ハルナツアキフユ 

転移性悪性黒色腫(メラノーマ)と診断された夫のことや
巡る季節の中で思うことを綴っていきます。

冬から春へ

2015年02月16日 | 悪性黒色腫(メラノーマ)


冬から春に向かってはいるけれど、
まだまだ寒い日が続いています。

前回からずいぶんと間が空いてしまいました。
クリスマスからお正月、正月明けと、
夫の体調はまずまずだったのですが
精神的にはかなり不安定になっていて、
今までになくとても気難しくなって
不機嫌で急に怒鳴ったり口を聞かなくなったり。
休職して家にいることでの孤独感や
社会から必要とされていないという疎外感も
寒い日々の中で強くなっていました。
そんな中でブログを書くと愚痴と悪口になってしまいそうで
積極的に書く気持ちになれませんでした。

11月にアメリカで29歳の末期の脳腫瘍患者が尊厳死を選んだ事も
夫にとっては大きな出来事でした。
また秋から冬にかけて
患者会を通して出会った仲間が3人亡くなったこともショックでした。
同じ日にオプジーボ治療を始めたHさん
お茶会でいろいろ話したKさん
そして、一緒に泳ごうと約束した「1/100000の闘い」のAさん・・・。
夫にとっては共に闘う大切な仲間で
みんなのがんばりは大きな励みでした。

夫は外見は元気でも
いつどうなるかわからないという不安が常にあります。
正月明けに「もうすべてを片付けて治療をやめて一人でどこかに行く。」と
真顔で言われた時には私もショックで狼狽え、
夜も眠れなくなってしまいました。

国際医療センターのI先生に相談すると
先生は「うちの病院には精神腫瘍科があってメンタルな面でのサポートもしっかりしてくれます。
いい先生がいるから受診するなら予約を入れましょう。」
と言ってくださいましたが
何せ夫は自分が鬱だなんて思っていないし
私の勧めで受診するなんて考えられません。
私自分も鬱になりかけていたようで
どんなにがんばってサポートしても空回りして
「もう何もしてくれるな。」と言い放たれた時の
悲しみと無力感から眠れない日々が続きました。

1月には「どこかの島に行く。」と言い出し
そのまま帰ってこないつもりなのかと心配になり
一緒に行くことにしました。
二人でいろいろ調べたり計画しているうちに
夫にも笑顔が戻って嬉しそうにしている姿を見れるようになり
私も嬉しくなってしまいました。
旅先ではすっかり明るい夫に戻って
よく喋り、よく笑い、よく食べ
無理をしても一緒に来て本当によかったなと思いました。

その後は「札幌の雪まつりに行きたい。」と付き合わされ
さすがに私の有休もなくなってしまいましたが
彼にとっては「これが最後かもしれない。」だったので
無理をしてもつき合ってあげてよかったと思っています。

今後は2月27日の治療とCT検査で
4月から復職するか
さらに休職するかが決まります。

今は明るさを取り戻して元気に振る舞っている夫ですが
心の内は不安でいっぱいでしょう。
本人でなければ絶対にわからない恐怖や不安に対して
家族は支えてあげることしかできないけれど

今をフルに楽しんで生きてほしい。
それだけを想う毎日です。