5時半頃、目が覚めた
ゴアのテントwithフライは明かりを通さないので
いつまででも寝ていられそうな寝心地だった
一緒のテントだったU田さんもO重さんもまだ寝ている様子
準備の遅いハチは起こさないようにゴソゴソと顔拭きシートで拭き拭き
軽く日焼け止めを塗って、髪の毛をピンで留め、靴下をはき
シュラフを畳み始めたところで、みんなが起き出した
急いでシュラフを片付け、お湯を沸かして朝食準備
最近のお気に入りは、お湯を入れるだけでOKのウドンやおソバ
出発準備の遅いハチ向けのメニューである
今日向かうのは、初心者ハチのために一の壁
一の壁で練習後、合格したらバットレスへ、不合格だと一の壁残置
一人だけ一の壁残置だったらどうしよう…
でも、そんな心配も、登山道から分岐して、沢筋を詰め
一の壁が見えてきたところで吹っ飛んだっ!!
すっげぇ~っ!でっかぁぁぁぁぁぁぁぁいっ!!!
一の壁残置で何の不満があろうか?いやない(反語)
不動の壁でも私にはじゅうぶん高くて、恐怖の対象なのだが
それよりも凄い圧迫感?恐怖の対象を越えちゃっているかもしれない
圧倒される感じだった
今日はI上さんがリード、U田さんがハチのフォロー&指導、ハチの3人パーティ
3ルート(IV)でI上さんから「ハチさん、支点確保でお願い」と
私はリードのビレイはボディでしかしたことがない
正直、不安だった…でも下手ながらもなんとかできたかな?
(追記:しかし、ピッチの途中での支点ビレイは全くできませんでした)
次に、ハチの番
U田さんには「ハッチャンなら余裕だよ!」って声をかけてもらうが
人工壁育ちの人間には、どこに足を置いて良いのか、手を使えるのやら
正直、半ベソかきながら、パニック寸前になりながら登った
なんとかフォールせずに登り切ったが、全身
いやぁ~な汗でグッショリだった
上ではザイルの束ね方をU田さんに教えてもらって下降路へ
でも、ザイルの束ね方が下手なので、途中でザイルを踏んでつまづきそうになった
こういう細かいことがスピーディかつ確実にできるようにならないと
この積み重ねで山では致命傷になってしまったりするんだろうな
次はザイルをもう少し短めに束ねてみることにしよう
次は右ルート(IV)、これは右から入って、左にトラバースしながら登るロングルート
見ているだけで緊張してきた
今回はボディビレイで確保させてもらった
ダブルロープなので、決して上手ではないけれど
支点ビレイに比べたらだいぶマシ
でも、片方のロープが弛んだりして、その調整が難しい
U田さんに「弛んでない方のロープを素早く出して、一緒に引く」
とアドバイスしてもらったが、なかなか難しい
確かに片方だけ引くよりも、片方だけ出す方がやりやすい
ぜんぜんスムーズにはできないけど、ちょっとコツを掴んだ気がする
でも、ビレイしている時も、登っている時も、一人でブツブツ
落ち着けぇ~、落ち着けぇ~
ってつぶやいているハチは、まわりに不安感を与えまくっていたことだろう
2本登り終わって、降りてきたらI上さんが
「合格っ!下でアブミの練習をして、バットレスに行こう!!」
え?な、な、な、何が合格なんだろう??
でも、ま、いっかぁ~
死ぬほど恐いんだけど、バットレスに行けるのは嬉しい
バットレスの下まで水筒だけ持って移動
シュリンゲ2つを使って簡易アブミを作って下さって
手頃な岩でアブミ練習
で、先行パーティがカリフォルニアドリーミングを登っていたので順番待ち
彼らの通過後、私たちはその横の簡単なルートから登ることになった
どスラブでツルツルに見えたのだけど
登ってみると、ちょっといやらしい位置だったりはするが
ちゃんとホールドがあって
「恐いよぉ~っ!」「落ちるかもしれませぇ~んっ!!」
と叫びながらも、なんとかピッチを重ねていった
何ピッチ目かで、すっかりハマって半ベソしていたら
上から「A0してもいいよ」とI上さんの神の声が
良く見たら、A0しやすいように長いヌンチャクをかけて下さっていた
上からビレイをして下さっているので、直接ハチの登りは見えてないはずだけど
やっぱり、I上さんには登るスピードとかで
ハチの実力はすっかりバレバレだったんですねっ
途中、セルフビレイの位置の関係で、U田さんがビレイをしてくれた
ATCでの支点ビレイ
本当に素早く的確でホレボレしてしまった
(バットレスではハチはボディビレイしかしていない)
ああいうビレイなら、リードしている人も登りやすいだろうなぁ~
支点ビレイ、ボディビレイ云々の前に
もっとダブルロープでのビレイに慣れていかないと駄目だなって実感
歩荷はできない、準備は遅い、登りはショボい、ビレイは下手
うううっ(;o;)良いことなしじゃないか…正直凹む…
凹んでいても
ルートは続くよどこまでも
ついに最上部2ピッチのA1ルートに来た
見上げると、まったくホールドのなさそうなスラブに
リングボルトが連打されていた
北山公園のアドレナリンスラブ(初段だっけ?)が
地上100mのところにあるって思ってくれたら良い
フリーが上手くなれば人工なんて使わずに登れるようになるって思っていたが
それはちょっと違うみたいだ
アドスラなんてとてもじゃないけど登れない私は
当然のようにアブミ
それもA0+A1である
垂壁以下なので、遅いながらも快適にアブミで登っていく
でも、これをリードしようと思ったら
絶対に最上段に乗らないと次のピンには届かない
ここでもリードとセカンドの間の深くて広い川を感じてしまった
U田さんにフィフィを借りていたが、フィフィを使う余裕も
レストする余裕もなく登り切った
遅いハチの後ろで文句も言わずに待っていてくれたU田さんも
ハチが登り切ってすぐに上がってきた
「本当はここから降りるつもりだったけど、2人とも上手で早いから
あと1ピッチ、最後まで抜けましょう!!」
もう、I上さんの誉め上手っ!!
I上さんに乗せられて、最終1ピッチをアブミで登った
垂壁以下かつ最上段に乗らなくても大丈夫かつセカンドで安心なので
なんか、ちょっと、アブミって楽しいかも
気分
登り切ると安定した棚があり、やっと落ち着いて周りを見回せた
さっきまで登っていた一の壁が小さく見え
山頂近くを吹き抜ける風はなんとなく肌寒く
遥か見える街と海
身体の奥底から細かな震えがこみ上げてくるほど感動した
今回はリードのI上さんとフォローのU田さんにおんぶに抱っこで
完全に登らせていただいた
今回は1ピッチごと?いや、一手ごと?に課題ばかりが増えて
正直、凹みまくりのクライミングだったけど
これから、もっと、もっと頑張ってオールリードできるようになりたいっ!
そして、いつか、誰かを連れてきてあげられるようになりたいな
この感動を誰かにお返ししたい
今回は本当に足手まといでしたが、I上さん、U田さん、本当にありがとうございました