華麗なる腑抜けの世界

倦怠感溢れる日々を称揚しつつ

出る杭は打たれる国・ジャポン

2006-06-23 17:40:45 | 日々のひとりごと
 堀江貴文、村上世彰、日銀の福井総裁。確かにまずいことをした。
 たしかに堀江、村上両氏は天下の御法を犯した科人ではある。しかし、似たようなことをしている者はいくらでもいるではないか。何故、彼らだけがさらし者になったのだろうか。
 福井総裁に関しては、現段階ではなんとも言えないが、少なくとも「道義的責任」に問われているだけであり、決して犯罪者ではない。「道義的責任」というのは「あんた、こりゃたしかに罪は犯しちゃいねぇが、心が痛まないかい?」レヴェルのものである。それなのに声高に辞任を求めるものの多さに驚き呆れた。日本人はそこまで潔癖な民族だったのかね。
 ともかく世間はちく騒ぎ過ぎではあるまいか。
 何故騒ぐかと言えば、村上氏ではないが「儲かり過ぎたから」である。「儲かってうらやましいな。いいな。いいな。いや待てよ。きっと悪いことでもしてるんだろう。そうだ、そうだ。そうに違いない。悪いことでもしなきゃ、あんなに儲かるはずがない。悪だ。ショッカーだ。貧しい俺たちこそ正しいんだ」みたいに。ニーチェが喝破しているように、一部のキリスト教は「強者」を「悪」、「弱者」を「善」とすることで、みじめな大衆を慰撫していた。構造はこれと同じ。貧富と善悪を同じ土俵で取り組ませちゃいかんよ。
 村上氏が嫌われるのは、儲け過ぎたからでなく、やり方が悪かったからだと麻生外相は言った。つまり嫉妬からではなく、遵法精神というか倫理観から村上氏を叩いたのだと。それも一理ある。が、やはり多くの人々は、違法行為よりも、儲け過ぎたことのほうがおもしろくなかったのではないか。秀でるものは妬まる。妬むだけならよいが、秀でたものを悪しきものとして叩くのは、日本の情けないところである(日本に限ったことじゃないかもしれないけど)。
 しかし「勝ち組」なら、「出る杭は打たれる」というジャポンの精神風土を理解し、韜晦に勤めるべきではなかったか。

ブランショ

2006-06-22 12:45:43 | 日々のひとりごと
 今日はブランショの『終わりなき対話(L'ENTRETIEN INFINI)』を読んでいる。レヴィナスやバタイユはしこたま翻訳が出ているのに、なぜかブランショの翻訳は少ない。あったとしても高価である。『終わりなき対話』も未だ翻訳が出ていない。お粗末な語学力で読んでいる。今日は「Connaissance de l'inconu」のところ。「不可知なものを知ること」という意味である。今現在、私がおかれている状況は「不可知なものを知ることとは何かがわからなくてどうしてよいかわからない」といったところであろうか。


 ところでブランショは、ほとんど写真を残さなかった。右上の写真は数少ないブランショの写真のひとつである。誰かに似てるなー、と思ったらデビッド・ボウイだった。


             


 あるいは「007 美しき獲物たち」でこの上なくユルイ芝居をみせてくれた時のクリストファー・ウォーケンにも似ている。    
 目の光り具合では、「怪奇大作戦(23話・呪いの壷)」に出てくる壷屋のあんちゃん(花ノ本寿)にも似ている。


               



 関係ないけど三船美佳って、AV女優のなんとか蘭に似てません?

