シニアの一人たび

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医療関連死調査 まだ22例(その2)

2006-07-02 13:44:29 | 医学
 モデル事業10カ月 目標の10分の1
  評価方法に疑問の声も
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 この報告書は、死因は「血管損傷による大量出血と、不十分な循環管理に起因す
る出血性ショック」と結論づけ、執刀医の経験不足と麻酔科医の対応の遅れを指摘
した。
 ところが、解剖を担当した医師の解剖結果報告書(未公表)によると、心臓に血
液送る左冠状動脈の主幹部が「90%狭窄」だった。血管の内径が正常の1割程度に
狭まっていた。しかし、評価結果報告書はこれには直接触れず、「今回のショック
を説明するような心筋梗塞(血流が阻害され心筋が壊死すること)はなかった」と
述べるにとどまっている。

 循環器の専門医の話では、心筋の壊死がなくても、冠状動脈が極端に狭くなって
いれば、一時的に心臓に流れる血流が不足し、心機能が低下することはありえると
いう。
 この患者に狭心症などの発症歴はなく、術前の一般的な心機能検査でも異常はみ
られなかった。術中の出血量約6千ccは肝臓手術としては多いほうだが、損傷した
血管は応援の血管外科医が修復、止血している。

 モデル事業の運営にかかわる複数の関係者は「冠状動脈の狭窄も死に関係した可
能性はある。少なくとも報告書でそれをどう評価したか言及すべきだった」と話す。
評価委に循環器の専門家ははいっていなかった。
 病院側も5月末、狭窄が死因に関係ないと判断した理由について説明を求める文
書を、モデル事業を運営する日本内科学会の事務局に送った。同事務局は近く、結
論が出た2例の評価方法を検証し、評価委員の人選のあり方などを検討する。
                      (2006.07.01 朝日夕刊『完』)

医療関連死調査 まだ22例

2006-07-02 08:38:55 | 医学
  モデル事業10カ月 目標の10分の1
  評価方法に疑問の声も
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 手術後の急死など、医療行為に関連した死亡の原因を調べる厚生労働省の調査分
析モデル事業が、厳しい船出を強いられている。昨年9月に始まって10カ月たつが
、調査件数は目標の年間200例に対し、全国6地域計22例にととどまる。評価の
結論が出たのはまだ2例で、目標期限内(3カ月)にまとまったのは昨年12月に
愛知県内の病院で発生した死亡例だけだ。しかも、この事例の評価結果に対し、
「評価方法が疑問」との声が上っている。

 モデル事業は東京、愛知、大阪の3都道府県と神戸市で始まり、今年になって
茨城と新潟両県が加わった。しかし、調査件数が伸び悩んでいるのは、医療現場に
十分周知されていないことや、いつ発生しても対応できるような解剖の態勢が十分
に整わないことが理由だ。調査のほか30件以上の相談があったが、遺族から解剖の
同意が得られないなどの理由で見送られており、調査に結びついていない。

 愛知の事例では、肝内胆管がんとの診断で肝臓の切除手術を受けた60代の男性が
、手術翌日に亡くなった。解剖担当の病理医、法医をはじめ、麻酔科医や消化器外
科医、弁護士ら8人で地域評価委員会を構成。評価結果報告書は3月に遺族と病院
に手渡され、4月に概要が公表された。
                 (2006.07.01 朝日夕刊『その2に続く』)