goo blog サービス終了のお知らせ 

春庭パンセソバージュ

野生の思考パンセソバージュが春の庭で満開です。

ぽかぽか春庭「ドイツ語の発音」

2008-03-15 | インポート
2008/03/15
ぽかぽか春庭ニッポニアニッポン語教室>言語の多様性について(9)ドイツ語の発音

 日本における外国語の発音について、コメントをいただきました。
===========
投稿者:my********
 特に最近NTTのCFで流れるドイツ語の発音のいい加減さには辟易しています。 (2008 2/16 4:45)
==========
my******** さん掲示板に掲載した春庭回答(2008-02-16 15:59:17)を再録します。

 きっとmy********さんは、きちんとしっかりドイツ語を学習なさった方でいらっしゃるのでしょう。
 my******** さんは、ドイツ語を標準語基本の発音にのっとって歌ってほしいのですね。

 でも、これも、受け取り方しだいです。
 ドイツ語の方言を話す話者たちは、それぞれのなまりのある発音でドイツ語を語っています。

 NTTの歌がどこかドイツの方言のひとつなのか、日本風ドイツ語なのか、わかりませんが、my******** さんのお好みの「標準的正調ドイツ語」とは異なる発音のしかたで歌っていても、私はよいと思います。
 日本のCMソングであるなら、日本なまりがあってもかまいません。

 私は、言語多様性の信奉者なので、「地方なまりのある日本語の話し方」「外国語なまりの日本語」「日本語なまりの外国語」を、それぞれ「よし」としています。

 標準語や正調発音以外の言語を認めないというのは、言語ファシズムです。
 思想信条や信仰を「ただひとつのもの以外には認めない」という全体主義を好まないのと同じように、私は、言語を「ただひとつだけを正しいとする」のも、好んでいません。

 インドなまりの英語やオーストラリアなまりの英語など、私にはとても聞き取りにくくて、意味が分からないときもありますが、聞き返せばよいし、インド人が巻き舌発音Rでまくし立てているときなど、「発音を気にせずまくしたてられるのも、ヒンディ語と英語はともにインドヨーロッパ語で文法似ているから、簡単に覚えられていいよね」と、感心してしまいます。

 日本人が英語を話そうとすると、発音面でも文法面でも覚えにくい言語なので、苦労してしまいますよね。
 せめて発音面では、「日本なまり英語」を気にせず話せるように、「日本なまり英語を広める会」でも発足させたいです。

 thの発音ができなくても、RとLの区別ができなくても、英語米語話者が、「これは日本語母語話者の発音なまりなのだ」と、承知して聞き取ってくれれば、それで解決。

 そのかわり、韓国の人が「おはようごじゃいます」と、挨拶したとき、「ごじゃいます」は、韓国なまりなのね、と寛容に受け取れるようになってほしい。
==========
 以上、 my******** さん掲示板に記した春庭返信でした。

 「日本語CMのなかであっても、正しい発音でドイツ語をききたい」というmy******** さんの考え方もあってよいし、「多様なナマリを認めたい」という私の考え方も、あってよい。

 外国語の発音については、さまざまな問題があり、一概に「これがいい」とはいいきれないものがあります。

 私は「異質なもの、自分とちがうものを排除することなく、お互いに分かり合える部分をさぐりながらコミュニケートの可能性を広げていこうとする努力」を、続けていきたいと願っています。

<おわり>

コメントを投稿