今年の一位「進化研究」／米科学誌トップ10

　米科学誌サイエンスは、科学界の今年の画期的成果「10大ブレークスルー」を
最新号で発表し、トップに「進化研究」を選んだ。日本の探査機「はやぶさ」な
どが活躍した「惑星探査」や、国際熱核融合実験炉（ＩＴＥＲ）の建設決定も、
10項目の中に含まれている。進化研究は、国際チームによるチンパンジーの
ゲノム（全遺伝情報）解読や、ヒト遺伝子の個性を探る大規模共同研究の成果
などから、進展著しい分野としてトップになった。

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サイエンス誌が選んだ１０大科学成果
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　①チンパンジーのケノム解読などの研究
　②探査機「はやぶさ」などによる惑星探査
　③植物の開花に関する遺伝子などの解明
　④中性子星の新しい振る舞いの発見
　⑤脳の神経回路の誤配線で発病する可能性の指摘
　⑥地球の起源に迫る隕石（いんせき）などの化学分析
　⑦カリウムイオン調節たんばく質の構造解明
　⑧人間活動による気候変動の証拠が続々
　⑨細胞内の化学信号の解析
　⑩ＩＴＥＲの建設地が仏へ決定

　　　　　　　　　　　　　　（2005/12/31　朝日朝刊／総合）

おしゃぶり使えば大幅減／乳幼児突然死

　　リスク10分の１／米グループ発表
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　寝ている時におしゃぶりを使うと、乳幼児突然死症候群（ＳＩＤＳ）を大幅に
減らせる＿＿そんな研究を、米国の非営利民間団体と米国立小児保健発育研究所
（ＮＩＣＨＤ）のチームがまとめ、論文を発表した。研究チームは「おしゃぶり
推奨は有効な対策になりうる」としている。

　チームは97～00年に、カリフォルニア州の11郡でＳＩＤＳで死亡した１８５人
（寿命平均98日）と、人種や年齢以外は無作為に選んだＳＩＤＳではない乳幼児
３１２人（平均生後１０４日）のデータを調べた。
　母子の年齢や人種、妊娠中の喫煙状況などの影響を統計的に取り除いて分析し
た結果、おしやぶりを使っていたグループでは、使っていないグループに比べて
リスクが0.08倍と、10分の１以下となった。

　ＳＩＤＳ予防に、仰向け寝が有効なことは知られている。今回の結果では、う
つぶせ寝や、たばこを吸う母が添い寝するなど、ＳＩＤＳの危険を増やす環境の
場合、特におしゃぶりの予防効果が高く出た。おしゃぶりについては、①寝具な
どが顔にかぶさっても口や鼻をふさぐのを附属部分が防ぐ②のどの神経系の発達
を促す、などの指摘がある。米国小児科学会は、おしゃぶりを推奨するガイトラ
インを秋に発表した。

　一方、日本小児科学会や日本小児歯科学会などの会員でつくる検討委員会は今
年１月、「おしゃぶりは出来るだけ使用しないほうがよい」との見解をまとめた。
長期間の使用で歯のかみ合わせが悪くなるなどの影響を重視した。使用する場合
は、１歳過ぎになったら常用をやめ、遅くとも２歳半までにやめるとしている。

　ＳＩＤＳは日本では４千人に１人と推定され、生後２～６カ月に多い。育児用
品のピジョンの調査によると、日本の０～24カ月児のおしゃぶり使用率は27.7％
（05年）。０～３カ月は４割を越え、10カ月をすぎると急激に少なくなるという。
育児用品のコンビが実施した母親アンケートでは、おしゃぶりを使う理由として
、ぐずりを落ち着かせる▽鼻呼吸の習慣▽寝かしつけ、が上位を占めている。
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　　いやがる子には不要／仁志田博司・東京女子医大教授（新生児学）の話
　睡眠中に乳幼児の呼吸が止まり、そこから目覚めが遅れるとＳＩＤＳになるが、
おしゃぶりで脳が刺激されると遅れを防ぐと考えられる。日本では文化的に人工
物を口にくわえるのは悪いと考え、欧米ほど使われない。だが、３歳ぐらいまで
ならマイナス面はないだろう。ただ、いやがる赤ちゃんにわざわざさせる必要は
ない。　　　　　　　　　　　　　　　　　　（2005/12/29　朝日朝刊／総合）

