今だから…昭和さ ある男のぼやき

主に昭和の流行歌のことについてぼやくブログです。時折映画/書籍にも触れます。

我が愛しの芸者歌手たち・市丸

2006-06-27 02:40:10 | 我が愛しの芸者歌手たち

私がこよなく愛する歌手の一人に市丸姐さんがいます。
市丸姐さんのプロフィールは…

市丸(1906~97)
長野生まれ。19歳のときに上京。
昭和6年「花嫁東京」で歌謡界デビュー、同年「茶切節」がヒット。
昭和8年には長野県民謡「伊那節」(これも後に吹き込みヒット)を基にした「天龍下れば」が大ヒット。
同じ所属会社(ビクター)の小唄勝太郎ともども「市勝時代」を築く。
その小唄勝太郎とは犬猿の仲で知られた。
戦後は、それまでの日本調を生かしつつも、流行を取り入れた「三味線ブギウギ」
を大ヒットに導く。
この歌に中山晋平は「市丸にこんな歌を歌わせるなんて」と激怒したという。
が、本人は服部良一のもとに自ら曲の依頼をし、西川鯉三郎に振り付けを依頼するなどヤル気満々だった。
昭和30年代あたりからは小唄・端唄といった方面に重点を置くようになる。
昭和35年には、中村勘三郎の許しを得、江戸小歌(←小唄)中村派を数百年ぶりに復活させ、家元となる。
懐メロ番組にも「三味線ブギウギ」「天竜下れば」などを披露に度々出演。
また、邦楽番組にも、小唄・端唄・長唄・清元…と芸の幅が広いこともあり、欠かせない存在としてちょくちょく出演していた。
これは晩年まで続く。
ちなみにテレビ出演の際は、着物の色にも気を配り、カメラ目線もしっかりしていた。
生涯ビクター専属であったこともあり、ビクターでは生き字引的存在であった。
後輩の面倒はよかったらしい。あの中尾ミエが「市丸姐さんは怖かった」と証言。
平成9年1月の卒寿パーティーでも艶やかな姿を見せていたが、その直後に入院。
2月17日に他界、90歳。生涯独り身を貫いた。

というのが市丸姐さんのプロフィールです。
とにかく美人でした、この姐さん。近寄りがたい美人
いくら美人でも年取ったらそうはいかん…と思うでしょう?
いえいえ、それがそうじゃないんです。
私、昭和45年の市丸姐さん、つまり64歳のときの映像を持っているんですけど、どう見ても60過ぎの婆さんには見えません。全然ババアらしくないんですよ。
声も、これがまた粋なお声で素晴らしい。
♪ハア ちょいと ブギウギ~ とカメラ目線
明治生まれがカメラ目線ですぜ! 
今の60代じゃないんです、平均寿命は60代後半の時代ですよ。
いやはや、大したものでしたm(_ _)m

その後、平成に入ってからの、日本髪の鬘をつけていない姐さん(85歳)の映像も見ましたが、年齢よりは若く見えました。
(残念ながら私が見たことのある市丸の映像は3種類だけです…)

ここまでイロイロ言ってる私ですが、残念ながら市丸姐さんの音源は手持ちがあまり
ありません(汗)。
ビクターからは今現在、流行歌だけを集めたCDは出ておりません。
小唄とか端唄・長唄とかのCDは結構出ているんですけども…私、そのあたりは興味
がありませんので(^ ^;Δ

とりあえず、数少ない持っている音源の一部の解説&感想を…。

1.天竜下れば
作詞:長田幹彦 作曲:中山晋平
昭和8年、市丸姐さんがラジオに舞台に歌いまくり、執念でヒットさせた作品。所謂、新民謡というものである。今でも長野では親しまれている、市丸姐さんの戦前最大のヒット曲。とにかく粋な歌い方で、たまりません。

2.茶切節
作詞:北原白秋 作曲:町田佳声
もとは昭和2年、静岡鉄道が製作した宣伝ソング。
それを昭和6年、市丸が吹き込み、ヒットさせた。
「ちゃっきり娘」というトリオ漫才もあったほど、有名な静岡県民謡。
これも新民謡である。
♪唄はちゃっきり節 男は次郎長
これを知らない日本人はいないと言われましたが、今はどうでしょうか?
姐さんの声がまだ若い、未熟というか、少し声を無駄に張り上げてる感も…。

3.流線ぶし
作詞:西條八十 作曲:細田義勝
昭和10年の作品。
世の中何でも流線だ、ということを西條八十は教えてくれます。
市丸はいつも通り淡々と、粋さをにじませながら歌います。

4.三味線ワルツ
作詞:佐伯孝夫(?) 作曲:清水保雄
昭和27~28年頃の作品。
「ゲイシャ・ワルツ」に触発されたかと。
なかなか面白い作品だと思います。

5.三味線ブギウギ
作詞:佐伯孝夫 作曲:服部良一
昭和24年のヒット曲で、市丸最大のヒット曲。
この唄への意気込みは先述した通り。
この曲は一連の芸者歌手にはおそらく歌えないでしょう。
市丸だからこそ、歌いこなせたと思います。
私、この曲一曲で市丸を敬愛するようになりました。
そのぐらい、斬新な名曲。


こう熱く市丸姐さんについて、書き連ねましたが、あんまり音源持ってない上、好きじゃない唄も多いんですよねえ、市丸姐さん。
市丸姐さんの、戦前流行歌とは相性が良くないんでしょうね。
でも、大好きなんですよ。
「三味線マンボ」という唄を一度だけ聴いたことがあるんですけど、すごく良かった。
戦後の唄をもっと聴きたいですね、姐さんは。
我が故郷にも、市丸姐さんが歌う「函館五稜郭音頭」というご当地ソングがあります。
これは自慢ですね(^▽^)

ちなみに、これが市丸姐さんです。
♪ハ チョイとブギウギ~

本当はもっと別嬪なんですよ(^.^)
私、この姐さんのライバル・小唄勝太郎も大好きな歌手です。
機会があれば、勝太郎編もいずれ…。