ハルナツアキフユ 

転移性悪性黒色腫(メラノーマ)と診断された夫のことや
巡る季節の中で思うことを綴っていきます。

今が一番いい時間

2013年06月22日 | 悪性黒色腫(メラノーマ)


昨日は13日のサイバーナイフ照射入院以来の受診でした。
その後、頭痛や浮腫、足の感覚異常もほとんどなく
まるで何事もなかったように普通に過ごしている夫。
放射線腫瘍科のK先生にそのことを報告すると
「それはよかった、よかった!」と、嬉しそうで
私もそのやりとりを見てなんだかとても嬉しくなりました。

その後、呼吸器外科のI先生に受診して
今後の検査の日程を決めました。

脳のMRI検査は7月22日なので
胸部や腹部骨盤のCTは7月18日にしました。
つまり22日にはダブルで結果がわかるということになります。
その結果次第でこれからの治療の方向を決めなくてはなりません。
来るべき時が来るんだなとは思いながらも
ずっと今のままでいられたらいいのに・・・というのが本音です。

メラノーマは他のがんよりずっとあちこちに転移しやすく
進行速度も速いし悪性度も高い・・・と、いいところは何もありません。
だからCTの検査を受けるのがとても怖いのです。
いろいろ考えるといてもたってもいられなくなって
何処か遠くへ逃げ出したくなります。

私たち夫婦は今まで程よい距離を保って
お互いがそれぞれの趣味ややりたいことをやりながらも
家族としてはひとつになってやってきたと思うのですが
今は、二人で過ごす時間こそがとても大切に感じられます。
病気になって初めて夫が見せた弱さや
改めて知った思いの深さもあります。

もちろんいいことばかりではありませんが
まあ、それは今に始まったことでもないので
苛々せずに適当に流すこともできます。

そんなこんなを診察室で考えながら
注文が多くて面倒くさいことを言うアメリカ人の患者に
嫌な顔一つせずに真摯に向き合ってくれるI先生がいてくれてよかったと
心から思わずにはいられませんでした。

夫の免疫力は、I先生の笑顔を見るだけで
120%アップするようです。
それは、診察後にどれだけ夫が
先生の話をするかでもよくわかります。

今は人生の中で間違いなく一番悪い時だけど
でも、そのおかげでいい時間をもらえたと
そう考えると決して悪くはないと思えてきます。





今できること

2013年06月18日 | 悪性黒色腫(メラノーマ)


サイバーナイフの照射から5日が経ちました。
小さな腫瘍があったのは左頭頂葉だったので
右足の裏に時々感覚の違和感があるようですが
日常生活はほぼ支障なく送っています。

7月22日のMRI検査の結果次第で
今後の治療も変わっていくのだろうと思いますが
今はとにかくできることをしています。

その一つは食生活を見直したことです。
今までも比較的健康的な食生活ではありましたが
がんに打ち勝つためにもっと徹底的に変えて
治癒力をアップさせたいと思います。

基本的には
野菜、果物、玄米、全粒小麦のパン、十割蕎麦、大豆
白身魚、鶏肉のささみ
ヨーグルト、海藻、キノコ、オリーブ油やゴマ油、酢
ミネラルウォーターなど。
野菜はそんなにたくさんは食べられないので
ジュースにして飲めるよう
クビンズのジューサーを思い切って買いました。
安くはないけれど音も静かで性能もよく
人参やリンゴ、キウイなど何種類もの野菜や果物を
手軽に、大量にジュースにできるのがいいです。
野菜ジュースは1日2リットル飲むのが良いようなので
できるだけそれに近づけたいと思います。
ミネラルウォーターは友達が箱で送ってくれた日田天領水がとてもいいので
その後も買って料理にも使っています。
玄米や野菜は故郷の友達から定期的に送ってもらっていて
とても美味しいし箱を開けるのが楽しみです。
職場近くは畑が多く、無人の野菜スタンドも多いので
できるだけ新鮮な野菜を買うようにしています。

夫がきっぱり辞めたものはお酒と牛豚肉。
できるだけ食べないものは甘いお菓子や、しょっぱい漬け物など。
今までとそれほど大きく変わったわけではありませんが
あまり厳しく管理するとストレスになるので
たまには息抜きしながらやっていきたいと思います。

美味しく食べて幸せ気分が一番です。










気持ちがほっこり

2013年06月15日 | 悪性黒色腫(メラノーマ)


昨日のことです。
某県の県立がんセンターのM先生からメールが届きました。
しばらく前にM先生の論文をネット上で読み
内容について質問したことについてのお返事でした。
論文はメラノーマで脳転移があった患者にガンマナイフ照射をしたところ
16ヶ月後も転移なく生存していたというものでした。
よくない情報が多い中で、少しでも夫の励みになればと思い
「その方は、その後どうなりましたか?」と
不躾な問合せを病院の問合せメールで送ったのです。

なのに先生はとても温かいメールをくださいました。
「個人的なことに関わるので詳しいことは言えませんが。」と断られた上で
「その患者さんは残念ながら他の臓器に転移がみつかりその後の経過はよくありませんでした。
でも、他の患者さんで肺転移は切除し脳転移が複数生じた方で、
やはりガンマナイフ治療などを受けて、現在まで5年以上進行なくお元気な方もいらっしゃいます。」
と、お答えいただきました。
そして
「可能な治療はできるだけ受けられることをお薦めします。
どうか希望を捨てることなく、ご主人を支えて頂ければと思います。」
と励ましてくださいました。

