母はふるさとの風

今は忘れられた美しい日本の言葉の響き、リズミカルな抒情詩は味わえば結構楽しい。 
ここはささやかな、ポエムの部屋です。

秋草の花をたおりて

2013年10月20日 | 青春
秋草の花をたおりて
君住みし町 バスに揺られき
秋草の花はうすべに
秋草の花のいとしさ


歩みゆく我が足元に
まつわれる花はさびしき
絶えて人行き交うもなき道野辺
人知れず 汝は咲きたり


秋草の細き姿は
いにしえの君に似たるかな
うつむきて佇む影の
やさしさを我は忘れず

原質・こころの村

2013年10月19日 | Weblog
目に見えるものより鮮やかな
かたちを慕う
この世に生れて来たあの瞬間を思い出そうと
全身を熱く燃やし
母の胎のその奥を恋う

でもなぜか見つめることは恐ろしく
長い間忘れてきたたとえば一つの岩 一流のながれ
その中に輝き続けるその何か

誰もがひそかにあこがれ
求めてもなお遠かった麗しの村は
午睡の中でのんびりと足元に広がっていた 青い泉を包んで

短い生を愛しみ 
絶え間なく探し続け疲れた目に
海はらのように広がり 溢れてくるものたち
瞳の奥を濡らし流れ落ちる泪のようなもの
触れることのなかった熱い火

祈りよりもひそかに静かに
わたしたちは幼いころから知らされていた
ちちはははも教えてくれなかった見えない
ピアノのタッチで両手の指に
見えない方がそっと触れさせてくれたこころの村を