8章前半は、7章後半の女の告白の続きとなる。つまり、お互いの仲たがいで始まった第四部は(5:2-8:4)、二人の抱擁で終わる形を取っている。興味深いことに、全体の構造は、「揺り起こしたり、かき立てたりしないでください。愛が目覚めたいと思うときまでは」という繰り返しで終わる部分(第一部2:7,第二部3:5、第四部8:4)と愛の成就を確認することばで終わる部分(第三部5:1、第五部8:14)があることだ。また第四部の終わり方は、ヘブル語本文では、同じ構文を取りながら、イムという副詞がマーという疑問代名詞に代わっている部分がある。「どうして揺り起こしたり、かき立てたりするのですか」という意味で、愛はすでに成就している、というわけである。となれば、第三部を起点に、二人の愛は成就し、それを確認するがごとくストーリーは進んでいる、ということになるだろう。
8章後半は、難しい。第三部(3:6-5:1)がそうであったように、この第五部も、「荒野から上ってくるひとはだれでしょう」ということばから始まり、二人の愛の成就で終わっている。そして、互いの愛について三つのことを確認する内容となっている。
第一に、愛は所有であるということである。「封印のようにあなたの心臓の上に、封印のようにあなたの腕につけてください」心に深く刻み込んで、決して私を手放すことがないように、ということだろう。愛はあなたのお気に召すままにとは言わない。絶対的に自分のものであることを互いに主張しあうのである。
また愛は、不可逆である。「愛は、死のように強く、ねたみはよみのように激しい」(6節)。イエスは、教会について触れて、それはハデスの門も打ち勝つことができない、と語ったことがある。ハデスの門、つまり死というのは一度人を飲み込んだら、決してこれを手放さない。人は死んであの世に渡ってしまえば、もう二度とこの世に戻ってくることはない。死の門は、それほど堅く、一度起こった変化を取り戻すことはない。愛も同様に一方通行であり、一度生じたその感情を消すことは不可能である。
だから最後に愛は、滅びることがない。「大水もその愛を消すことができません。洪水も押し流すことができません」(7節)。愛は、決して絶えることはないし、冷え切ることもない。結局消されて、消えてしまう愛は、まがい物だったのである。
こうした愛の描写は、「あなたの神、主はねたむ神である」(出エジプト20:5)を思い起こさせる。神の愛は、ねたみの激しさに例えられる。神は、私たちを愛されるが、その愛は、絶対的であり、不可逆的であり、不滅である。問題は、そのような愛を持ちえない私たちが、神の愛を同じようなものと考えてしまうことだ。しかし、イエスが十字架で示してくださった愛は、期待を裏切ることもなく、滅びることもない。そんな確かな神の愛にこそ、身を委ねて歩みたい。
7節で雅歌の本体は終わる。8-10節は、種々の解釈があるが、ヒロインの兄弟たちが自分の妹について語っている部分とされ、11-13節は花嫁、14は花婿の応答となる。
8章後半は、難しい。第三部(3:6-5:1)がそうであったように、この第五部も、「荒野から上ってくるひとはだれでしょう」ということばから始まり、二人の愛の成就で終わっている。そして、互いの愛について三つのことを確認する内容となっている。
第一に、愛は所有であるということである。「封印のようにあなたの心臓の上に、封印のようにあなたの腕につけてください」心に深く刻み込んで、決して私を手放すことがないように、ということだろう。愛はあなたのお気に召すままにとは言わない。絶対的に自分のものであることを互いに主張しあうのである。
また愛は、不可逆である。「愛は、死のように強く、ねたみはよみのように激しい」(6節)。イエスは、教会について触れて、それはハデスの門も打ち勝つことができない、と語ったことがある。ハデスの門、つまり死というのは一度人を飲み込んだら、決してこれを手放さない。人は死んであの世に渡ってしまえば、もう二度とこの世に戻ってくることはない。死の門は、それほど堅く、一度起こった変化を取り戻すことはない。愛も同様に一方通行であり、一度生じたその感情を消すことは不可能である。
だから最後に愛は、滅びることがない。「大水もその愛を消すことができません。洪水も押し流すことができません」(7節)。愛は、決して絶えることはないし、冷え切ることもない。結局消されて、消えてしまう愛は、まがい物だったのである。
こうした愛の描写は、「あなたの神、主はねたむ神である」(出エジプト20:5)を思い起こさせる。神の愛は、ねたみの激しさに例えられる。神は、私たちを愛されるが、その愛は、絶対的であり、不可逆的であり、不滅である。問題は、そのような愛を持ちえない私たちが、神の愛を同じようなものと考えてしまうことだ。しかし、イエスが十字架で示してくださった愛は、期待を裏切ることもなく、滅びることもない。そんな確かな神の愛にこそ、身を委ねて歩みたい。
7節で雅歌の本体は終わる。8-10節は、種々の解釈があるが、ヒロインの兄弟たちが自分の妹について語っている部分とされ、11-13節は花嫁、14は花婿の応答となる。