ごとりん・るーむ映画ぶろぐ

 現在584本の映画のあくまで個人的な感想をアップさせていただいています。ラブコメ、ホラー、歴史映画が好きです【^_^】

モーツァルトとクジラ(ペター・ネス監督)

2008-02-23 | Weblog
ストーリー;アスペルガー症候群と診断されている青年ドナルドは、自閉症の仲間を集めて社会復帰のためのリハビリなどを自主的に活動している。いまひとつ社会にとけこめないままの毎日だったが、そこへ突飛とも思える活動的で魅力的なイザベル・ソーレンソンが集会にニューカマーとして現れる。2歳のころから他人とは違うといい続けられ、心にあった「とげとげしいもの」が次第に溶けていく二人。ハロウィンの夜を境にしてさらに親交が深まるが…。主役のドナルドの部屋がリアリティがあって興味深い。新聞紙で窓を覆い、シャワー室の内装やシャワーカーテンなども頑固そうに変えていないが、美術担当者の意気込みが感じられる。さらに服装もかなり登場人物のキャラクターを分析して作り上げていった様子がみえる。1時間半の映画ながらも、映画の製作者の意気込みがはしばしに感じられる。
キャスト;ジョシュ・ハートネット、ラダ・ミッチェル、ドナルド・モートン、ゲイリー・コール、ジョン・キャロル・リンチ、ロバート・ウィズダム
コメント;どちらかといえば、ジョシュ・ハートネットの出演している映画はかなり見ているものの、どれもいまひとつ好きになれない映画ばかり。「シン・シティ」にも確か出ていたはずなのだが、むしろ出演してほしくなかったぐらいハードボイルドな役が似合わない。というよりも映画には向いていないハンサムな役者、といった感じ。舞台でみたならばまた演技に対する見方も変ってくるかもしれないが…。一方、「サイレント・ヒル」で母親役を演じたラダ・ミッチェルが素晴らしい。この映画でも個性的な役柄を「上品に」(?)こなしているが、低予算であっただろうこの映画の中でもひときわ輝く笑顔。これ、もしかすると他の女優では成立しなかった映画ともいえるかも。台詞の内容も非常に重たい上で設定も重たいので、鳥が自然に寄り集まってくるシーンやジョシュ・ハートネットの重たい演技も無難に回避。肝心のストーリーは…なんだかなあ…。「実話をベースに」という製作者の意図とは裏腹に1時間半に凝縮されてしまうとグロテスク(?)な部分だけが拡大されてしまい、本来あるべき「はず」だったものがかえって見えなくなってしまっているという逆効果もあるのではなかろうか。ちょうど「レインマン」のダスティン・ホフマンがそうだったように…。「数は裏切らない」という信念はなんとなくわかるような気も。人間不信の反対側に「数」があるのかもしれないし、そうでないかもしれないが、「数」に執拗にこだわることが妙だとも変だとも思わない時点ですでに、製作者が想定していた「観客像」のカテゴリーから私はずれていたのかも。(あ、脚本家が「レインマン」と同じロナルド・バスという人だ…)