職業と趣味

2006-06-22 09:03:17 | 日々のひとりごと
 私が一番好きなニュース番組は、フジテレビで23時半からやっているNEWS JAPANである。コメンテーターの意見に、あまり偏りがみられないからである。それでいて、言うべきことはきっちり言っている。保守左派のスタンスで、安心してみていられる。この番組を支えているのはクリステル滝川アナの美貌と和田、箕輪両解説員の鋭いコメントであろう。
 その和田解説員が、先日離婚した。前妻は有賀さつきである。有賀氏は離婚後いくつかのメディアに出演し、和田氏の趣味嗜好などを暴露していた。じつに下品な振る舞いである。しかしである。和田氏の意外な趣味嗜好に、私もはじめはびっくりしたが、それもいいかなーと思った。一方で、「あの聡明でまじめな和田さんが紫色の部屋に住んでるなんて、嫌だ。気持ち悪い」と思う人も結構いるようだ。その人たちの気持ちもわからんでもない。
 ニュースキャスターやニュース解説員などといった人たち、あるいは官僚でも政治家でも学者でも銀行員でもいいが、お固い仕事の人たちは、少しでも変わった趣味を持っているだけで、ものすごく騒がれてしまう。石破茂元防衛庁長官などはプラモデルマニアということで変わり者扱いされ、モーニング娘。のファン故に「キモイ」とされた。麻生太郎外相は良家の出でありながら漫画好きというだけで、かなり好感を持たれている。何故だ。仕事をきちんとしておれば、趣味で何をしようが構わないじゃないか。石破氏がモー娘。のメンバーにいたずらするとか、麻生大臣がゴルゴ13のマネをして谷垣財相を射殺するとなれば問題だが。
 それにお固い仕事をしている人、激務を課せられている人こそ、オフの時はパッと羽目を外して方がいいんじゃないか。チャーチルなどは「レンガ積み」なる珍妙な趣味を持っていたし、外交官が幼児プレイをたのしむ、あるいは銀行員が女装するなどということもあるにはあるらしい。しかし幼児プレイも女装も犯罪ではない。和田氏の家の壁紙が紫であったっていいではないか。
 趣味が仕事に活きる場合もある。石破氏の著書『国防』を読むと、彼のプラモデル趣味、乗り物好きが、氏の国家防衛論構築に少なからず影響を与えていることがわかる。また麻生氏は、漫画を通して世相を読み取っている。
 またパブリックな顔とプライヴェートの顔との間に多少のギャップがあった方が、人間としての面白みがある。滝川アナとてああ見えて駄菓子好きである。
 ピエール・ブルデューなんてフランスのえらい社会学者の人が分析してるが、かの国では階層と趣味が一致している、というか皆が階層にふさわしい趣味を楽しむ傾向にあるらしい。格差格差と声高に叫んだところで、日本には階層などはなく、皆が好きな趣味を楽しんでいるように感じられる。

興味深いアンケート(フジテレビ「トリビアの泉」)

2006-06-22 06:14:45 | テレヴィ
 ネタ切れ気味の感のあるトリビアの泉だが、昨日のトリビアの種はおもしろかった。「デリカシーのない行為とは?」というのが昨日のテーマであり、番組は接客業者(ホスト、ホステス)の人たちにアンケートを取った。結果は以下の通り。

 女性からみたデリカシーのない男性の行為
  1. 体型のことを言う
  2. ヘッドフォンから音が漏れている
  3. 話し終えてないのに電話を切ってしまう
  4. 髪型を変えた女性に「前の髪型の方が良かった」と言う
  5. 話している最中に携帯電話に出る
  6. カラオケで歌っている時に割り込んでくる
  7. 過去に交際した男性の人数を聞く
  8. 手料理に調味料をかける
  9. 話の「オチ」を求める
  10. メニューを見て「これ美味くない」と言う

 男性からみたデリカシーのない女性の行為
  1. 話している最中に携帯電話に出る
  2. 他人の携帯を勝手にいじる
  3. 声が必要以上にでかい
  4. 音を立ててものを立てる
  5. ものの値段を聞いてくる
  6. 「デリカシーがない」という人
  7. あげたプレゼントに対して「もう持っている」という人
  8. 携帯電話の押しボタンの音がONになっている
  9. 写メールを取らせろと言ってくる
  10. 電車で化粧する

 同意できる部分が多い。やはり携帯電話、あるいは音に関するものが多い。音の出るもの、音を出してはいけないシチュエーションには十分気を使うべきであろう。
 あと感じたのは、自分と他人との間に、ちゃんとした距離を置くべきことである。然るべき距離、すなわち礼節である。古く礼=禮は、得体の知れない恐ろしいものを避ける儀式であると言う。よく考えて欲しい。他人とはそもそも「得体の知れない恐ろしいもの」である。そういうデリケートな相手に対し、我々は細やかな精神で接するべきではないか。