国際結婚 15組に１組／昨年まとめ

　昨年の日本人（日本国籍者）の結婚のうち15組に１組が国際結婚で、全体の
6.6％まで増えたことがわかった。結婚総数が横ばいを続ける中、来日外国人の
定着化などに伴って、10年前の1.5倍、過去最多の４万８４１４組の国際カッ
プルが誕生。国内では外国人女性と結ばれる日本人男性が増えた一方、海外で
届けを出すカップルは逆の組み合わせが目立つ。

　東京女子医大の李節子教授が、厚労省の人口動態統計報告と、報告書に掲載
されない海外分を分析してまとめた。04年に国内で届けられた日本人の婚姻総数
は72万４１７組。国際結婚は３万9511組で、８割近くは夫日本人、妻外国人の
組み合わせだ。

　一方、海外の日本領事館などに届けられた１万８４２組のうち、一方が外国人
のカップルは８９０３組。うち85％が妻日本人、夫外国人のケースだった。
国際結婚をした日本人男性計３万２２０９人が選んだ相手は、中国人が38％、
フィリピン26％、韓国・朝鮮18％と続く。日本人女性１万６２０５人の夫は、
米国人24％、韓国・朝鮮18％、中国10％などだった。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（2005/12/30　朝日朝刊／社会）　

地形・地盤データ 全国統一マップに

　　１㌔四方ごと／地震被害予測に活用
　　防災科研作製
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　地震の被害予測に欠かせない地形・地盤データを、防災科学技術研究所川崎
ラボラトリーの若松加寿江さんらが１㌔四方ごとに分類し、「日本の地形・地盤
デジタルマップ」（東京大学出版会刊行）としてまとめた。旧河道の軟弱地盤は
地震の揺れを増幅するなど、地形・地盤データの重要性が認識されているが、
全国を統一した基準でまとめたのは初めて。

　地震の建物被害などは地形や地盤のデータから予測した各地の震度をもとに
推定される。これまでの調査は都道府県別に行われており、例えば、「埋立地」
と「干拓地」をまとめている県と分けている県があるなど、分類がばらばら。

　若松さんらが、これまでに発表された論文、地質図、地形分類図などを７年
ががりて見直した。完成したマップには、山地、火山性丘陵、扇状地といった
地形分類、地層ができた年代、斜面の傾斜、地質年代などの情報がのっている。
地震や洪水の被害予想などの基礎資料として役立ちそうだ。（瀬川茂子）
（2005/12/28　朝日夕刊）

だから私の発明□□円

　　日立、ネットに算定基準
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　日立製作所は28日から、社内の発明者に支払う報奨金の算定根拠を発明者本人
がインターネットで自由に閲覧できるシステムを導入する。「発明の値段」を
巡って研究者が企業と争う訴訟が相次いでおり、報奨制度の透明性を高めて、
社員のやる気を引き出す狙いがある。

　４月施行の改正特許法で、企業に発明の評価基準の開示が求められたのを受け
、日立は報奨制度を刷新した。発明の価値を①他社の市場参入をどれくらい防
げるか②他社も使わざるを得ないか③画期的かどうか＿＿の３基準で評価。発明
を活用した製品の売上高なども加味し、報奨金を算定する仕組みだ。

　しかし、発明者にとっては、評価基準が示されても、報奨金が実際にどう算定
されたかは分からない。このため、①社内外で活用されたか②活用された製品の
売上高に対する寄与度が何％か③３基準でどう評価されたか＿＿などを閲覧でき
るようにする。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（2005/12/28　朝日朝刊／経済）

チップ10層 立体ＬＳＩ／東北大開発

　　厚さ0.3㍉／微細化の壁突破に期待
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　たくさんの半導体チップを積み重ねて一体化させ、立体的な大規模集積回路
（ＬＳＩ）を作る技術を、小柳光正・東北大教授らのグループが開発した。３層
程度しか実現していなかった積み重ねを10層まで増やすことに成功。ベンチャー
企業で製造装置を開発して、数年後の実用化をめざす。

　チップに平面的に回路を埋め込む従来のＬＳＩは、回路の線幅などを細くして
集積度を高めてきたが、消費電力や発熱が大きくなりすぎ、さらなる微細化が
難しくなってきたとされる。このため、集積度をさせに高められる立体ＬＳＩの
製造技術の開発に、各国がしのぎを削っている。

