中国中部の湖北省武漢市で集団発生した新型コロナウイルスによる肺炎が広がるなか、予防に重要なのがマスクだ。武漢市は22日、公共の場所でのマスク着用を指示。中国全土でもマスクの「爆買い」が起きており、ネット通販大手は供給を切らさないよう懸命だ。政府はマスクの増産方針を宣言した。

 中国メディアによると、同国のIT大手アリババ集団の通販では、21日までの2日間で8千万個のマスクが売れた。新型肺炎が広がるなか、中国全土のマスクが品薄になっており、一部の店舗では値上げが報道された。だが、行政側が値上げをしないよう要請し、アリババを含むネット通販各社も相次いで値上げしない方針を宣言した。

 ただ、24~30日の旧正月(春節)の休暇期間は、マスクの生産がほとんど止まるため、新型肺炎の予防はマスクの在庫をにらみながらの神経戦になりそうだ。

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 アリババが国内92社の工場の統計をとったところ、22日時点で4612万2千個の在庫を確認した。これらの企業は1日当たり1628万9千個を生産できるという。ただ、それは春節後にフル稼働できた場合の数字だ。

 22日、工業を担当する中国工業情報化省は「マスクの生産企業が、春節の期間に従業員が不足する状況を克服して、素早く生産し、全力で供給を増やせるよう調整する」と宣言した。(北京=福田直之)