ごとりん・るーむ映画ぶろぐ

 現在584本の映画のあくまで個人的な感想をアップさせていただいています。ラブコメ、ホラー、歴史映画が好きです【^_^】

機械じかけの小児病棟(ジャウマ・バラゲロ監督)

2008-02-17 | Weblog
キャスト;キャリスタ・フロックハート、リチャード・ロクスバーグ、エレナ・アナヤ、 ジェマ・ジョーンズ
 英国ワイト島マーシーフォールズ小児病棟。なにか金属的なものが電車と衝突して、病院に怪我人が大量に運び出されているというニュースがテレビ画像で流れてくる。死者10人以上。それは病院の中に住む「シャーロット」のせいだったのかもしれない。不治の病におかされた少女とある理由でアメリカから英国のはずれの島まで逃れるようにあらわれた看護婦。そして、少年の両足が原因不明の骨折をしたときに前任の看護婦スーザンは病院に住んでいるといわれる「シャーロット」の姿を見てしまった。謎を解明しようとする看護婦には強い動機が存在した。前の病院で自分は手抜きをしていたのではなかったかと自責感にかられていたのだ。そして禁断の2階を探索したときにある仮説にたどりつく…。

 どちらかといえば島の狭い空間と豊かな自然は「リング」の中にでてきたマイラのすんでいた島を思わせる。実際はそう思わせておいて最後には「違う」という展開になるのだが、占い師の双子が登場してきたり、英国国教会の牧師が占い師を紹介したりといった場面がやはりアメリカでもなく日本でもなく英国のホラーだなあと思う。ちょっとおどろおどろしい「化け物」も出てくるには出てくるのだが、わりとあっさりしている。むしろ、几帳面なまでに科学的に不可思議な現象を解明していこうとする主任医師のほうが不可思議にみえるほど。島の病院というかなり閉ざされた空間なので予算もスタントもエキストラもきわめて少ない低予算映画だが、アイデアとしてはなかなかのもの。また原題が「fragile」となっていたのだが、映画のストーリーをうまく汲み取った日本語タイトル「機械仕掛の小児病棟」もなかなかのセンスだと思う。「機械仕掛」なのは実は、病院ではなかったりするのだが、タイトルにそそられて見てしまった人が多いのではないだろうか。
 看護や介護、医療の立場にある人間と患者や被介護者との間にうまれてくる同一化…ラポールとかいったと思うが、あれは本当に不可思議な現象。ラポールが絶対的に悪いというわけではないが、本来の趣旨を逸脱し始めると確かにこの映画にあるような「非常識なできごと」が「常識的なできごと」に変化してしまう…。

パプリカ(今敏監督)

2008-02-17 | Weblog
ストーリー;アクセス制御機能がついていないPCミニが夢を研究する財団法人から盗まれた。PCミニはパソコンに夢の内容をダウンロードすることができるほか、夢の中に侵入してサイコセラピーにも応用することができる装置。PCミニに関係すると思われる事件が続出したことからパプリカとよばれるセラピストが活動開始。謎を追求していくうちに思いもかけない人物がその前に立ちはだかる…。
コメント;「夢」とデジタル装置、「夢」とウェブの共通性は非常に高いように思う。セカンドライフも一種の夢の共有だし。シナプスが電気活動であればそれをデジタル信号に置き換えてパソコンにダウンロードしてみたい…というような欲求は、突拍子もないかもしれないが、人間心理の解明には非常に役立つことだろう。夢のパンフォーカスや夢のイマジナリーラインといった作業もこの映画の中では活用されている。この手のアニメーション映画では必ずといっていいほど登場する「天才的研究者」もやはり登場。ある種のお約束キャラではあるが、他のアニメとは異なる「天才肌ぶり」がまた見ていて楽しい。サーカスのショータイムの悪夢など悪夢の原因を突き止めて不安神経症などを治療しようという発想がフロイト的だが、おそらくこうしたフロイト的な夢探索はこれからもずっと映画のテーマになるのだろう。スムースな夢の中のアニメーション効果が見ていて楽しい。

悪夢探偵(塚本晋也監督)

2008-02-17 | Weblog
キャスト;松田龍平、hitomi、安藤政信、大杉漣、原田芳雄
ストーリー;他人の夢の中に入る能力を持つ青年京一。他人の夢の中に入っては事故嫌悪に陥り、自殺未遂を繰り返す。その一方で警察庁のキャリア組だった霧島は、思うところあって所轄の刑事となり殺人事件とも自殺とも思われない事件を担当することになる。自殺事件として事務的に片付けるには不可思議な物証が多数発見され、重要証拠である携帯電話の履歴と録音からさらに、不可思議な「連続性」が発見されてくる…。
コメント;主役の松田龍平が、またその自然体の演技で「悪夢探偵」とはいかなるものであるか、を画面でそのまま見せてくれる。その一方でキャリアから所轄の警察署に「おりて」きた女刑事役のhitomiがいまひとつなんだなあ。おそらくそうしたキャリア職からおりてきて、さらに人間関係にいろいろトラブルを巻き起こすという設定であれば、このキャスティングはミスではないか。おそらく20年前にこの手の映画が製作されていれば、桃井かおりさんあたりがこの役を演じたらすごいキャスティングになっていたのかもしれないが…。「水」を中心に夢と現実の間を移動する松田龍平の姿が「睡眠」の世界と「現実」の世界がそのまま映像に…。塚本監督のサービス精神もあふれており、陰がなさそうで実は陰がある新人刑事の安藤政信の演技また心地よい。こんな演技もできるのかと安藤政信の演技にまた感動。原田芳雄の畳ずまいのサラリーマン役もまた凄みがあって素晴らしい。松田龍平と原田芳雄の共演シーンが見れるというだけでもこの映画お勧めだ。