　小柳さんらは、チップを貫く埋め込み配線や、複数のチップを正確に積み上
げる位置あわせ技術、チップ同士をはりあわせる接着剤注入法などを組み合わせ
、効率よく積み重ねる技術を開発。10層の構造で厚さ0.3㍉のＬＳＩを試作し、
メモリーとして動くことも確かめた。

　立体ＬＳＩは、従来の平面的なＬＳＩより配線が短くてすむため、消費電力を
減らせ、大きさや機能が異なるチップを一体化できる、などの利点がおる。画像
センサーとプロセッサーなどを組み合わせ、超高速な画像処理ができる車の衝突
防止用センサーや内視鏡用センサーなどをつくることも可能になるという。
（2005/12/28　朝日朝刊／総合）

狙いは団塊サイト次々

狙いは団塊サイト次々
　　”青春時代”を特集／「50歳未満お断り」も
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　近く大量に定年を迎える団塊世代に狙いを絞った「シニア向けネットサービス
」が急速に活発化している。ＮＥＣは26日、50歳以上を対象としたポータル（
玄関）サイトを開設。ヤフーも特設サイトを立ち上げる検討を進めている。

　ＮＥＣが26日に始めたサイト「BIGLOBEStation50」は、60年代や70年代の出来
事を集めた特集ページが眼を引く。旅行や金融情報に力を入れて集客力を増し、
今後は物販や広告収入につなげる考えだ。今春始めた趣味情報サイトの反響が
大きかったため、総合ポータルサイトにに発展させた。

　楽天は今年３月、電子商店街「楽天市場」内に「シニア市場」を開設。サイト
内で「迷子」にならないように、デパートを模したページ構成にしている。
シニア向け専用ポータルのはしりは、ベンチャーのシニアコミュニケーション
（東京都渋谷区）が00年に始めた「ＳＴＡＧＥ」。「50歳未満お断り」と銘打ち
、現在30万人の会員を抱える。

　団塊の世代は07以降に大量に定年を迎え、住宅ローンの返済も終えて消費活動
の主役になるとみられている。ＮＥＣによれば、07年～09年の３年間で50兆円の
新市場が生まれる見通しだ。　　　　　　　　（2005/12/27　朝日朝刊／経済）

ママ用ハローワーク 全国に

　　女性の再就職政府が支援策
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　子育てなどで仕事をやめた女性の再就職や起業を応援しようと、政府は26日、
新たな支援策を決めた。全国12カ所に子連れで訪ねやすい「マザーズハローワ
ーク」を設けてきめ細かい相談を行うほか、全国の専修学校でのお母さんを対象
にした能力開発、子育て中の女性の起業に対する助成などが目玉。

　弟１子出産を機に女性の約７割が離職していることから、子育て中にも働き
やすい社会を目指す。関係閣僚でつくる「女性の再チャレンジ支援策検討会議」
が決めた。①地域のネットワークづくり②学習・能力開発③再就職支援④起業
支援⑤情報提供＿＿が５本柱。来年度予算に22億７千万円（前年度13億７２００
万円）が盛りこまれている。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（2005/12/27　朝日朝刊／総合）

ＡＴＭ三が日ＯＫ／三井住友・新生

　主な金融機関の年末年始（31日～１月４日）の現金自動出入（ＡＴＭ）の稼動
状況がまとまった。三井住友銀行が初めて正月三が日もＡＴＭを稼動させ、新生
銀行も05年と同様に利用できる。両銀行のキャッシュカードでは、コンビニエ
ンスストアのＡＴＭを含め、期間中は毎日預金を引き出せる。

　一方、他の大手行と郵便貯金は31日まではＡＴＭを使えるが、１月１～３日
はコンビニを含めて現金を引き出せないので注意が必要だ。ＵＦＪ銀行は05年
までは三が日もＡＴＭが使えたが、06年１月１日に東京三菱銀行と合併するため
、31日午後９時～４日午前７時はコンビニも含めて利用できない。東京三菱も
同様だが、同行のカードは年末はＵＦＪよりも３時間長い１日午前０時まで、
コンビニＡＴＭが利用できる。

　全国のセブンーイレブンなどにＡＴＭを置くセブン銀行は、31日午後11時～
１月３日午前５時30分は同行のカードでは現金を引き出せない。ただ、ＡＴＭ
自体は稼動しており、三井住友など一部の提携先のカードは使える。
　　　　　　　　　　　　　　　　（2005/12/27　朝日朝刊／総合）

