母はふるさとの風

今は忘れられた美しい日本の言葉の響き、リズミカルな抒情詩は味わえば結構楽しい。 
ここはささやかな、ポエムの部屋です。

マグマ ー火山ー

2013年12月22日 | 
人間は
小さな火山
其の奥深く
赤くたぎる マグマを持つ

時に砂を噛むほどの寂しさに耐えきれず
つい奥深く入りたくなる
何もかも共有したいと
“友だち”や “恋人”や“夫婦”の名のもと
奥深く分け入るととてつもない火傷を負い
ときに全てを失うほどの痛手をも味わう

人間は柔らに
傷つき易い小さな火山
姿は穏やかに心の奥深く
赤く燃えるマグマを持つがその在り処に誰も触れてはならぬ
如何なるものかを誰も尋ねることはならぬ
そして 自らさえ赤きいのちの総てを知ることはない

人間は
不思議ないのちを
与えられてしまった火の山
直下で揺れながら哀しく聳え心のひそみに
赤い命を燃やす山
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からまつの森

2013年12月05日 | 季節
賑わい去った秋深い森の小道
さくさくさく と 雨降るような音がする
しゃしゃしゃ と 鳴りやまぬ小さな音がする
立ち止まっても 音は止まない
そこは落葉松の林だった
金色に耀く森の中
それは風のない日に静かに舞い落ちる
落葉松の何千何万の針のような葉の音いろ
空気を斬るそのかすかな音は
いきものが何かを食むように調子を揃え
さくさくさく しゃしゃしゃ 
青いそらのもと 無心に音を奏でているのでした
富士を遠くに眺めるなだらかな高原の晩秋
いまも耳に残る あの生き物のような葉の音いろ
落葉松の林は今年も風のない暖かい日 
さくさくさく しゃしゃしゃ と
針のようなたくさんの葉を舞わせ
落葉松の林にさまよい訪なう人を
夢のコンサートに誘い続けているのでしょう

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