とても嬉しく
ほっこりした気持ちで胸がいっぱいになりました。
ありがとうございました。

退院した夫と病院から帰る車中
梅雨の合間の青空が
何ともまぶしく感じられました。





サイバーナイフ vs. メラノーマ

2013年06月14日 | 悪性黒色腫(メラノーマ)


今日は朝から雨模様でしたが
午前中は久しぶりにY先生の皮膚科受診
そして入院手続きをして
午後は脳の腫瘍のサイバーナイフ治療と
慌ただしく過ぎていきました。

メラノーマは通常はステージ1の皮膚の腫瘍に始まり
その後リンパ節に転移するステージ3まで何年もかかったりするので
皮膚科医とは長い付き合いになるようですが
夫はそもそも肺の転移から始まったので
診察はほとんど呼吸器外科のI先生にお願いし
皮膚科も放射線腫瘍科もI先生が繋げてくれています。

今日、皮膚科のY先生に一番聞きたかったことは・・・
「脳のサイバーナイフ治療と共に(あるいは治療後)
一体どんな抗がん治療をしていけばよいのか?」
と、いうことです。

夫も私もあれこれリサーチしていたので
答えは何となく予想がついていました。
そして思った通り
「ステージ4になると予後も悪く期待できる治療はあまりありません。
欧米のように新薬が次々に出るわけでもなく
現在、日本でよく使われている薬の奏功率が決していい訳でもなく
その中で標準的に使われているダカルバジンを使うぐらいしかありません。
そして、それが効かなくなったら
カルボプラチンとパクリタキセルを併用して使うこともできます。
あまり効くわけではないのですが・・・。」

残念ながら、それがステージ4のメラノーマ治療の現実のようです。

アメリカなどでは
イピリムマブやベムラフェニブなど新薬が使えるようになって
メラノーマ治療は大きく前進したようですが
がんが消えてなくなるとか
余命が画期的に長くなるというわけでもなく
強い副作用もあります。
そして、かなり高額なものです。

医学は進歩したと思っていたけれど
がん治療については
ここ30年それほど進歩がないというのは
本当なんだと改めて思いました。

さて、その後は昼前から入院。
午後は放射線腫瘍科で
“サイバーナイフと脳のメラノーマの一騎打ち”です。
照射室に夫を送り出してから1時間弱
とても不安でした。
ひどい浮腫や耐えられない頭痛とか出たら嫌だなとか
うまくいかなかったら・・・とか。
でも、ほどなくして
「終わりましたよ!」と技師の先生。
照射を受ける前と何も変わらず
スタスタと歩いて出てきました。

よかった!
ホッと一安心です。

放射線腫瘍科のK先生が
「上手くいきましたよ。バッチリでした!」と
ニコニコしながら説明してくれました。
もちろんうまくいったというのは照射がうまくいっただけで
腫瘍があっという間に消えたわけではありませんが
先生の笑顔をみて
それだけでとても嬉しくなってしまいました。

その後、呼吸器外科のI先生に
今日の結果やこれからの治療のことなど
いろいろ相談をして
長い1日が終わりました。

6週後の7月22日に脳のMRIを撮って
腫瘍が小さくなっているかどうかを診てもらいます。
ちょっと先で心配ですが
きっと大丈夫だろうと希望を持っています。

その間
免疫力アップできるよう
疲れない、ストレスを溜めない
いい食事を摂る、よく寝る
よく笑う・・・など
気をつけていきたいです。

今日は3人の先生にお世話になりました。
特にI先生には毎度のことながら
診察や検査、手術の手配から
英語での説明や心強いサポート
そして何より先生の笑顔に元気づけられました。

今日の治療がうまくいくよう祈ってくれた
家族や友人たちにも感謝です。

ありがとうございました。









眼のメラノーマ検査

2013年06月11日 | 悪性黒色腫(メラノーマ)


先週、眼科を受診して
眼球にメラノーマの原発がないかどうかを検査しました。
国際医療センターには眼科がないので母体である大学病院に行きました。
検査した時点で眼球内に小さなシミがあると言われ
何十枚も写真を撮られました。

今日、その結果が出るということで
夫婦揃ってかなり緊張しながら受診しました。
なぜなら、眼が原発のメラノーマはかなりやっかいで予後が最も悪く
新薬の治験なども受けさせてもらえないほどなのです。

「教授が診察しますから」と、2時間近く待たされ部屋に入ると
教授先生は小さな声で「どうぞ・・・」
顔もろくに見ず、モニターに映る何十枚もの眼球の写真を
カチカチカチ・・・とクリックして観察しています。
モニターには拡大されて巨大化した眼球に
へばりつくような黒い蜘蛛のようなものが・・・。
ああ、もうダメかな・・・と思いました。
その後教授はモノも言わず機械を通して夫の右目を観察しました。
その間、おそらく5分程度・・・

そして教授は一言。
『まあ、メラノーマではないでしょう。問題ないですね。」

よかった・・・。
とりあえず一安心です。

それにしても・・・
国際医療センターの母体であるこの大学病院ですが
あまりにいろいろな面で違いすぎて
できればもう来たくないと思ってしまいました。

たとえ短い時間の診察でも
きちんと目を見て話してくれるだけで
そこから得られる信頼感や安心感は
計り知れないと思います。
でも今日の教授先生が診てくれたのは“右眼”だけでした。

でも心配事が1つ減ってよかったです。
まだ、いろんな心配や問題があるけれど
焦らずに考えていきたいと思います。