9月9日は脳のMRI検査でした。
しばらく病院から遠ざかっていたので久しぶりの受診で緊張しました。
検査は思ったより長くかかり
何かあったのかな・・・と心配に。
でも無事に終わってK先生に結果を聞きました。
結果は・・・
サイズは変わりなく1.2cmほど。
ただ中心部は少し空洞化?しているような。
浮腫は腫瘍の周りで少し大きくなっていました。
脳内での転移はまったくみられず、ほっとひと安心しました。
「メラノーマは縮小までに時間がかかりますね。」
「でも症状が何もでていないので大丈夫。また11月にMRIを撮りましょう。」と。
その後I先生に受診し、検査結果の所見に始まって、夏のアメリカ行きの報告やら
アメリカと日本の医療の比較、今後の方向やらいろいろとお話できました。
メラノーマ患者会設立にあたって
「患者会は新薬承認ではとても大きい力になるからね。」と励ましてくださり
「そうか、じゃあ頑張らないと・・・。」と改めて思いました。
私たち夫婦にとって先生と話す時間は“免疫療法”のようなもので
検査結果はともあれ気持は晴れやかになるから不思議です。
下手な抗がん剤よりずっと効果があるようで・・・。
新薬と言えば
アメリカの話ですが・・・
メラノーマのステージ4で余命数ヶ月の男性が
脳転移があるからという理由で抗PD-1 抗体薬の治験が受けられず
この新薬を開発中のMerck社とBristol-Myers社にコンパッショネート・ユースで治療を受けたいと
電子署名を募って嘆願しています。(Save Locky's Dad | Nick Auden)
製薬会社は開発中で承認前の薬を治療薬として患者に売ることはできません。
でも時に「コンパッショネート・ユース」(生命に関わる疾患を持つ患者の救済を目的として、
限定的状況において未承認薬の使用を認める制度)で、特例として使用を許可することもできます。
彼はすでにFDAの許可をもらい、Dr.も治療に同意しています。
あとはMerckとBristol-Myersのどちらかの返事を待つだけです。
署名は、すでに188,5454人に達していて
SNSのネットワークやメディアを上手く使った方法には驚くばかりですが
最終的に2社のどちらかが彼の嘆願に応じるでしょうか。
夫もステージ4で脳転移があるため
ほとんどの治験からは対象外として外されてしまいます。
(脳転移にターゲットを絞った治験もなくはありませんが・・・)
患者としては「なぜ!?」「一番必要としているではないか!」と思うのですが
脳転移がある時点で、予後が悪く実験中に亡くなることも考えられ
莫大な費用をかけて薬の効果をみるのには不適合でしょうし、
また脳は blood-brain barrier(BBB)の働きで薬が効きにくいということもあるのでしょうか。
この二つの製薬会社は慈善団体でもなんでもなく利益を求める巨大企業であり
1人の願いを聞き入れれば後に続く同様の立場の患者があまりにも多いでしょう。
夫だって、今は肝臓や腎臓に転移がないので
治験で治療を受ける必要はありませんが
転移があれば抗PD-1 抗体薬の治験はもっとも期待できるため
彼と同じ立場になるでしょう。
ところでこの抗PD-1 抗体薬「ONO-4538/BMS-936558」は
実は日本の小野薬品が2005年に開発したものですが
共同研究契約を結んでいたメダレックス社が、2009 年にBristol-Myers 社に買収され
北米における開発・商業化権をBristol-Myers 社に供与することになり
2011年に小野薬品とBristol-Myers 社が結んだライセンス契約で、
小野薬品が開発、商業化の権利を留保する日本、韓国、台湾以外の全世界において
独占的に開発および商業化する権利をBristol-Myers 社に供与したという経緯があります。
現在まるでBristol-Myers社(商品名:nivolumab)とMerck社(商品名:lambrolizumab (MK-3475))の
業績のように期待されていることは小野薬品の研究者にとっては悔しいことだろうなあと思います。
でも、逆に言えば日本では小野薬品が開発、商業化できるということですから
ひょっとしたら案外早く承認され治療薬として使えるようになる可能性も高いのかなと思います。
この薬はメラノーマだけでなく非小細胞肺がん、腎細胞がんにもとてもよく効くようで
薬を待つ患者の需要が高ければそれだけ商品化も早く、薬価もそれなりに・・・と願うところです。
それまでは
どうか転移がなく平穏な日々を過ごせますように・・・。