生徒1人あたりの学校のパソコンの台数を増やした国ほど、成績が下落――。経済協力開発機構(OECD)は、15日付でこんな調査結果を発表した。文部科学省や自治体が学校のICT(情報通信技術)化を進めているだけに、注目を集めそうだ。

 2012年に15歳を対象に実施した学習到達度調査(PISA)の「数学的リテラシー」の成績が、03年からどう変化したかを国別に調べ、生徒1人あたりのパソコンの台数との関係をみた。その結果、オーストラリアニュージーランドなど1人あたりの台数が多い国では成績が下がり、トルコやメキシコなどまだ少ない国では成績が向上するという関係がみられた。

 日本の1人あたりのパソコン台数は、各国の中では中くらいで、成績はわずかに伸びていた。

 生徒の学校でのパソコン使用頻度と成績の関係も調べた。パソコンを使って測る「デジタル読解力」は、OECD平均でも、日本でも、中くらいの利用頻度の生徒の成績が最も高く、最も頻繁に使う層の成績が最も低かった。調査は計31の国と地域を対象にした。

 OECDのアンドレアス・シュライヒャー教育スキル局長は「学校は十分効果的にITを使うことができていない。日本はIT導入を慎重かつ戦略的に行ってきたことが評価できる」と述べた。その上で「シンガポール、韓国、日本の生徒はパソコンの使用頻度は中程度だが、デジタル能力は高い。きちんと考えて利用できている」とした。

 文部科学省は公立学校で「6・4人に1台」のパソコンを17年度までに「3・6人に1台」に増やす目標を掲げている。担当者は「単に台数を増やすのではなく、教員の指導力向上などと合わせて進めたい」と話す。