泉が湧き出るかのように自然発生し、
地鳴りのようにスタジアムに響き渡る“チャント”と“手拍子”
緑がまぶしいピッチの上では
我らが“紫の戦士”たちと相手の選手たちのバトル
選手たちのぶつかり、軋み合う音、荒い息遣い…
“選ばれし漢たち”のせめぎ合いが聞こえる
油断をすれば、ラインを割ったボールがうなりをあげて飛び込んでくる
たまに勢いあまった選手も最前列に飛び込んでくる
常に緊張感がスタジアムに張り詰める
手を伸ばせば、選手たちに手が届きそう…
“サッカー専用スタジアム”だけの“特権”…
GOA~~L!! WHAT A PROFESSIONAL PLAY!! WOW!!
突然耳をつんざくスタジアムDJの声
ゴールを決めた紫のストライカーが、喜びのあまりゴール裏そばの席に飛び込む
後から後から紫の戦士が続き、サポーターとの大きな紫の塊がさらに大きくなる
そして選手たちとサポーターが手に手を取り合い、抱き合いながらさらなる大きな喜びを爆発させる…
スタジアムにいるすべての人が、喜びと興奮を一緒になって味わうことができる
そんな“夢のサッカー専用スタジアム”が広島にほしい!!
WE NEED FOOTBALL STUDIUM in HIROSHIMA!!
さて今回は私たちに必要な“あるモノ”について書こうと思います。
それは「サッカー専用スタジアム」です。
現在のサンフレッチェ広島のホームスタジアム「広島ビッグアーチ」は陸上競技場と兼用ということもあり、
ピッチ上の選手とスタンドのサポーターとの一体感を作りづらいという事実は否めません。実際、柏スタジアムやカシマスタジアム、フクダ電子アリーナ、神戸ウイングスタジアム(ホームズスタジアム神戸)、鳥栖スタジアム(ベストアメニティスタジアム)などの専用スタジアムは、選手とサポーターの距離が近く、スタジアムの盛り上がりがハンパじゃないですよね!
また迫力のある選手たちのプレイをすぐそばで楽しめ、サポーターにとってはいいこと尽くめです!
(鳥栖スタジアム かわびさん もくさん ありがとう!)
20年近く前、私はイギリス北東部の街・ノーリッチに住んでいました。
そのノーリッチには“NORWICH CITY”というフットボールクラブがあり、当時イングランド・プレミアリーグで戦っていました
(現在は2部のチャンピオンシップで戦っています)
当時15万人ぐらいの小都市だったノーリッチには、
なんと“
3万人収容の“専用スタジアム”がありました。
ノーリッチの街中は、いつもチームカラーの“黄色”であふれていました。
道端やパブでは、いつも私たちのクラブやサッカーの話題で持ちきり。
また試合日になると、街の中心部からスタジアムは黄色いレプリカユニフォームを着た人たちの行列が続きます…
もちろんスタジアムはいつも満員!!
試合中はサポーターの歓声が止むことはありませんでした…
私が理想とする“サッカー専用スタジアム”は
ノーリッチの“
Carrow Road”にある、このスタジアムです。
レンガ造りの趣きのある外観。
入場口のバーをくぐると広がる異次元の空間。
サイドラインやゴールラインと最前列との距離はたったの1~2メートル。
しかもピッチレベルと同じ高さから観客席があり、
手を伸ばせば本当に選手たちが届きそう。
ゴールを決めたときには選手たちと本当に抱き合うことさえできます!
(ピッチサイドや観客席の感じは柏スタジアムと似た感じでしょうか)
私は広島の街も
ノーリッチと同じように“紫”や“赤”であふれさせたいのです!!
広島も“紫”と“赤”があふれ、いつも盛り上がっている街になる…
それがかなう可能性が一つあります。
それは“
市民球場の跡地へのサッカー専用スタジアム建設”です!
ここにきて“市民球場跡地”に関してにわかに騒がしくなってきました。
広島市は跡地利用に関して「平和祈念堂」と「水族園・広場」の二案を軸に考えています。
今年3月末に結論を出すはずでしたが、それを先延ばし。年内に結論を出すとしています。
しかし、この案は決して市民の合意を得られたとはいえませんよね。
特に客足が鈍ると予想される地元の商店街などからは猛烈な反対表明が出ています。
また市民球場跡地に、国連の平和機関を誘致しようという動きも出てきました。
もともと広島市が
「市民球場と同じぐらいの150万人の集客が見込める施設」と方針を決めた上に、
某市長も最初の市長選出馬の「公約」として、“専用スタジアム”の建設を挙げました。
しかしその結果が「平和祈念堂」と「水族園・広場」の二案…
しかも、球場跡地利用検討会議で
建物は「閉鎖された空間が新たに出現し、大規模施設によって平和公園と中央公園が分断される計画であるため望ましくない」といわれる始末…
また「公約」だったはずなのに、「あれは“個人的に支援する”という意味」とも言われる始末…
納得せんわねぇ…
(“閉鎖された空間”は今の広島市民球場に対しても、非常に失礼な表現だと思うのはオレだけか? あと誰かの“記念碑”的な“原っぱ”はいらねぇ!)