受精に不可欠「ユイノウ」遺伝子

　　藻類から高等植物まで／立教大チーム発表
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　植物の受精で、精細胞が卵細胞などと結びつくのに不可欠な遺伝子を、立教大
などの研究チームが発見した。この働きを結婚にたとえ、研究チームは「ユイ
ノウ」遺伝子と名付けた。原始的な藻類から高等植物まて存在しており、植物の
受精の仕組みを解明するカギになるとみられる。25日付の英科学誌エイチャー・
セルバイオロジーに発表した。

　チームは立大生命理学科の森稔幸特別研究員や黒岩常祥教授ら。テッポウユリ
の花粉から、精細胞だけで働く遺伝子を発見。この遺伝子は、精細胞が卵細胞と
融合するのに欠かせないたんぱく質を作っている。テッポウユリなどの被子植物
が受粉すると、花粉から伸びた花粉管が、めしべ根元の胚嚢まで進む。そこで飛
び出た２個の精細胞が卵細胞と中央細胞にそれぞれ受粉する。

　ユイノウ遺伝子はシロイヌナズナにもあり、この遺伝子が働かなくなったシロ
イヌナズナで調べると、受精までの流れは正常なのに最後の細胞の融合だけが起
きなかった。チームは精細胞がユイノウ遺伝子のつくるたんぱく質を持ってい
なかったため受け入れられなかったとみている。ユイノウ遺伝子はマラリアな
どの原生動物にもあった。受精卵の仕組みが解明されれば、マラリア原虫の駆除
などへの応用も期待できる。　　　　　　　　　　　（2005/12/26　朝日夕刊）

顧客に無断で押印／損保ジャパン

　　過去３年間／不適切な契約、52件
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　損保保険大手の損保ジャパンの山口支社（山口市）で、複数の社員が契約書
の印鑑を押すなど、過去３年間に52件の不適切な契約手続きをしていることが
わかった。印鑑も１００本近く見つかった。同社は「顧客の押し忘れを補った」
としているが、印鑑の不正使用が大手損保で発覚するのは極めて異例。保険業
に違反する可能性があり、金融庁は業務改善命令を含めて処分を検討する。

　損保ジャパンによると、自動車保険や火災保険の契約書に必要な印鑑を、顧客
に確認しないまま社員が勝手に押していた。「顧客に書類を送り返す手間を省く
ためで、契約自体は顧客の意思に基づいており有効」と説明している。山口支社
の社員の大半に当たる約10人がかかわり、使用された印鑑は「長年引き継がれ
てきた」という。

　９月の社内調査で発覚し、全国で調べたところ、他の支社でも印鑑が保管さ
れている例があった。損保ジャパンは「不適切な契約は山口だけで、顧客にも
謝罪した」とする一方で、法令順守体制に問題があったとして、経営陣を含め
関係者を社内処分する方針だ。損保ジャパンは、他の損保と同じく、保険金の
不払いで、11月に業務改善命令を受けたばかり。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（2005/12/26　朝日朝刊／社会）

航空券もらえない／成田空港

　　購入の１６０人超被害／格安旅行者連絡とれず
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　インターネットなどで格安航空券を販売している旅行業者「トラベル遊」（
東京都品川区）を通して航空券の購入を申し込み、代金を払った旅行客が、成田
空港でチケットを受け取れないトラブルが起きていることがわかった。ＪＴＢに
よると、トラベル遊で予約した客に、成田空港窓口で航空券を渡す業務を代行
するＪＴＢ子会社が23日から、客に航空券を渡せない状態が続いている。

子会社はトラベル遊への卸売りも兼ねているが、トラベル遊から23日以降の分の
入金が確認されず、連絡も付かなくなった。子会社の社員がトラベル遊の店に
出向くとシャッターが下り、内部は暗かったという。

　該当する客は確認できた23～26日で55人。また、成田空港でトラベル遊の
航空券の受け渡しや搭乗手続きの代行をしている「エアサーブ」によると、
把握分だけで23～26日分のチケット約１１０人分がトラベル遊から届かず、
客に航空券を渡せないという。
（2005/12/25　朝日／社会）

首都圏の結婚式、平均２９１万円／３年連続の増

　　ハデ 婚福島　　ジミ 婚北海道
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　リクルートが発行する結婚情報誌ゼクシィの調査で、首都圏（東京、埼玉、
千葉、神奈川）のカップルが、04年度に挙式・披露宴にかけた平均費用は、前年
より12万円高い291万円となり、３年連続で前年実績を上回った。景気の回復
傾向を受けて、減少傾向にあった招待客の平均人数が下げ止まったことが大き
いという。全国平均は292万円だった。

