母はふるさとの風

今は忘れられた美しい日本の言葉の響き、リズミカルな抒情詩は味わえば結構楽しい。 
ここはささやかな、ポエムの部屋です。

やまゆり

2013年08月01日 | 花(夏)
人知らず咲くやまゆり
蝉啼く山の山野辺の路
人も尋ねぬ山のなだれ
または女郎花のむれ咲くあたりその端に
咲き競うように大りんの白い花
うなづくように揺れている
姿見えずともはるばると
漂う香りは鹿の子の赤さが目にしみて
夏の空はただ青く
四方の山に入道雲も湧きあがる

木立の中にそろそろと見えつ隠れつ
山稜は白い帽子の向こうに透けていた

山の辺の道はいつか遥かに遠み
懐かしい歌歌と高原の風が
夏の日の思い出を運んでくるだけ
凛とした白い山百合は
今日も豊かに山野辺の道の筋の奥
クロアゲハ誘う香りを漂わせ 
群れ咲いているだろう




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