1・2・サンバ!! 2・2・サンバ!!  アモキ アモキ アモキサンバ♪

2006-06-21 10:37:49 | 日々のひとりごと
 ようやく薬が効いてきたのか。
 アモキサン。十代の頃より断続的に飲んできた抗うつ剤である。三環系抗うつ剤で、意欲を高め、気分を高揚する働きがある。主な副作用は、私の場合のどの渇きと肥ることくらいか。そのアモキサンがまたおとといより処方されたのである。昨日は副作用のためへろへろだったのだが、今日は朝からずいぶん調子がいい。あの手の薬は効き目が出るまで幾分時間がかかるのだが、アモキサンは即効性がある方らしいが、今日の元気はプラセボ効果だと思う。張り切り過ぎて疲れるのは嫌だから、ほどほどにしておこう。
 

れんげ

2006-06-20 21:30:19 | 日々のひとりごと
 ラーメンを食べる時、皆さんはどうするだろうか。
 私の場合は、まずれんげにスープの池を作り、そこに麺とシナチクやネギなどで庭をこしらえてから、口に入れる。つまり箸を口に持っていかないでラーメンを完食する方法である。この食べ方がどうも滑稽らしいのだが、私と似た食べ方をする方はいらっしゃるだろうか。レンゲを庭園に見立てるのも風流であるし、非常に合理的な食べ方だと思うのだが。
 ちなみにパスタを食べる時はフォークオンリーであり、家で食べる時は箸である。蕎麦、うどんは豪快にすする。これはどなた様もやっていることであろう。


 ※れんげの写真はここからお借りしました。

西洋哲学を扱った新書(読みやすいもの)

2006-06-20 19:13:01 | 読書
 今日紹介するのは、岩田靖夫『ヨーロッパ思想入門』である。岩波書店から出ている新書であるが、岩波新書ではなく、岩波ジュニア新書の方である。ジュニア新書と言えば、中高生を対象としたシリーズであるが、岩田氏のこの著書は子供向け入門書の域を超えている。80年代以降のニューアカデミズムにかぶれ、古典を馬鹿にしているような、晦渋趣味、衒学趣味の大人にこそ読んでもらいた一冊である。もちろん現代思想も魅力的で、刺激的ではあるが、やはりヨーッロッパ思想の根幹部分をよく知っておいた方が良いのではないだろうか。
 本書の構成はこうである。

 第1部 ギリシアの思想
 第2部 ヘブライの信仰
 第3部 ヨーロッパ哲学のあゆみ

 第1部では、哲学の起源であるギリシア哲学について概説している。ちなみに岩田氏はギリシア哲学の泰斗である。第2部はヘブライの信仰、つまり旧約聖書と新約聖書について書かれている。ヨーロッパの精神的基盤であるユダヤ、キリスト教の解説にあてられている。 ヨーロッパ思想史を概観するためには、ギリシア哲学と聖書という二大基軸をおさえることが肝要である。
 ヨーロッパの思想の根幹をなすものは、「知」としてのギリシア哲学と「信」としてのユダヤ・キリスト教であり、その二大源流について学ぶことで、近現代哲学もクリアになってくる。中世および近現代哲学はこの著作の第3部で取り上げられる。
 岩田氏が取り上げる第3部の哲学者だが、アウグスティヌス、トマス・アクィナス、オッカム、ルター、デカルト、カント、ロック、ロールズ、キルケゴール、ニーチェ、ハイデガー、レヴィナスといった具合である。奇を衒ったものでなく、オーソドックスなラインナップであり、「知」と「信」との絡み合いから生成したヨーロッパ思想の概観にはもってこいである。
 クリアカットだが、安っぽくない。構成もよく練り上げられており、平明で知的でそして柔らかい文章で綴られている。「借りてきた言葉」ではなく、岩田氏の言葉で書かれている。
 また岩田氏には『よく生きる』(ちくま新書)という著作がある。これも新書だが、なかなか格調の高いつくりとなっている。『ヨーロッパ思想入門』はやや教科書的な本だが、『よく生きる』は「幸福」「他者」「神」「社会」を巡る諸問題について語られたものである。「○○の思想を解説する」「○○という書籍の注釈をする」あるいは「○○という概念の定義付けをする」狙いのものではない。人間が抱く原初的な疑問や驚きを、古典をふまえながら考えていくタイプの本である。公演をまとめたものであり、口語で読みやすい。
 岩田氏のものではないが、西洋哲学史について書かれた新書から、熊野純彦『西洋哲学史―古代から中世へ』(岩波新書)も挙げておきたい。原典が多く引用されているが、その解説にとどまることなく、「思想」「知識」「読解」から「思惟」「思考」へと向かうように書かれている。つまり「○○は~である」式のものではなく、古典を紹介しながら私たちがある問題について考える為の道しるべをしめしてくれるものである。つまり知識を与える本ではなく、思考のきっかけを作ってくれる本なのである。熊野氏のうつくしく論理的な文章も素晴らしい。

