ハルナツアキフユ 

転移性悪性黒色腫(メラノーマ)と診断された夫のことや
巡る季節の中で思うことを綴っていきます。

名医との面談

2013年08月23日 | 悪性黒色腫(メラノーマ)

今、アメリカに行っている夫
無事に二人のメラノーマの名医との面談を終えたようです。

1人はニューヨークメモリアルスローンケタリングがんセンターのJedd D. Wolchok医師で
期待される新薬の開発や臨床試験にも携わっています。
もう1人はボストンのダナファーバーがん研究所のStephen Hodi医師です。

夫はメラノーマと診断されてから
この二人の医師と何度もメールのやりとりをしてきました。
国際医療センターのI先生も夫のメールにはいつも快く応じてくれますが
一般的には日本の医師はあまりメールでのやりとりはしないと思います。

でも特にスローンケタリングのWolchok医師は
実に丁寧にひとつひとつのメールに応えてくれてきていて
世界的なメラノーマの権威で新薬の開発にも関わり
多くの患者を受け持っている超多忙な身であるのにと
ありがたいながらも申し訳ないなと思っていました。

しかし、実際に面談するとなるとそこはアメリカの病院
とてもシビアです。
きちんとしかるべき部署を通し
何度も電話でのやりとりがあり(時差があるのでタイミングが難しいのですが)
I先生に作ってもらった英語の検査結果や病理診断、画像CDRなどをあらかじめ送り
すべてにチェックが入り
それからやっと面談にこぎつけられます。
1回の面談費用は自費なので
スローンケタリングで8万円、ダナファーバーが6万円ぐらいでした。
決して安くはありません。

でも結果は満足のいくものだったようです。
二人共たっぷり時間をかけて
夫が用意していった、たくさんの質問にすべて答え
病気について、今後の治療や治験のこと
日常生活に至るまで、それは親身に答えてくれたようです。

治療の今後については
脳転移治療中で他に転移のない夫には
今は抗がん剤治療も、新薬も必要はなく
免疫力を落とさないように生活し
定期的に検査をして転移を確認していくのがベストのようです。
脳の腫瘍については
今後大きくならず浮腫がひどくならなければ大丈夫だろうと言われました。
実際、なかなかすぐには小さくなったり消えたりはしないようです。

ところで、今回のスローンケタリング受診では
「両足のふくらはぎが、ジョギング後などにやや腫れて痛いのが続いている。」と話したら
先生に超音波エコーを勧められて受けることにしたとのこと。
結果は異常なしでよかったのですが
費用は何と12万円!でした。
アメリカの医療費ってやはりとても高いのですね。
日本の感覚で軽く検査はできません。
ちなみに入院費は1日20万円から40万円
CTもMRIも1回20万円位はかかるそうです。

ちなみに日本で入っている健康保険
アメリカで治療しても、日本に帰って来て申請すれば保険適用になるのですが
戻ってくる額は「日本での常識的な費用の範囲」だそうで、微々たる金額のようです。

医療費もさることながら薬剤も高いのがアメリカです。
アメリカでは大手の製薬会社が競って新薬の開発に巨額を投じることから
いざ承認されて発売されると、あり得ない金額になってきています。
ipilimumab(商品名はYervoy)は1クール4回の治療で1000万円から1200万円ぐらいかかるとのこと。
期待されている抗PD-1抗体薬NivolumabやLambrolizumabはまだ承認されていないのですが
おそらく今年か来年には承認されるだろうとのことで、Yervoyほどではないにしても
高額になるだろうと医師は言っていたようです。

日本で早くこれらの新薬が承認され
高くても手が出る程度に
保険で治療できるようになってほしいものです。
Nivolumabは肺がんにもよく効くようですから
患者の多い日本での需要は高くなるはずで
患者数が少ないメラノーマもそれに便乗できればなどと
あれこれ、よくわからないことを考えながら
暑い夜長を過ごしてモヤモヤしているこの頃ですが
難しいことや自分の力の及ばないことを考えるよりも
今できることをしようと思い
Facebookに「メラノーマ情報ページ」を作ってみました。
日本で得られる日本語によるメラノーマ最新の情報はとても少ないのですが
アメリカやオーストラリアはHPもFacebookページも充実しています。
「メラノーマ情報ページ」ではそれらの情報を共有して日本語に訳して
発信していけたらいいなあと思っています。
Facebookをやっていなくても見れますので
興味のある方は覗いてみてください。











夏が来て

2013年08月05日 | 悪性黒色腫(メラノーマ)


夫はもうすぐアメリカに行きます。
3週間の旅は長いようですが
NYやボストンで家族や友人と過ごしたり
学会に出たりするだけでなく
NYとボストンの二つの病院で
メラノーマ治療の名医二人と面談するという
大きな目的を持っての旅となります。

今回の検査結果で脳以外の転移が見つからなかったこと
脳転移にはサイバーナイフ照射の効果がまだ出ていないこと
健康状態がよく保たれていることから
すぐにでも治験を始める必要性はないのですが

10月、あるいはそれ以降の検査で転移が見つかった時に
治験にスムーズに参加できるように
できるだけ多くの情報を得たいところです。

今回の面談に際して
二つの病院から多くの資料を
英文であらかじめ郵送するよう求められました。

紹介状
治療の経過
メラノーマの病理組織診断
サイバーナイフ照射治療の経過
さまざまな検査の結果
MRIやCTの画像CDR
病理標本等

これらすべてのものを国際医療センターのI先生が中心に
担当の先生方が早急に英文で作成してくれました。
本当にありがたいことです。

今回の旅で
アメリカのメラノーマ治療の最先端にいて
新薬の開発や治験、治療に大きく関わる二人の名医から
限られた時間の中でどれだけの話が聞けるのかはわかりませんが
私も無理して一緒に行けばよかったと
今更ながら残念に思うところです。

でも現実問題としては
仮に今後アメリカでの治験に参加できたとしても
諸々の費用を含めると
日本では考えられないほど膨大な費用がかかります。
日本なら仕事しながらの治験参加も可能かもしれませんが
アメリカでするなら休職せざるを得ないでしょう。
今までのように夫婦、家族が共にいることも
私の仕事を考えると厳しくなるでしょう。

だから早く新薬が日本で承認され
日本で治療できることを心から願っています。

どうかきっと
遠くない未来にその日が来ますように・・・。