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母はふるさとの風

今は忘れられた美しい日本の言葉の響き、リズミカルな抒情詩は味わえば結構楽しい。 
ここはささやかな、ポエムの部屋です。

しまなみ海道―瀬戸の海

2025年06月20日 | Weblog
初夏の海は
瀬戸の静かな海
伯方の塩
レモンの島
蜜柑の丘陵
村上水軍
しまなみ海道はうねうねきりり
島島をつなぎ
その橋を越えて大小の船が通りすぎる

光る海は波寄せ合って
小島はみどりにつないで浮かんで
息づいている

平和を味わい
過ぎる時間を愛しみ
私の瀬戸の旅は
息づいて今も
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旅上

2025年05月01日 | Weblog

 旅  上
       萩原朔太郎

ふらんすへ行きたしと思へども
ふらんすはあまりに遠し
せめては新しき背廣をきて
きままなる旅にいでてみん。
汽車が山道をゆくとき
みづいろの窓によりかかりて
われひとりうれしきことをおもはむ
五月の朝のしののめ
うら若草のもえいづる心まかせに。
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“詩集へ”

2025年03月21日 | Weblog
ご訪問頂いたみなさま
書いてきた詩が沢山溜まり、ここで一冊の詩集にまとめようと思いました。
第二詩集になりますが遥かな1997年刊行以来のこと、遅いはかどりですが、
今年のうちには造る予定で一編ずつ推敲、準備をしています。

いつもご訪問くださり、お読みいただいている皆さまにはただ感謝、
   ありがとうございます―。

新しい詩も生まれてくるだろうと思いますがその時は、ブログに載せたいと
思っています。   どうぞよろしく、お願いいたします。
                           清水みどり


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山林に自由存す

2024年12月18日 | Weblog
   山林に自由存す 
 
           国木田独歩

われ此句を吟じて血の湧くを覚ゆ
嗚呼山林に自由存す
いかなればわれ山林を見捨てし

あくがれて虚栄の途にのぼりしより
十年の月日塵のうちに過ぎぬ
ふりさけ見れば自由の里は
すでに雲山千里の外にある心地す

眦を決して天外を望めば
をちかたの高嶺の朝日影
嗚呼山林に自由存す
われ此句を吟じて血の湧くを覚ゆ

なつかしきわが故郷は何処ぞや
彼処にわれは山林の児なりき
顧みれば千里江山
自由の郷は雲底に没せんとす
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はちく

2024年06月26日 | Weblog


剥いた破竹のきれいな細身を糠で茹で
カツオの出汁やみりんとおさとう
昆布だしなどもさらりとかけ
日本酒などもさっと振り掛け
鉄板で焼き
こんがりおこげの色を確かめ
白い皿にのせて
私は食べる
外は少し蒸し暑い梅雨の空
遅いタケノコの味をことしもほくほく
味わいながら厳しい太陽の季節の前の
幸せなひとときを過ごします

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青葉の季節白い花

2024年05月02日 | Weblog
白いアイリスが咲いた
初夏には開く白いアイリス
紫菖蒲の花の群れに
真白い花が離れて咲いてた
無垢の姿
漂うほのかな香り
いつくしむと花は応えて
青い空の下で微笑していた

遠い日の猫と父の姿
母屋の高い瓦の波
みな無くなっても私の庭で
きりり咲いてる
白いアイリス
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はる