 最後に、これらは新書ではないが、岩田靖夫の著作で興味深いものを紹介しておく。ギリシア哲学、宗教思想(聖書、キルケゴールなど)、レヴィナス、ロールズに興味のある方は是非お読みいただきたい。

 『神なき時代の神―キルケゴールとレヴィナス』(岩波書店);キルケゴールについての記述はごくわずか。レヴィナスの宗教哲学に関して、もっとも重要なもののひとつ。

 『神の痕跡―ハイデガーとレヴィナス』(岩波書店):ハイデガーの存在論、レヴィナスの宗教哲学について。ギリシア哲学も。

 『倫理の復権―ロールズ・ソクラテス・レヴィナス 』(岩波書店):ギリシア哲学と現代倫理学に関する名著。

 『西洋思想の源流―自由民の思想と虜囚民の思想』(放送大学教育振興会);1部から10部は自由民の思想=ギリシア哲学(ソクラテス、プラトン、アリストテレスなど)。11章から14章はヘブライズムの流れ=聖書の世界(ただこの部分は坂口ふみが執筆)。15章は現代倫理学(ロールズとレヴィナス)。

ドラム(刻みたばこ)

2006-06-20 09:43:18 | 嗜好品
 久々に刻みたばこを買ってみた。オランダ製。銘柄はDRUM。ドラムと読む。もずくのように細かく刻んでありしっとりしている。
 以前ここに書いたように、私は数年間フランスにいた。フランスという国は煙草が高く、愛煙家の私は困ったものである。マルボロが一箱5ユーロであり、1ユーロ140円で勘定すると700円ということになる。翻って日本では、マルボロ一箱300円(くらい?)である。マイルドセブンはもっと安かったはずで、また日本にはShinseiやechoといったさらに、かなり安い煙草も売られている。とにかく欧米は煙草が高い。
 そこで私がとった方策は、手巻き煙草パイプである。今日は前者について書いてみたいと思う。
  手巻き煙草というのは、刻みたばこを紙片で手で巻き、糊の部分につばを付けて固定したものである。外国の映画などで、そんなシーンをご覧になったことはないだろうか。よれよれ具合から、ルパン三世に出てくる次元の煙草も手巻き煙草かもしれない(巻いているところをみたことはないが)。あれである。手巻きの場合、煙草の量が調整できるし、巻くのに手間がかかり面倒くさくなるから喫煙頻度が低下する。1日マルボロ1箱でいくと、1日あたりの出費は5ユーロ(700円)である一方、刻みたばこ1パック(約50g)の場合、ほぼ同じ値段で4日くらいは楽に保つ。
 また巻く動作も楽しいしし、巻く人が巻けばサマになるのでは。

