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Proa マストの長さはどれくらい? -2 アスペクト比

2019年05月03日 | Proa アウトリガー・セーリング・カヌー

マストの長さについて検討していたら、いろいろなセイルの情報等が目に入り、ますます面白くなって、セイルについても、ちと勉強しちゃいました。

今はジャンクセイルに興味を持っていますが、ジャンクセイルって色々あるセイルの中でどんな位置づけなんだろうか?・・・と

まず、セイルの種類ってのを見てみよう・・・

上図、左端からSquare 四角い帆・・・これは横帆の時代かな・・・いわゆる帆掛け船で、後ろから風を受けて走るのがメインの時代かな

次の時代は、Lateen 大三角帆・・・古代エジプトの絵なんかに出てくるよね。

Lateenの前を切り落としたのがLug/Settee・・・Junkはこれの一種だと思う。

次がGaff・・・Lugからマストより前の部分を切り取った形をしている。  マストから前の部分が無い方が風を受ける効率がよくなるらしい。

Gunterはマストから上に張り出した棒にセイル先端を取り付けたもの。  棒が風見鶏の役割かな。

Bermudanは、キャットリグとも言われている。 

このほかにも、下の図のようなものもある。

字が小さいので下に拡大しときます。

A: double sprit  Sri Lanka
B: common sprit (boom).  Philippines
C: oceanic sprit.  Tahiti
D: oceanic sprit.  Marquesas
E: oceanic sprit.  Sulu
F: crane sprit.  Marshal Islands
G: rectangular boom lug.  Moluceas
H: square boom lug.  Gulf of Thailand
I: trapezial boom lug.  Vietnam

時代とともに変遷、あるいは、地域によって変化、して・・・実に多様なセイルが使われているのは、実に楽しい。

さて、今ワシが考えているジャンク・セイルだが・・・これは中国南部で使われていた伝統的なジャンクだそうだ。  

セイルの種類から見ると、基本はLugセイルであり、上端に丸みを付け、横一杯にBattenを入れてある、とみることができる。

伝統的ジャンクセイル(中国南部)

このセイルはBoomの長さが割と長くて、セイル全体は丸みを帯びてはいるが、おおむね正方形に近い。

アスペクト比(長さの縦横比率)は1.11となっている。  アスペクト比は、大きいほど揚力vs効力の差が大きく、より大きな揚力が得られる・・・と言われている。

でも、縦横比が大きいということは、縦に長くなり、マストも高くなるわけだから・・・横風を受けた時の船の傾きは、より大きくなるわけだ。  いわゆる・・・こけやすくなる・・・ちうことだね。

う~む・・・

でも、ま・・・いろいろなものを見ておくことは害にはならないだろう。

実は、ジャンク・セイルといっても、いくつか種類があるようなんだな。

上で、ジャンク・セイルはLugセイルの一種だと述べたが、以下のジャンク・セイルは、westernized balanced lug sail (西洋化されバランス化されたLugセイル)としてもPractical Junk Sailで紹介されている。  だから、JunkセイルなのかLugセイルなのか・・・境目がはっきりしない。

たとえば、下は、HaslerとMacLeodという英国人が書いた有名な本 Practical Junk Rig で、推奨しているSail Geometry(設計図)・・・である。

Recommended Sail Geometry

下の6つの菱形パネルはすべて同じ面積、形で、Boom、Batten、Yardとも同じ長さとなっている。

アスペクト比は、四角いパネルの縦長はBoomの6分の1だから、全体で 1.3~~1.5程度になるかな。  

一方、さらにアスペクト比の高いJunkセイルも紹介されている。  これだ、

High Aspect Junk Sail

アスペクト比= 2.78、P/B比=0.31

P/B比というのは、Panelの高さをBoomの長さで割ったもの、で、この比率によってセイルの形状が決まるわけだ。 westernized balanced lug sail ではBoom長=Batten長。  伝統的JunkセイルではYard長=Boom長の67%となっている。

つまり、自分で好きな高さのJunkセイルを設計できる、ということ。
その際、Boom長を基準にして、パネルを何枚にするか、パネルの高さをBoom長のどれくらいにするか、で結果するセイルの高さ、アスペクト比、マストの長さが決まる。

でも、Boomって左右に風であおられると、うっかりすると頭をゴツンとやられるよね。  Boomを短くするか、頭に当たらないほど高くするかしないと・・

さて、最終決定は・・・Boomが長すぎて乗船時に邪魔にならないか、マストは高すぎて転覆しやすくはないか、きちんと風上に上がれるか、・・・等々、相互勘案してアスペクト比、セイル形状、マストの高さを最終化しなくちゃならんのだろうね~・・・

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