モデル事業10カ月 目標の10分の1
評価方法に疑問の声も
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この報告書は、死因は「血管損傷による大量出血と、不十分な循環管理に起因す
る出血性ショック」と結論づけ、執刀医の経験不足と麻酔科医の対応の遅れを指摘
した。
ところが、解剖を担当した医師の解剖結果報告書(未公表)によると、心臓に血
液送る左冠状動脈の主幹部が「90%狭窄」だった。血管の内径が正常の1割程度に
狭まっていた。しかし、評価結果報告書はこれには直接触れず、「今回のショック
を説明するような心筋梗塞(血流が阻害され心筋が壊死すること)はなかった」と
述べるにとどまっている。
循環器の専門医の話では、心筋の壊死がなくても、冠状動脈が極端に狭くなって
いれば、一時的に心臓に流れる血流が不足し、心機能が低下することはありえると
いう。
この患者に狭心症などの発症歴はなく、術前の一般的な心機能検査でも異常はみ
られなかった。術中の出血量約6千ccは肝臓手術としては多いほうだが、損傷した
血管は応援の血管外科医が修復、止血している。
モデル事業の運営にかかわる複数の関係者は「冠状動脈の狭窄も死に関係した可
能性はある。少なくとも報告書でそれをどう評価したか言及すべきだった」と話す。
評価委に循環器の専門家ははいっていなかった。
病院側も5月末、狭窄が死因に関係ないと判断した理由について説明を求める文
書を、モデル事業を運営する日本内科学会の事務局に送った。同事務局は近く、結
論が出た2例の評価方法を検証し、評価委員の人選のあり方などを検討する。
(2006.07.01 朝日夕刊『完』)
評価方法に疑問の声も
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この報告書は、死因は「血管損傷による大量出血と、不十分な循環管理に起因す
る出血性ショック」と結論づけ、執刀医の経験不足と麻酔科医の対応の遅れを指摘
した。
ところが、解剖を担当した医師の解剖結果報告書(未公表)によると、心臓に血
液送る左冠状動脈の主幹部が「90%狭窄」だった。血管の内径が正常の1割程度に
狭まっていた。しかし、評価結果報告書はこれには直接触れず、「今回のショック
を説明するような心筋梗塞(血流が阻害され心筋が壊死すること)はなかった」と
述べるにとどまっている。
循環器の専門医の話では、心筋の壊死がなくても、冠状動脈が極端に狭くなって
いれば、一時的に心臓に流れる血流が不足し、心機能が低下することはありえると
いう。
この患者に狭心症などの発症歴はなく、術前の一般的な心機能検査でも異常はみ
られなかった。術中の出血量約6千ccは肝臓手術としては多いほうだが、損傷した
血管は応援の血管外科医が修復、止血している。
モデル事業の運営にかかわる複数の関係者は「冠状動脈の狭窄も死に関係した可
能性はある。少なくとも報告書でそれをどう評価したか言及すべきだった」と話す。
評価委に循環器の専門家ははいっていなかった。
病院側も5月末、狭窄が死因に関係ないと判断した理由について説明を求める文
書を、モデル事業を運営する日本内科学会の事務局に送った。同事務局は近く、結
論が出た2例の評価方法を検証し、評価委員の人選のあり方などを検討する。
(2006.07.01 朝日夕刊『完』)