酢辣湯麺

2006-06-20 08:12:43 | 外食
 首都圏にチェーン展開しているラーメン店・揚州商人に行ってきた。通院先に近いので、よく利用する。
 店の雰囲気はといえば、細部の装飾品などにも凝っており、アジア雑貨を感じさせるものがある。ラーメン屋にしては演出多寡か。少し間違えれるとださくなりかねない危うさがある。しかしファミレスだと思えばあれでも良いのではないか。サイドメニューもそこそこあるし(ただし白米のおかずになりそうな品が少ないかもしれない)、デザートの杏仁豆腐は舌触り、香り、味、すべてにおいて及第点である。
 私は酢辣湯麺(すーらーたんめん)と支那のビールを頼んだ。酢辣湯麺のスープは、字の如く酸味の利いたものあり、辣油の辛みが全体のバランスを整えている。具材は刻んだ椎茸、タケノコ、豚肉、溶き卵である。好き嫌いがはっきり別れそうだが、私の口に合った。酢が入っているため、身体にもいいのだろう。大いに汗を流す(辣油、つまり唐辛子には発汗作用があるからね)。昨日の東京は30℃近くまで気温が上がったいたため、熱い食べ物が余計に美味しく感じられた。なおこの店には黒酢ラーメンというものもあるが、こちらも美味であった。
 ビールは青島ビールをいただく。口当たりも、のどごしもよい、軽く、切れのいいビールであり、普段濃厚なものを召し上がる向きには物足りないかもしれない。ヨーロッパでも飲んだことがあったが、かなり廉価であった。しかしこのお店で飲むそれは、決して安いものではなかった。
 この店についてもうひとつ特筆するべき点として、お店で働いている女の子が可愛い。少なくとも私が行く時は、いつもそうだ。

フランスという女

2006-06-18 22:43:20 | 海外
 私はしばらくフランスにいたことがある。帰国したのは去年の12月だが、帰国準備をしている頃、私の下宿近くで暴動があった。北アフリカ系移民による大規模なものであった。おかげで煙草を買いにいけなかった。あんな大規模な暴動が自分の身近で起きようとは、予想だにしなかった。夜間外出禁止令下におかれるのは、生まれて初めてのことである。
 こちらに戻ってきてから、書店である雑誌を見つけた。『現代思想 2006年2月増刊号特集 フランス暴動 階級社会の行方』である。バリバール、バディウ、ジジェク、ネグリ、ボードリアールなども執筆しており、なかなか読み応えがある一冊であった。この中で、あるアフリカ系フランス人ラッパーの歌の歌詞が数回引用されていた。ラッパーの名はムッシューR。セネガル移民の三世である。歌詞は以下の通りである。

 フランスはヤリマン女
 くたくたになるまで姦っちまえ
 売女同様に扱え
 フランスはひどい母親
 道端に自分の息子たちをすてて、知らん顔

というものである。この歌は、フランスと暴動を起こした(主に)アフリカ系の移民との関係をうまく表現している。旧宗主国に移住し、権利を享受し(ときに必要以上の権利を要求し)てきたが、やがては見捨てられる移民の心情が見て取れる。フランスは、簡単にセックスさせる女性のように、旧植民地の人たちを国に迎え入れた。しかし、子供を手に余した母親の如く、フランスは彼らを処断し始めた。他のアフリカ系移民のアーティストもまた、似たような歌詞を書いているようである。
 日本もまた「女」である。フランス同様に植民地政策を採っていた国である。今現在、日本は「ヤリマン」(飯島愛)というより「レイプ被害者」(木村多江)くらいではないだろうか。「子を捨てるひどい母」(畠山鈴香)になる必要はないが、「肝っ玉母さん」(京塚昌子)あるいは「しつけに厳しい怖いお母さん」(野際陽子)くらいになる必要があると思われる。「きれいでやさしく知的な奥さん」(水野真紀)になるのは無理だろう。そんな国はまずないし(理想だけど)。
 極右政党党首のルペンが大統領になりかけ、サルコジ(写真)のようなタカ派の政治家が高く評価されている今のフランス。もともと左寄りの国だったのに、この有様である。このような極端な右傾化の前に、日本も旧植民地の人々との関係を、今一度熟考すべきではないか。