2024年03月20日 | Weblog
はるは
沢山のいのちがやってくる
はるは
暖かい日差しにさそわれ
ちいさないのちが産まれてくる

つぶらな目 ひたむきなまなざし
そのいくつかは
陽を浴びずに去ってもゆく
幸せになるため生まれても
天に愛されずに消えてゆくもの

奇蹟の星には
なぜか不幸せのさだめがある
この世に永らえず
沢山の命がどこかで果ててゆく

頂いた小さな命を楽しみ歓び
やがてみな静かに去ってゆく
花は咲き空は青く陽炎がゆれる
毎年やってくるいのちよ春の日の

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雪降りつむ

2024年02月08日 | Weblog
      
       雪
       
             三好達治


 太郎を眠らせ太郎の家に雪降りつむ

 次郎を眠らせ次郎の家に雪降りつむ


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青い実

2023年06月03日 | Weblog


可愛い小粒の実
山椒の実るころ
ふるさとは青に埋もれはじめ
ヨシキリが梅の木に子育てを始める季節

青い実
大きなヒバの木の根元に
さやさやと山椒の葉は茂り
太陽の光がやわらかに差し込む

山麓に太陽の季節が来る
山椒の実に塩をまぶし透けるガラス瓶に入れ
みどりの色を楽しみ
想い出す 青葉若葉の里
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五月の海・灯台

2023年05月12日 | Weblog
灯台はいつか老いて
五月の海を眺めながらうとうと昼寝の毎日
行き交う船は増えても
灯台は働くことを終え丘の上で
のんびり立っていました

白いコスチュームの若い
王子の姿のまなので
遠くから人びとが訪れうっとり眺め
写真に撮って楽しんだりするので灯台は
まんざらでもなく目を細め
王子様のように襟を正し
ポーズしてふっと微笑み
やがて寝たふりなどするのです

初夏の風そよぎ
空の青に海の青
明るく光る若葉の高台に
灯台は昔を忘れ今を楽しみ幸せコスチュームに包まれ
余生を楽しんでいるのでした
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食パン

2022年12月23日 | Weblog
2つめの停留所でバスを降りると
そのパン屋がある
グーチョキパン
という名の店ではないが
郊外の農家の隣のコロッケやの
その隣にある小さな建物
週に三日だけ開く店なのだ

1.5斤のずっしり重い食パンを抱いて
私の平凡な午後は嬉しく過ぎる
そばの柿の木に朱色の実が残り
野鳥がそれを見つめている

むかし給食のコッペパンを焼く店の前を通ると
既に焼くパンの香りが流れていた
思い出にあるあのパンの匂い

食べることは生きること
戦いのない平和な国の有難い
おいしい健康食パン

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九月 花と月

2022年09月12日 | Weblog
小さな家の小さな秋
満月の日は
小さな野花

青紫と濃い赤と黄色の
九月の花は芒の穂の下
夜となれば外は煌々の月明かり

生き物の果てない
争いや欲望やと何ら関わりなく
花は咲く 月は輝く

瑞々しい色 ふくよかな花びら
辛い炎暑を過ぎ
花たちはささやかに届く天からの恵み


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佐藤春夫の詩 『海の若者』 

2022年08月20日 | Weblog

    海の若者    佐藤春夫

若者は海で生まれた。

風を孕んだ帆の乳房で育つた。

すばらしく巨きくなつた。

或る日 海へ出て

彼は もう 帰らない。

もしかするとあのどつしりした足どりで

海へ大股に歩み込んだのだ。

とり残された者どもは

泣いて小さな墓をたてた。



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夏越しの大祓

2022年07月04日 | Weblog
武蔵の国の大国魂神社
北から続く長い参道には欅の大樹
その古樹の祠
幾たびか雷に打たれ
雨風にさらされ
いま永い眠りの中
境内に大銀杏のご神木
武蔵の国の国衙に並び
長い時間
民を護り世の平らけきことを願い
静かに祈り
樹々に囲まれておわす社
酷暑の昼
夏越しの大祓の
茅の輪 凛として


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あかひれ

2022年07月01日 | Weblog
小さな水槽で
泳ぐあかひれ
どこかでうまれ
どこかでそだち
魚だってものを考える
たまに怒り
たまに喜びして
さすらいを受け止め
青いマリモを友とし
人の目を喜ばせていることも気付かず
餌の合図にヒレを振って寄ってくる
いとしい姿のあかひれ
小さなな水の
妖精
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