母はふるさとの風

今は忘れられた美しい日本の言葉の響き、リズミカルな抒情詩は味わえば結構楽しい。 
ここはささやかな、ポエムの部屋です。

雪溶けてー三月ー

2013年03月21日 | 季節
三月の小舎に双子のヤギが
ある朝ひょっこりと生まれて
三日目 鮮やかな白さで庭を駆けはじめ
畑の黒土の匂いをを嗅いでいる
陽炎燃える火山灰の大地の村

峰の白雪たちが見えないほどに陽に溶け始め
それはやがて谷を潤し大地を健やかに育てる

野には猫柳 蕗が目を覚ます
光に透け眠るようなのどかさ
うっとりとまだ冬眠の
野ウサギを 縞リスを ヤマネたちを懐に抱え
そろそろと衣ゆるます四方の山々

蓬も芹も若芽をしのばせ温む水のほとり
毎年訪れる雪解けのこよない歓喜の季節
陽すがら若草を探し求めて遊んだわれら幼い春の日


子供たちの元気な歓声響いた山麓の村には
仔山羊たちのかん高い鳴き声も途絶え
今はすべて冬眠の最中 当分は何も聞こえてはこない

春の光に山の姿は変わらずうねるだけの
静かな静かな 
山麓の 村と町の早春 三月

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ひなたのねこ

2013年03月10日 | 
日向ぼっこしてるねこ
薄目開けてまるまってるねこ
おなかの毛に触っても気づかない
お腹をぷにぷにしても動かない
お腹にそっと顔をうずめてみる
暖かくて柔らかくて
眠りに誘われそう
冬のねこは陽を追いかけて
一番温い場所で眠るから
いつも太陽にまぶされて 干した布団のいい匂いがする
そして
麦わらの様な草のような 匂いがしてくる
金色に広がる麦の畑はどこにもない
黒土の匂う畑はない
でもシャボン玉とばした懐かしいストロー 
麦わらの匂いのするねこのお腹
ふくふく柔らのお腹に顔うずめると
子供のころに戻り むにむに としあわせ





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