母はふるさとの風

今は忘れられた美しい日本の言葉の響き、リズミカルな抒情詩は味わえば結構楽しい。 
ここはささやかな、ポエムの部屋です。

生糸のうた

2014年06月24日 | 
天には星

地にはプラチナ

地上には絹

クリーム色の生糸は

人の肌を何世紀も包んで来てくれた糸

絹の真綿は

蒲団の布に薄く張られ

優しい眠りを守ってくれた大繭から紡いだ糸

小さな白い虫の吐くミクロンの糸は

つややかで冷たく美しく

第二の肌のように体にまとわり息をして

未来に向かって人の心を魅了し続ける

クリーム色の生糸のうねりは自然の造る最高の輝き

うねりの中には農民たちの

静かで貧しい素朴な暮らしがみえる

晴れの日のほかに絹を纏うこともない村で

桑の木はそらに向かって伸び

桑の葉はのびのび手を広げ

濃い紫の桑の実が実る夏

世界のどこかで今日も小さな虫と人間が無心に

愛しい真白い繭を育て

クリーム色の糸の夢を織っている


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