母はふるさとの風

今は忘れられた美しい日本の言葉の響き、リズミカルな抒情詩は味わえば結構楽しい。 
ここはささやかな、ポエムの部屋です。

佐藤春夫の詩 『海の若者』 

2022年08月20日 | Weblog

    海の若者    佐藤春夫

若者は海で生まれた。

風を孕んだ帆の乳房で育つた。

すばらしく巨きくなつた。

或る日 海へ出て

彼は もう 帰らない。

もしかするとあのどつしりした足どりで

海へ大股に歩み込んだのだ。

とり残された者どもは

泣いて小さな墓をたてた。



コメント (4)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« じいちゃんの夏 | トップ | 九月 花と月 »

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (ra9gaki_do)
2022-08-23 06:31:11
はなさん、おはようございます(^_^)
札幌絵手紙 楽描堂と申します。
温かいお言葉・フォロー
ありがとうございます。

早速、当方からもフォローさせて
頂きました。
どうぞ宜しくお願い致します(^-^)
返信する
絵手紙ですね! (はな)
2022-08-23 08:41:57
楽描堂さま おはようございます。
絵手紙は親友も長くやっていて、いつも刺激されています。  
なにかおしゃれ、楽しそうでいいですね。
今後もよろしくお願いいたします。
返信する
Unknown (ビオラ)
2022-09-09 14:01:24
今日は〜。

「海の若者」〜、
少し、物悲しさを感じる詩ですが、
情景が浮かんで来るかのような文に、惹き込まれますね・・・。

>風を孕んだ帆の乳房で育つた。
↑↑
「孕んだ」・・・って、難しい漢字ですね・・・。
「帆」と「乳房で育った」のところで、
「はらんだ」は、想像できましたが、
ネットで、確認しました・・・^^;
「ふくらんだ」・・・かもしれないな・・・なんて思って・・・(苦笑)

読後感は、何とも言えない、寂しさ感じますが・・・、
晩夏や秋に、ふさわしい感じがしました〜♪

いつも、素敵な記事を、ありがとうございます〜💖

また、いつでも、遊びにいらっしゃって下さい・・・(^-^)♫

これからも、よろしくお願い致します〜♪

ティーガーデン
返信する
ビオラさま (はな)
2022-09-09 18:15:15
コメントありがとうございます。 「詩」はメジャーではありませんので、感想をお聞きするのは嬉しいです。

どんな勇者もアスリートも、ある日忽然と去ることがあり、衝撃の時にいつもこの詩を思い出します。
万物流転、変らぬものは何もないので
いつも、今日がいのちと楽しんで、生きていきたい、と思わせられます。

孕む、はらむというのは妊婦のおなかの状態も言いますね。 いのちは変わらずにまた、世の中に生まれてきて、この世は綿々と続いていく、ということでしょうか。 
それが何か哀しい、と思われるのは、去る夏さえ惜しむ、人間だけが持つ感性なのですねー。 
これからも、どうぞよろしくお願いいたしま~す。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

Weblog」カテゴリの最新記事