母はふるさとの風

今は忘れられた美しい日本の言葉の響き、リズミカルな抒情詩は味わえば結構楽しい。 
ここはささやかな、ポエムの部屋です。

酒と器に夕暮れは

2017年08月30日 | 季節
晩夏の朝と夕べの
肌をかすめる涼風は遠来の旅人
芒の穂が伸びて風に揺れ
空を写す季節の画

備前の高坏には辛口の冷酒
語り合う火と土


津軽の香りは透き通る海の漬物
群青の器の上

黒ビロードのような高原の
大粒の豆は白い皿に

酒が季節をはこび
夕暮れは静かにいくつもの思い出を重ね
蜩の合唱が夕闇を呼ぶ


ことし訪れるのは あなたの
何十回目の秋ですか

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

八月の句

2017年08月10日 | Weblog

☆ 水草の丸葉の集いの涼しくて

☆ 根を流し浮かぶ水草の小さな葉

☆ 兄弟か姉妹かメダカの目の多さ

☆ 灼熱の陽の下水に動く影

☆ 地を這って松葉ボタンの花のあり

☆ 明日は散る短いいのち夏の花

☆ ユサユサと揺れるハーブは夏の息

☆ チャービルは朝のサラダに遠慮がちに

☆ シナモン茶汗の通りの清めとす

☆ 立秋を忘れず開くススキばな

☆ 心もて秋待つ夜のまるい月 
コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする