関東地方を中心に降り続いた大雨の影響で、増水していた鬼怒川の堤防が10日午後0時50分ごろ、茨城県常総市新石下付近で決壊し、住宅地など川の東側の広い範囲に濁流が流れ込んだ。県によると、濁流に流されるなどして7人が行方不明となり、逃げ遅れた多数の住民が民家などに取り残された。警察や自衛隊などがヘリコプターで200人以上を救助したが、警察庁によると、同日午後5時現在で少なくとも約200人が救出を待っている。

 気象庁が栃木、茨城両県に出した大雨特別警報は一部地域で解除されたが、10日午後も継続された。警察などによると、大雨により両県で少なくとも8人が行方不明、1人が重体、各地で重軽傷者21人が出た。

 警察庁によると、鬼怒川の決壊では少なくとも約100世帯の家屋が浸水し、最大で2000世帯に上る可能性もあるという。茨城県によると、70代と60代の男性2人が濁流に流されるなど常総市で計7人が行方不明となり、捜索している。

 国土交通省が鬼怒川右岸に設置した河川の監視カメラで、左岸側が決壊したのを確認した。決壊した堤防の高さは市街地から約3メートル、厚みは約4メートル。長さは当初、約20メートルだったが、その後拡大し約140メートルに達した。

 同日午前6時以降、上流の3カ所で川の水があふれているのを国交省職員が確認。決壊の恐れがあるとして警戒を続けていた。同省が事前に行った被害想定では、約10キロ下流の常総市役所付近まで浸水し、深さは最大で2〜5メートル、浸水面積は37平方キロメートルに達する恐れがあるという。同省は現場にポンプ車15台などを派遣し、排水作業を進める。

 鬼怒川の堤防が決壊したのは、1938年9月以来。