　最も費用をかけて「ハデ婚」をしたのは福島県で372万円。「ジミ婚」は北海道
の165万円だった。「東北地方は近所、親戚まで呼ぶ習慣があり北海道は会費制
が一般的」（同誌編集部）という。全国のカップルが、挙式・披露宴の際に心が
けたことは「アットホームな雰囲気」（64.7％）、「自分らしさを表現できる」
（56.7％）、「列席者を退屈させない」（54.1％）の順で多かった。

　同編集部では、「こだわりの部分には出費を惜しまないため、結婚式の費用が
増える傾向になるのだろう」と分析している。調査は、04年度中に挙式・披露宴
をした女性4547人から郵送で回答を得た。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（2005/12/24　朝日朝刊／総合）

おなかの風邪この冬も

　　大半は「ノロウイルス」手洗い予防を
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　「おなかにくる風邪」と呼ばれる感染性胃腸炎が急増中だ。昨冬は広島県の
特別養護老人ホームなどで多くの死者を出しており、乳幼児や高齢者には特に
注意が必要だ。全国約３千の小児科を定点観測している国立感染症研究所によ
ると、感染性胃腸炎の報告は10月半ば頃から増え始め、最新集計の11月28日～
12月４日の１週間では１医療機関当り11.75人が受診。山口、佐賀、福井、福岡
の４県では20人を超えた。昨冬のピークは12月20日～26日で全国平均で16.83人
だった。

　感染性胃腸炎は腹痛、下痢、嘔吐、発熱が主症状で、ウイルスや細菌、原虫
などによって引き起こされる。今の時期はノロウイルスが大半。昨年暮れから
今年の年始にかけて広島県の特養で入所者７人が死亡したのもその集団感染だ
った。ノロウイルスは寒いほど長生きすると考えられている。

　通常は適切に水分補給すれば１～３日で回復するが、乳幼児や高齢者では急激
な脱水症状や吐物による窒息などに注意が必要だ。下痢止めは、病原体を腸内に
とどめ、症状を悪化させかねない。予防には、例えばカキなどの食べ物を85度
で１分以上加熱してウイルスを殺すほか、トイレ後などの手洗い徹底が大切だ。
特に、保育施設や高齢者施設では、配膳や、吐物や便の適切な処理と消毒が
必要だ。　　　　　　　　　　　　　　　　（2005/12/24　朝日朝刊／総合）

古いビルもＩＴ化／工事数日、安く簡単

　　エレベーター昇降路に光回線
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　エレベーターの通り道である「昇降路」（シャフト）の活用が、古いビルを
最先端のＩＴ（情報技術）ビルに変身させる決め手として注目されている。６月
の法改正で、昇降路に光ファイバーを通せるようになり、各フロアーでブロード
バンド（高速大容量）の通信環境を安く簡単に整えられるようになったのだ。

　コンサート会場としても有名な東京都中野区の「中野サンプラザ」。地上21階
、地下２階で、ホールのほかに宴会場やホテル、事務所などが入るが、築32年
になる。通信回路の速度は１メガビット程度で、最新のＩＴ機器を使うには遅
すぎる。しかし、光ファイバーを建物全体に張り巡らせるには、フロア間を結ぶ
縦の通り道が欠かせない。サンプラザだと各階の床に穴を開けるしかなく、垣谷
弓弦・総支配人は「費用がかさむため、ＩＴ化はあきらめていた」と話す。

　転機は、６月の改正建築基準法施行だ。それ以前は、昇降路には安全上の理由
から「エレベーターに必要な配管設備」しか設置できなかったが、古いビルの
ＩＴ化を進めるため、光ファイバーの設置が認められた。

　サンプラザは10月、メーカーなどで作る研究会と共同で、約１千万円をかけて
光ファイバーを昇降路に設置する実証試験に着手した。わずか２日の工事で、
ホールや客室などの通信環境が最大１ギガビットになった。今後は、企業がホ
ールで開いた会議の模様を全国の支店に配信するなどのサービスが可能になり
そうだ。垣谷さんは「建物は古いが、ＩＴは一気に最先端ビルの仲間入りがで
きた」と喜ぶ。　　　　　　　　　　　　　　　　（2005/12/23　朝日／経済）