それでも、私は“サッカー専用スタジアム”を広島市民球場の跡地に建てることを希望します!
広島のスポーツ博物館やスポーツバーを併設すれば、サッカーの試合とあわせて
街の賑わいを保つことができるでしょう(水族館や広島の音楽博物館もいいでしょう)
“建物”じゃ緑地に比べて、二酸化炭素の排出量が多く、地球温暖化防止の妨げになるというなら、
屋根で太陽光発電をし、甲子園球場以上の壁面緑化をすればいいじゃないか!
(ドイツ・マインツ ブルッヒヴェーク スタジアムの写真)
そして、なにも静かなシチュエーションを設けることだけが“平和祈念”ではありません!!
またあの場所で、国際Aマッチを幾度となく開催できれば、
世界中の人たちがあの場所に集うじゃないですか!!
平和公園や原爆ドームで被爆の実相に触れてもらった後は、世界共通言語である“サッカー”での交流…
これこそ
ポジティブな“平和祈念”であり“平和創造”だと思うのです!!
1945年8月6日、原爆によって焦土と化した広島…
深く傷ついた広島の人たちを勇気づけたもののひとつが
「広島カープ」だったのは間違いありません。
広島の街の中心部にある“原爆ドーム”は、
戦争の悲惨さと悲しさを伝える“負の歴史”を伝える建物です。
そしてそのそばに立つ“広島市民球場”は、
どん底から復興した“戦後の広島を象徴”し、
“野球を楽しむことができる平和”を心から実感できる建物ではないでしょうか?
“原爆ドーム”と“広島市民球場”…
“ピアノの黒い鍵盤と白い鍵盤”のように、
セットであるからその意味が強調され、人々に“平和”をアピールできたのではないでしょうか?
今、そのひとつがなくなろうとしているのです。
(実際、他県から来るビジターチームのファンが、市民球場のそばにある原爆ドームや平和公園を訪れ、その実相に触れるチャンスが何度となくあったはずです)
私たち広島にいる人間は、
これからも「平和」を全世界に訴えていかなければいけません。
それよりも何よりも、まずは広島にたくさんの人たちに来ていただけるように
広島の街をより魅力的にしていく…
そのためにも、あの場所に“サッカー専用スタジアム”があることの意味は大きいと思うし、
それが生み出す“可能性”は“無限”だと私は思うのです…
追記
確かに、サッカー専用スタジアムの候補地はたくさんあります。
古くは「広島スタジアム」の改修案に始まり、
ビッグアーチそばの「第一球技場」の改修案、
また五日市の埋立地に建設しようという案もありました。
さらに、前述の“ALL FOR Hiroshima”の会合では、
まったく持って“意外な場所”の候補も出てきました(たしかにおもしろいかも)
広島市がある程度方針を決めている以上、案は覆らないかもしれません。別の動きも出てきました。
でも根強い反対がありますし、そもそも多くの市民が魅力的だと思う案ではないと思っています。
アクセス問題を抱えるビッグアーチに比べると、“一等地”であるあの場所はかなり魅力的です。
“新・市民球場”で盛り上がっている今、
「サッカー専用スタジアム」について語るのはあまりふさわしくないかもしれません。
でも建設が進んでいる以上“新球場”については“もう解決”といっていいでしょう。
まして“現・球場跡地”にサッカー専用スタジアムを誘致するのなら、
今、このタイミングで声を上げるのが最後だと思うのです。
聞くところによると、
広島カープの選手たちは“新しい市民球場”でのプレイを楽しみにしているそうです。
またサンフレッチェの選手たちも“サッカー専用スタジアム”の建設を望んでいるようです。
どっちにせよ、声を上げるタイミングが遅ければ遅いほど、
“専用スタジアム”の建設は遅れます。
とにかくまずは
「
サッカー専用スタジアムがほしい!」と声を上げようじゃないですか!!
多くの人たちが同時に声を上げれば、
それが「世論」となり、状況も変わってくると思うのです。
そして
多くの人たちが声を上げやすくする環境を整え、その声を束ねる場が
“ALL FOR Hiroshima”ではないかと私は思っています…
この記事は
私が「広島アスリートマガジン」で連載している記事を
加筆・修正したものです(許可済)
http://www.sanfield.net/athlete/