第99回全国高校ラグビー大会決勝が7日、東大阪市花園ラグビー場大阪府)であり、奈良県勢の御所実は14―23で桐蔭学園(神奈川)に敗れ、初優勝に届かなかった。全校生徒や保護者、地元の人々は最後までスタンドで声援を送った。

 部員を除く全校生徒約500人は、始業式を終えてバス11台で駆けつけた。フルバック石岡玲英(れい)主将(3年)の友人の馬場柊斉(しゅうせい)君(同)は「ずっと始発で学校に来て練習し、ここまでがんばってきたのを知っている。いつも通りの玲英なら大丈夫」。

 前半4分、スクラムハーフ稲葉聖馬選手(3年)がトライ。続いて16分にセンター谷中廉選手(同)がトライを決めた。

ここから続き

 歓声が沸くスタンドで谷中選手の母の加奈子さん(53)=兵庫県明石市=は笑顔を見せた。「祈るように見ていました。とにかくよくやってくれた」。兄で、帝京大ラグビー部の樹平(きっぺい)さん(19)は御所実OB。この日は大学で中継を見守り、「仲間と自分を信じて、最後までがんばってほしい」と語った。

 後半、3トライとドロップゴールを決められて逆転負けを喫した。「よくやった」とスタンドから選手をたたえる声があがり、拍手が送られた。

 スタンド最前列で応援した部員の大間歩君(3年)は、プロップ島田彪雅(ひゅうが)選手(同)とスタンドオフ高居海靖(かいせい)選手(同)と同じ中学校の出身。「2人が自分が出られない分もがんばってくれた。本当におつかれさま」。スタンドに歩み寄った選手たちの顔を見ると、涙が止まらなかった。

 石岡主将は「みんなの声援が、苦しいときにすごく力になった。ここまで来られたのも、応援のおかげでした」と話していた。(平田瑛美)

130人がエール「誇りに思って」 御所でPV

 第99回全国高校ラグビー大会の決勝があった7日、御所実の地元、御所市の市文化ホールでは試合のパブリックビューイング(PV)があった。約130人が集まり、トライが決まると大歓声を上げていた。

 御所実の前身、御所工業高校卒業生の米田源司さん(71)と木村清さん(72)も会場に駆けつけた。2人は高校時代に応援部で、運動部の応援に明け暮れた。「御所実は僕たちの時から、野球でもラグビーでも一度も日本一になったことはない。今日、優勝をもぎとってほしい」と木村さん。昔のように選手たちにエールを送った。

 試合は前半リードしたが、後半に逆転されて初優勝を逃した。沢口飛翔(つばさ)選手(3年)の小中学時代の同級生で別の高校に進学した和田郁美さん(同)は試合後、涙を流す沢口選手をスクリーンで見た。「ぐっと来ました。悔しい思いももちろんあると思うけど、決勝の場に立ったことを誇りに思ってほしいし、おつかれさまと言いたいです」と話していた。(福岡龍一郎)