関する考え方や信念には、さほど目新しいものはありませんでした。
一方、将棋の羽生善治の考え方には驚かされました。
”将棋の指し手を考える時に、考えの真ん中にあるのは、いかに適切にリスクをとるかということです。”
”リスクテイクをためらったり、怖がったりしていると、ちょっとずつですが、確実に弱くなっていってしまうんです。”
”結果的にうまくいったか、いかなかったではなく、そのリスクをとったことに自分自身が納得しているか、していないかを物差しにするのです。”
”私も実際、対局中、あまりに深く集中したために、これ以上集中すると、もう元へ戻れないんじゃないか、という恐怖感に襲われたことがあります。
将棋にはそういう怖い所があるんです。度外れた集中力が狂気のレベルまで接近してしまうことが。
だから私自身、集中力のアクセルを野放図に踏むのをためらっている部分もあります。”
うまくいけば、集中が、狂気とは反対の”玲瓏”の入り口になることがあるそうです。
玲瓏とはスポーツでいう”ゾーン”の状態だそうです。
私も初めて目にする単語ですが、れいろう が一発で漢字変換できたので驚いています。
”周囲がよく見渡せる、透き通った静かな心境という意味です。
将棋でいうと、雑念のない澄んだ気持ちで、余計な思考の必要もなく、自然に深い読みができるような状態でしょう。
その読みにも確信がもてて、時間も無理なくコントロールできている。勝負の場に一体化して、自我が消えた 軽い 感覚もあります。”
羽生は、なんだか禅の世界に近づきつつあるような印象を受けました。
それにしても、自分の言葉で、自分の世界をしっかりと説明できる才能は秀逸です。
ただ、この本自体は、本屋での立ち読みで十分だと思います。