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はせがわクリニック奮闘記

糖質制限、湿潤療法で奮闘中です。
パーキンソン病にはグルタチオン点滴を
癌には高濃度ビタミンC点滴も施行中です。

勝負哲学

2012年02月03日 | 読書


今日は上記の本を読みました。著作物では無く、二人の対談を製本化したものです。
岡田武史元全日本監督の勝負に関する考え方や信念には、さほど目新しいものはありませんでした。
一方、将棋の羽生善治の考え方には驚かされました。
”将棋の指し手を考える時に、考えの真ん中にあるのは、いかに適切にリスクをとるかということです。”
”リスクテイクをためらったり、怖がったりしていると、ちょっとずつですが、確実に弱くなっていってしまうんです。”
”結果的にうまくいったか、いかなかったではなく、そのリスクをとったことに自分自身が納得しているか、していないかを物差しにするのです。”
”私も実際、対局中、あまりに深く集中したために、これ以上集中すると、もう元へ戻れないんじゃないか、という恐怖感に襲われたことがあります。
将棋にはそういう怖い所があるんです。度外れた集中力が狂気のレベルまで接近してしまうことが。
だから私自身、集中力のアクセルを野放図に踏むのをためらっている部分もあります。”

うまくいけば、集中が、狂気とは反対の”玲瓏”の入り口になることがあるそうです。
玲瓏とはスポーツでいう”ゾーン”の状態だそうです。
私も初めて目にする単語ですが、れいろう が一発で漢字変換できたので驚いています。
”周囲がよく見渡せる、透き通った静かな心境という意味です。
将棋でいうと、雑念のない澄んだ気持ちで、余計な思考の必要もなく、自然に深い読みができるような状態でしょう。
その読みにも確信がもてて、時間も無理なくコントロールできている。勝負の場に一体化して、自我が消えた 軽い 感覚もあります。”

羽生は、なんだか禅の世界に近づきつつあるような印象を受けました。
それにしても、自分の言葉で、自分の世界をしっかりと説明できる才能は秀逸です。
ただ、この本自体は、本屋での立ち読みで十分だと思います。

新・堕落論

2012年01月30日 | 読書


先週読んだのですが、読後感はあまり良くありませんでした。
終戦後に、鬼畜米英からアメリカ様々へと豹変した日本人に対して坂口安吾がニヒルな”堕落論”を著しました。
天皇万歳が否定されて戸惑う日本人に、これが正しくて普通の状態なのだと発信したのです。
それを意識しながら、戦後60余年が経過した最近の日本人に対する新たな堕落論を石原慎太郎が遺言代わりに著した本です。
石原慎太郎は日本人の堕落の原因は敗戦後のアメリカの統治にあると断定しています。
ドイツが断固拒否した憲法作成と教育内容の作成をやすやすと受け入れた日本は、20万人が一瞬にして命を奪われた原爆記念碑に
 ”あやまちは繰り返しません”と書かされたのです。
たまたまの朝鮮特需で繁栄し成長する中で日本人はアメリカの妾のような立場に満足して過ごしてきた。
などと記されています。
まあ、妾には我欲(物欲、金銭欲、性欲)の充足以外には目標も理想も無いでしょうから
堕落しているとみなされてもしょうがないのかも知れません。
これは、以前に何かで見聞きした話ですが、ドイツ人は敗戦の日に 
”わかった、今回は負けた。しかし次こそは叩き潰してやる!”と、皆で誓い合ったそうです。

また、日本は核爆弾を製造、保有するべきだとも述べています。
核戦争反対を叫ぶだけでは平和は実現しない。
日本は2発の核ミサイルで壊滅状態になる。
壊滅状態となった日本のためにリスクを犯すほどアメリカは間抜けじゃない。
中国からの領海侵犯事件なども抗議するだけでは外交とは言えない。
核を持っていたならば発生しなかった事件かも知れない。などが理由のようです。

全体的に自己主張とエッセーが混在するような本で冗漫な読後感が残りました。
その中でチョットだけ記憶に残ったのは、IOCのロゲ会長の言葉です。
石原慎太郎が、現代の若者の堕落の原因をロゲに問いかけた答えは、”3つのスクリーン”でした。
つまり、テレビと携帯とパソコンです。