ハルナツアキフユ 

転移性悪性黒色腫(メラノーマ)と診断された夫のことや
巡る季節の中で思うことを綴っていきます。

新薬ニボルマブ 世界初承認へ

2014年06月27日 | 悪性黒色腫(メラノーマ)


小野薬品が昨年のクリスマスイヴに
メラノーマの治療薬として承認申請していた二ボルマブですが
ついに6月26日、厚生労働省が承認する方針を決めました。

   NHKニュース

まだ正式な承認、その後の販売までには時間はもう少しかかるのでしょうが
ここまで来たら早く使えるようにしてほしいものです。

幸い、夫は今すぐに使わなければならない状態ではありませんが
今すぐにでも使わないと・・・という患者さんも多く
承認を待たずして亡くなった方や、そのご家族の無念を思うと、
ほんとうに悔しい気持ちになります。

日本では年間1400人が発症し、700人が亡くなっていると推計されています。
アメリカのように患者の多くが治験を受けられるような環境にもなく
治療の選択肢もステージが進むにつれ限られていたメラノーマ治療に
新たな希望が見出せるようになる日が近づいたことに
大きな拍手を送りたい気持ちでいっぱいです。

「オプジーボ」という製品名になるようですね。
どんな意味合いのネーミングなのか聞いて見たいものです。
















6/6 脳MRIの結果

2014年06月08日 | 悪性黒色腫(メラノーマ)


前回夫の検査や病状について書いたのが4月で、
今回の検査までの間にいろいろなことがありました。

夫は新学期の仕事を休むことなくこなしながら、
週1回、病院へリハビリに通い、週5回のジムでの筋トレ、
スイミング、自主リハビリを頑張ってきました。
その他、二人で名栗の山にも登り、尾瀬にも行ってきました。
以前の夫なら、疲れ知らずで平気だったでしょうが、
さすがに今の右足のコンディションでは少し疲労気味な日々でした。

夫としては、夏にアメリカのパシフィック・クレスト・トレイルを
友人と2週間かけて縦走したいという目標があり
だからこそ右足の不自由さを克服したいという強い思いがあります。
でも今の段階では残念ながら歩き方はあまり改善したようには見えません。
少々焦り気味の夫ですが、こればかりは仕方ありません。

3日には、T先生に受診してリハビリの経過を診ていただきました。
先生は「完全に回復するのはちょっと難しいかもしれないけれど、
失われた20%の機能は残った80%が補うことで10%にすることができます。
それは歩き方だったり、筋トレだったり、靴を工夫することだったりと
いろんな方法があります。でもやりすぎ、疲れすぎは禁物ですよ。
また、山登りはいい訓練ですが、下りはあまりおすすめできません。
着地に際して、片足に過大な負担がかかったり、
バランスを崩しやすく、脱臼や捻挫、転倒しやすいからです。
まあ、そうは言っても登ったら下りてこないといけませんけどね・・・。
麻痺があるのは右下肢ですが、中殿筋や、大殿筋を鍛えることがとても大事です。」
とのお話でした。
夫としては納得せざるを得ないのですが、悔しい気持ちを隠せません。

それでも、6日の脳のMRI検査の結果がよければ、
夏の山行きは決行するつもりでした。
さて、その結果ですが・・・
N先生は「腫瘍も浮腫も、前回3月の大きさとあまり変わっていません。
腫瘍についてはMRIだけでははっきり言えないまでも
たぶん、ネクローシス(壊死したもの)でしょう。
浮腫は残念ながら小さくなっていないけれど、
イーケプラを服用している限りコントロールされているので
大きな痙攣発作は起きないはずです。
浮腫をとるためのプレドニンによる副作用も少ないので
今後もこのまま内服を続けて様子をみましょう。」と。
浮腫が小さくなっていなかったことは夫にとってはがっかりでした。

その後、I先生に今後のことや夏山行きのことを相談しました。
通常であれば、痙攣発作を起こしたら救急車で病院に行き
抗痙攣剤のジアゼパムを注射してもらうのが一番よいらしいのですが
2週間、4千メートル級の山々を縦走するということは
何かあってもすぐには助けを求めることもできないということです。
一緒に行く友人にも迷惑をかけることになり
最悪の場合ヘリコプターで救援・・・と考えるだけで
やめた方が無難なのではと思ってしまいます。

また、高い山に登ると高山病になって
脳浮腫、肺水腫を起こすこともあります。
夫は数年前に富士山に登った時には全く問題はありませんでしたが
今の状態では、現存の浮腫が悪化する可能性は?と疑問に思います。

あの登山家の三浦雄一郎は心房細動という病気を抱えながら
80歳でエベレストに登りましたが、
それも医師を含む多くの人の支えがあってできたことです。

そんなこんなで、この週末は浮かない顔の夫です。
まだ、望みは捨てないとはいえ、おそらく行かないという結論に達するでしょう。

アメリカでは死ぬまでにやっておきたいことのリストを
The Bucket List(棺桶リスト)と言います。
私も、そんなに夫が行きたいならば
私と息子とで一緒に行ってもいいけれど・・・と思いましたが
発作のことがなければ、たぶん私は歩くのが遅すぎてついていけず
却って足手まといになる気がします。
ましてや、動けなくなっても抱えて下りてくることもできません。

夫のことだからきっと何か代替案を考えるでしょう。
まあ、できるだけ好きなようにさせてあげたいと思います。

次回の検査は7月28日の肺と腹部のCTです。
左肺の腫瘍がさらに大きくなっていたら
9月には手術になるかもしれません。
また、肝臓や腎臓には転移がないことを祈るばかりです。

「1/100000の戦い」というメラノーマ闘病のブログを書いている方がいて
お会いしたことはありませんが、私にはとても大きな励みになっています。
でも、そんな彼に5月に入って肺の他、肝臓にいくつも転移が見つかったとのことで、とてもショックでした。
彼は二ボルマブの治験をスタートしたばかりです。
どうか、うまくいきますように!

通常、脳転移があると治験は受けられません。
でもN先生は「現在、脳転移はコントロールされているので大丈夫でしょう。」と言ってくれました。
幸いにも、まだ治験を受けるような多発転移はありません。
秋以降にはきっと二ボルマブも承認されるでしょうから
とりあえずは大丈夫かなと思っています。

メラノーマと診断されて1年が過ぎました。
たくさんの方の励ましや支えがあって
夫もなんとかやっています。
家族や彼の友人、私の友人、
I先生、K先生、N先生
患者会を通して知り合った方たち
ブログを読んでくれている方たち
皆さんには感謝するばかりです。

まだまだ闘いは続きそうですが
皆さん、懲りずに見守っていてください。

私は、少々疲れ気味ではありますが
程よくストレス解消しながら
頑張っていきたいと思います。

そして、同じようにメラノーマで闘っているみなさん
頑張りましょうね。